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玄葉光一郎外相が仏英独3カ国の訪問を始めた。防衛協力や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)について話し合うほか、尖閣諸島をめぐる日本の立場を説明し、理解を求める方針だ。[記事全文]
欧州連合(EU)のうち、ドイツ、フランス、イタリアなどユーロ圏の11カ国が金融取引税を2014年にも導入する。参加国の金融機関が株式や債券、デリバティブを取引する際に、[記事全文]
玄葉光一郎外相が仏英独3カ国の訪問を始めた。防衛協力や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)について話し合うほか、尖閣諸島をめぐる日本の立場を説明し、理解を求める方針だ。
尖閣諸島について「領土問題は存在しない」とする日本政府は、これまで対外的な説明をあまりしてこなかった。
しかし、日本政府による尖閣購入後、中国が領有権の主張を強めているため、対応を変えた。駐米大使が米ニュースサイトに投稿するなど発信を強めており、3カ国との外相会談で取り上げるのもその一環だ。
尖閣周辺の領海に中国の監視船がたびたび侵入しているほか、きのうは中国の駆逐艦など7隻が沖縄・与那国島近くの接続水域を通った。
日本政府としては中国との打開を探りつつ、挑発に乗らず、冷静に対処していることを国際社会に示していくべきだ。
ただ、これほど大きな問題になっているというのに、「領土問題は存在しない」という日本政府の立場は、第三国から見ると分かりにくいかもしれない。
日本政府がこだわるのは、領土問題の存在を認めた場合、島がどちらに帰属するのかという交渉に入らなければならなくなるためだ。その結果、日本が主権の一部を失うことになるかもしれない。日本の立場が後退したとみなされ、国際法上、不利に働く恐れもある。
だが、日本が守るべきは「尖閣が日本の領土であることは間違いない」という一線だ。
であるなら、「領土問題はない」と強調するあまり外交の幅を狭めるのではなく、日本の正当性を史実や国際法に基づいて丁寧に説明すべきだ。
同時に、世界第2、第3の経済大国の争いを、各国が困惑の目で見ていることも事実だ。
中国国内の反日デモや、経済・文化面の対抗措置に対し、国際社会にも「中国リスク」への懸念が広がっている。
日本の頑迷さが問題をこじらせている、と受け止められてはなるまい。中国との宣伝合戦に陥らないよう、注意も必要だ。
日本は、国際社会にみずからの意思を伝えることが不得手だった。ここは、尖閣問題にとどまらず、日本がアジアの平和と安定にどう寄与しようとしているのか、中国とどう向き合おうとしているのか、さまざまな機会を捉えて発信すべきだ。
玄葉外相は現地メディアのインタビューにも応じるという。各国の国民に、日本の姿を正しく伝えることも大切だ。
欧州連合(EU)のうち、ドイツ、フランス、イタリアなどユーロ圏の11カ国が金融取引税を2014年にも導入する。
参加国の金融機関が株式や債券、デリバティブを取引する際に、薄く広く課税する。日本の金融機関も、導入国の金融機関と取引したら課税される。
EUや参加国の財源を増やして、経済危機への対応を円滑に進めるのが狙いだ。
背景には、金融危機の際に銀行が税金で救済され、納税者の怒りを招いたことがある。続く不況対策でも出費が膨らむ。EUの取り組みは「危機を起こした張本人の金融界に相応の負担をさせる」という原則の確立に向けた挑戦といえよう。
行き過ぎた投機を課税や規制でどう抑えるか。金融界があげる巨利をどうすれば危機対応の元手にあてられるか。一連のバブルと危機を受けて、世界各国が模索している。
やっかいなのは、この種の税には、取引や金融機関が域外へ逃げ出し、課税の効果も上がらないリスクがあることだ。
金融には、世界中どこでやっても変わらない取引があり、マネーは税金の重いところから軽いところへ移動する。
売りと買いの双方で十分な量が確保されないと、取引は円滑さを欠く。厚みのない市場は敬遠され、売買量の多い市場にますます取引が集中する。
これを避けるには、より多くの国が課税を共通化する必要がある。だが、同調しない方が取引や金融機関を呼び込むには有利だと考える国もある。
こんなにらみ合いが金融取引税の普及を妨げてきた。世界では無論のこと、欧州にもその縮図がある。11カ国の変則スタートになったのもこのためだ。
EUは当初、加盟全27カ国で導入を目指した。しかし、非ユーロの英国など金融に依存する国々が強く反対。ユーロ圏の中でも、金融に力を入れるオランダやルクセンブルクなどが拒み、有志国による部分的な税制として始めるしかなかった。
焦点は、今回の課税が世界的な展望を示せるかどうかだ。世界に広がれば、金融競争の条件も対等になる。これは英国も認めている。
まずは先行11カ国できちんと機能する仕組みを構築するとともに、EUが域内の反対国を説得してほしい。
EUはG20参加国にも同調を求めている。金融界の影響力が強い米国は一貫して反対しており、日本も消極的だが、ここは欧州の挑戦を重く受け止め、再考の契機とすべきだろう。