ソフバンク株1年半ぶり上昇率、買収での増資否定し安心感-東京市場
10月16日(ブルームバーグ):国内携帯電話3位ソフトバンク の株価が約1年半ぶりの上昇率を記録。先週に米携帯3位スプリント・ネクステル の買収報道が出て急落していたが、15日夕の正式発表で買収資金調達目的での増資や配当政策の変更がないと明言したことから安心感が広がり、急速に値を戻している。
株価は前日比10.6%高の2509円まで買われている。日中上昇率 は昨年3月16日記録した11.4%以来。株価は買収報道が伝わって12日に一時17%安となった後、15日には2200円まで売られていた。午前11時17分現在は同235円(10.4%)高の2503円で、国内上場株での売買代金は首位996億円と、2位NTTの76億円を引き離している。
買収規模は総額201億ドル(1兆5709億円)で、二段階形式により来年半ばまでに完了の予定。内訳は既存株取得121億ドルと、増資引き受けによるスプリント支援80億ドル。発表資料では買収資金を手元資金と借り入れで賄い、新株や転換社債などの発行は一切行わないと明記。配当方針に変更はないとした。並行して銀行団は、計約1兆5000億円の融資実施を決めた。
野村証券金融経済研究所の増野大作アナリストは16日付リポートで、短期のつなぎ融資の金利が1%台にとどまるほか、買収後の14年3月末時点の純負債はEBITDA(償却前利益)の3.0倍で、18年3月末には1.4倍に低下すると試算。「中期的にソフトバンクの財務の健全性に問題はない」との認識を示した。
SMBC日興証券の森行真司アナリストは15日付リポートで、スプリントへの資金援助は今回の増資引き受け以外に当面考えていないとソフトバンクが表明したなどとして、買収報道を受けて台頭した過剰な懸念は「解消に向かう」と指摘。既存株式の取得価格7.3ドルに対し、増資の引き受け価格を5.25ドルとして買収額を抑えた点も評価した。
一方、富国生命保険の山田一郎株式部長は「増資がなかったことに少しは安心感がある」としながらも、ソフトバンクには現状でも財務懸念があり、巨額買収を「ポジティブには評価しづらい」と述べた。
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更新日時: 2012/10/16 11:26 JST