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生活道路 安心こそ地域の価値に 10月16日(火)

 県内の生活道路で、交通事故が相次いでいる。車のスピードを抑える工夫をするなど、安全・安心の街づくりの観点から、住民も参加し対策を急ぎたい。

 県こども新聞コンクールで、松本市内の小学3年生が交通事故をテーマに新聞を作った。交番で事故の発生件数を取材。さらに危険な十字路と呼ばれる交差点で、車が標識通り一時停止をするかを調べた。30分間に通過した69台のうち、一時停止をしたのはわずか12台。大人たちのルール違反に子どもは厳しい目を向けている。

 9月22日深夜、安曇野市の住宅街では帰宅途中の46歳男性が車にはねられて死亡した。車は逃走し、2日後に18歳の少年が逮捕された。少年は飲酒運転が発覚するのを恐れて逃げたと供述している。

 現場は、道幅が4〜5メートルと狭い市道だ。同市の東西を走る「最短ルート」として、交通量が多い。昼間でもスピードを出す車が多く、住民から道路の改良を求める声が出ていた。

 県警のまとめだと、今年は9月末までに生活道路の事故で8人が死亡した。統計がある2002年以降、昨年までの10年間に244人が犠牲になった。この間の交通事故死者の2割近くを占める。

 幹線道路を避け、抜け道に利用しているドライバーは、先を急いでスピードを出しがちだ。安心して歩けるはずの暮らしの道で、住民が危険にさらされている現実は、見過ごすことができない。

 通学路については、集団登校中の児童の列に軽乗用車が突っ込み、10人が死傷した京都府亀岡市の事故を受け、県警や自治体が一斉点検を実施。1900カ所余で安全対策が必要とされた。

 県は9月補正予算で緊急対策として路肩のカラー舗装や信号改良などに7億2100万円を計上した。県警は車の速度を30キロ以下に規制する「ゾーン30」を設ける方針を打ち出している。

 ゾーン30は、県公安委員会が一定の区域を指定、地域の合意を得ながら、路面に緩い段差(ハンプ)を設置するなど、速度抑制の環境整備を進める。本年度は県内で15カ所以上の指定を目指す。

 通学路の安全確保を話し合った国の有識者懇談会も、ゾーン30などの対策は、生活道路に広げるべきだとし、地域住民の合意づくりが重要と提言している。

 こうした取り組みには、松本市の小学生のような子どもや高齢者ら多様な世代の視点を大切にしてほしい。安心して歩けることこそ、地域の評価を高める価値になる。

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