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北電、冬の需給見通し 公表

2012年10月13日

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今冬の電力需給見通しを説明する北海道電力の石井孝久副社長=札幌市中央区の北電本社

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■火発故障のリスク強調
■「数値目標付き節電を」

 北海道電力が12日公表した今冬の新たな電力需給見通しは、節電の定着を受けて従来より最大電力を減らし、さらに供給力の積み増しで厳冬期の来年2月でも供給予備率が5・8%に高まるとした。安定供給に最低限必要とする3%を上回ったが、火力発電所が故障で止まれば電力不足が現実味を帯びると強調。夏場に続き、数値目標付きの節電の必要性を訴えた。

 新たな見通しは泊原発が再稼働しないのが前提で、同日開かれた国の需給検証委員会に報告した。今後、検証委が精査し、具体的な節電要請の必要性と、万一に備えて計画停電を準備するかどうかを判断する。

 記者会見した北電の石井孝久副社長は「検証委では安定供給を考えるためには(火発トラブルなどの)リスクを織り込んで欲しい、と訴えたい。何らかの目標を持った節電は必要と思う」と述べた。計画停電の備えについては「国の検討結果を踏まえ対応したい」とするにとどめた。

■対策で予備率増

 需給見通しは、寒さが厳しかった2010年度の冬の実績を踏まえて算出した。この年、最大電力は579万キロワットだったが、今年夏と昨年冬の節電効果を利用者へのアンケートなどを踏まえて分析した結果、節電による需要減は19万キロワットとした。

 照明や家電製品の節電は今夏と同じ程度を期待できるとしたが、空調の節電は今夏ほどは見込めない、と判断。景気の影響なども考慮し今冬の最大電力は563万キロワットと試算した。

 供給力は、今年7月末の時点では2月に580万キロワットと見込んでいたが、緊急設置電源を追加導入したのに加え、苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所の出力を高めて運転するなどの対策で596万キロワットに増やした。

 これにより、2月の供給予備率は5・8%に高まり、12月は7・8%、1月は6・7%を確保できるとした。これまでは3%を切りかねないとしており、かなり改善した。

■安定供給に不安

 それでも、北電が「リスクを考慮する必要性を検証委で訴えたい」とするのは、予備力を見る限りでは安定供給が揺らぎかねない危惧があるからだという。

 2月の予備力は33万キロワットで、1月も38万キロワットにとどまる。これは北電の伊達や知内といった中型火力発電1機分の出力とほぼ同じで、これらがトラブルで停止するだけでゼロに近い状態に陥るという。

 今冬、稼働する火発で最大規模は苫東厚真4号機の出力70万キロワットだが、これがトラブルで止まると予備率は12%低下し、マイナス5・8%に落ち込むと説明。昨年度、発電所の同時停止で最大96万キロワット止まったとし、これを想定するとマイナス10・4%となるとの数字も示した。

■「融通頼み」嫌う

 一方、電力不足に備えた「命綱」が本州から海底ケーブルで最大60万キロワットの電力融通を受けられる「北本連系線」だが、北電はこれに頼って電力不足を乗り切ることには消極的だ。平時から可能な限りの融通を受けていると、大規模火発がトラブルを起こした際のバックアップに支障が出るため、と主張する。

 大規模火発が停止した際、それを補う電力の融通を受けられないと、周波数の低下だけでなく、不測の停電を招く恐れがある、という。新たな需給見通しでも道外からの電力融通は見込まず、卸電力市場から4万キロワットを2月に購入するのを供給力に織り込むにとどめた。

(綱島洋一、渕沢貴子)

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