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累犯障害者男児投げ落とし 施設の賠償責任論争授産施設に通う知的障害者の男(47)に歩道橋から投げ落とされ、重傷を負ったとして、当時3歳の男児(9)側が施設側に損害賠償を求めた大阪地裁の訴訟で、利用者による犯罪に施設が責任を負うのかが論争になっている。男は事件を繰り返していた「累犯障害者」で、男児側は「施設職員らが監督を怠った」と主張。施設側は「賠償責任が認められれば受け入れ先がなくなる」と争う。今春には刑務所などを出所した知的障害者らを支援する拠点が全都道府県に設置されており、全国の福祉関係者が審理の行方を見守っている。 男は、グループホームで生活しながら施設に通っていた2007年1月、大阪府八尾市の歩道橋で、施設のクッキー販売に参加中、通りがかりの男児を道路に投げ落とし、頭蓋骨骨折などの重傷を負わせたとして、殺人未遂罪で実刑判決を受け服役している。当時現場には施設の職員1人が付き添っていた。 男児側は、視力が大幅に低下し、身長が伸びにくくなる後遺症が残ったとして、10年7月、男と施設を運営する社会福祉法人、理事長(65)を提訴し、約5200万円の賠償を求めている。 男児側はまず「男は現場で施設の販売活動に参加しており、施設側は指揮・監督する立場にあった」とし、使用者責任があると主張。これに対し、施設側は「通所者らが主体の活動で、施設は、それを支援する立場。指揮・監督する関係にはない」と否定する。 さらに男児側は、男が今回の事件前、幼児を対象にした誘拐事件など6件を起こし、2件で実刑判決を受けていたとし、「施設側は第三者に危害を加えることは予見できた」とする。だが、施設側は「以前は幼児への好意から連れ回した事件で、危害を加えた今回の事件とは異質。予見は不可能だった」と反論。 同様の施設を運営する社会福祉法人などから「福祉施設の役割を考慮して判断してほしい」とする要望書約120通が寄せられ、施設側が証拠提出している。 審理は二つの争点を中心に進むが、提訴から2年以上たっても証拠調べに至らず、論戦が続いている。 出所した「累犯障害者」の支援は本格化するが、再犯に及んだ場合、受け入れ施設は法的責任を負うのか。 法務省による2006年の調査では、知的障害がある受刑者のうち、前の事件から1年以内に再犯を起こしたのは約70%。福祉サービスを受けるのに必要な療育手帳を持つのは6%に過ぎず、約40%は出所後の帰住予定先が「未定・不詳」だった。 このため、国は09年度から出所後の受け入れ先を探す「地域生活定着支援センター」事業を開始。今年3月末で全都道府県に設置され、昨年度は計274人を支援した。 だが、全国地域生活定着支援センター協議会の田島良昭会長は「施設側の抵抗感は強く、今も受け入れ先の確保は難しい」と漏らし、「賠償義務を負わされると累犯障害者を受け入れる施設はなくなる。社会からの排除は新たな再犯者を生んでしまう」と懸念を示す。 これに対し、男児側の代理人弁護士は「成長とともに、どんな影響が出るか不安は大きい。誰かが責任を果たすべきだ」と不十分な被害救済の実態を訴える。 障害者の犯罪に詳しい辻川 (2012年10月12日 読売新聞)
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