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これまでの特集
◆恵庭ＯＬ殺人 新たな証拠とは
10月15日(月)
こちらの２人の女性をご覧下さい。
右側が殺害された橋向香さん。左側が橋向さんを殺害したとして
懲役１６年の実刑判決が確定し服役中の大越美奈子受刑者です。
１２年前のこの「恵庭ＯＬ殺人事件」。
弁護団は新たな証拠が見つかったとして
きょう裁判のやり直しを裁判所に求めました。
（ＶＴＲ� �
（伊東弁護士地裁へ入り込み）
再審請求は大越受刑者の弁護人が札幌地裁に提出しました。
（事件現場）
事件は、２０００年３月、恵庭市内の農道で女性の焼け焦げた遺体が発見されました
（二人の写真）
殺されたのは橋向香さん当時２４歳。
逮捕されたのは橋向さんの会社の同僚だった大越美奈子受刑者です。
裁判では、２人の間に同僚の男性をめぐるトラブルがあったことが動機とされ、
２００６年、大越受刑者は懲役１６年の実刑判決が確定しました。
（会社、携帯電話）
有罪の決め手となったのは、事件当日、２人が一緒に会社を出ていたこと。
大越受刑者が橋向さんにいたずら電話をかけていたこと。
（灯油を買った店）
さらに、事件直前に、大越受刑者が灯油１０リットルを購入していたことでした。
（逮捕）
大越受刑者は自宅の暖房用だと主張しましたが、
判決では、この灯油１０リットルを使って橋向さんの遺体を燃やしたと断定しました。
（実況見分調書）
橋向さんの遺体の実況見分調書です。
遺体の全身がほぼ炭化していたことが記されています。
（会見に着席する弁護団）
しかし、弁護団は灯油１０リットルで遺体を炭化するほど燃やすことは不可能だとして、
新たな証拠を今回提出しました。
（伊東弁護士）
「どのような油でどのくらいの量を使ったか客観的に物語ったのが被害者の遺体」
★宮永キャスター）
１２年前の事件発生当時から取材にあたっている工藤記者です。
大越受刑者はもう収監されて６年ということですが、
弁護団は、ずっとえん罪だと言い続けてきましたよね。
★工藤記者）
はい、なぜなら、大越受刑者と犯行を結びつける
直接的な証拠がないからなんです。こちらをご覧下さい。
遺体の発見現場には、大越受刑者の足跡や大越受刑者が所有していた
車のタイヤの痕はありませんでした。
さらに、大越受刑者が自分の車の中で橋向さんの首をしめて殺したとされたんですが
車内からは橋向さんの体毛などは見つかっていません。
そのため、弁護団はえん罪を強く訴えていて
今回、あらたな証拠をもって再審請求に踏み切りました。
★宮永キャスター）
新しい証拠とはどのようなものなのですか。
★工藤記者）
こちらです。
判決では大越受刑者が１０リットルの灯油で橋向さんの
遺体を炭化するまで燃やしたと断定しました。
しかし、弁護団は、ここに疑問を抱いたのです。
新たな証拠として、燃焼工学の専門家に依頼し豚を使って実験を行い、
その結果を判所に提出しました。
この実験現場に立ち会って取材しました。
（ＶＴＲ�◆�
（燃焼工学博士 伊藤教授到着）
実験を行ったのは弘前大学の伊藤昭彦教授、燃焼工学の専門家です。
（伊藤昭彦教授）
「言われているのは灯油１０リットルで燃焼させたということ 燃焼学の立場からする
とあのような遺体の状況にならないのではないか、あのような状況になるには
どのような方法かに着目して鑑定しました」
（実況見分調書）
橋向さんの遺体は全身が激しく燃え身体の内部まで炭化していました。
体重も９キロ近く減少していたと推定されています。
（夜の実験準備 装置差し込み）
伊藤教授らは、食用の豚を使って燃焼実験を行いました。
事件当時の状況に近づけるため豚には衣類をつけました。
豚の体内には温度を測る装置を差し込み
体内の温度がどのように変化するのかデータをとりました。
（灯油をまいて着火）
事件当時の圧雪路面を再現するため
氷をまいた地面に豚を置き、判決のとおり灯油１０リットルを一気にかけて
火を付けます。
「着火します」
（燃える様子）
着火後は２メートルほどの炎があがり豚の表面に火が回りました。
（サーモグラフィー画面）
着火５分後。表面温度をはかるカメラの映像では
豚の表面温度が２００度以上に達していることがわかります。
（パソコン操作の様子）
では、このとき豚の内部の温度はどうなっているでしょうか。
（伊藤昭彦教授）
「２０度いっていないの？これだけ燃えているのに皮膚の下が１５度くらい、
最初が１２度くらいなのでほとんどあがっていない」
（グラフ）
着火から２分後の豚が勢いよく燃えている状態でも
皮膚のすぐ下の温度は２０度にもならず、
最大でも４２度までしか温度は上昇しないことがわかりました。
（伊藤教授）
「燃料が圧倒的に足りない」
（実験映像に表）
事件では、灯油１０リットルで燃やし、遺体の状況は体重が９キロ減少。
体内の温度は、１００度以上だったと推定されています。
しかし、今回の実験では、体重の減少は１．２キロ。
温度の上昇は４２度までと、内部が炭化するほど
燃やせないことがわかりました。
（伊藤昭彦教授）
「燃焼学の常識と判決に書かれていた内容はずいぶんかけ離れているという印象です、
灯油１０リットルではあの燃焼はあり得ない」
（会見の前）
検証は大越受刑者がもっていた灯油では犯行は不可能という結果でした。
（伊東弁護士）
「１０リットルでこのような遺体の燃焼がないということになれば
大越さんが犯人でないことがはっきりする 大越さんも一緒に頑張る」
（刑務支所）
逮捕時から一貫して無罪を主張している大越受刑者はいまも
札幌刑務支所で服役しています。
★宮永キャスター）
では、どういう状況だと炭化するほど燃えると
弁護団は見ているんでしょうか。
★工藤記者）
灯油以外の燃料も使われたとみています。
裁判では出てこなかった燃料の詳しい鑑定結果があるのではないかと、
検察側に証拠の開示を求めていく方針です。
★宮永キャスター）
今後は、どういう見通しですか？
★工藤記者）
今後は、きょう提出した実験結果を裁判所が、新しい証拠として
どれくらい評価するかがポイント。
再審請求を裁判所が認めるか、判断が下るまで
数年以上かかるケースがほとんどで、
今回も、時間がかかるとみられます。
★宮永キャスター）
工藤記者でした。
きょうは再審請求された恵庭ＯＬ殺人事件についてお伝えしました。
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