中国海軍艦艇 接続水域を航行10月16日 19時35分
16日朝、中国海軍の艦艇7隻が、沖縄県の先島諸島沖の日本の領海のすぐ外側にある接続水域に一時入りました。軍艦は国際法上、接続水域での航行が認められていますが、中国海軍の艦艇が、南西諸島沖の接続水域を航行したのは、ことしになって初めてです。
16日午前7時ごろ、中国海軍の7隻の艦艇が、沖縄県の先島諸島にある与那国島の南南東およそ49キロの海域を太平洋から東シナ海に向けて北上しているのを、海上自衛隊の哨戒機が確認しました。防衛省によりますと、7隻は与那国島と対岸の仲ノ神島の間の海域で、日本の領海のすぐ外側にある接続水域に入ったということです。
関係者によりますと、艦艇は北北東に向けて航行を続け、そのまま進めば尖閣諸島沖で再び接続水域に入るコースを取っていましたが、その後、西寄りに進路を変えたということです。防衛省によりますと、7隻は午後3時から4時ごろにかけて、尖閣諸島の魚釣島の南西およそ80キロの海域で日中中間線を越えて中国側に戻ったということです。また、尖閣諸島周辺では、接続水域や日本の領海に入ることはなかったということです。
南西諸島では今月4日、中国海軍の7隻の艦艇が、沖縄本島と宮古島の間の公海上を今回とは逆に東シナ海から太平洋に向けて通過していて、防衛省は同じ艦艇が中国に戻るため、航行したとみています。
軍艦は、国際法上、接続水域での航行が認められていますが、中国海軍の艦艇が、南西諸島沖の接続水域を航行したのはことしになって初めてです。
“注意深く情報収集”
これについて森本防衛大臣は、閣議後の記者会見で、「今の時点で中国の艦艇からヘリコプターが飛び立ち、接近しているという行動や、わが国の領海内での航行といった行為は確認されていないが、引き続き、航空機や艦艇で周辺海域の警戒監視をし、中国艦艇の動向について、注意深く情報収集している」と述べ、海上自衛隊の護衛艦や哨戒機で警戒監視活動を続けていることを明らかにしました。また、森本大臣は、「中国は東シナ海から太平洋にかけて活動を広げているが、今回のことがどのような意図によるものなのかは、推測の域を出ないので、背景や理由について説明するのは控えたい」と述べました。
“日本に対してプレゼンス”
中国海軍の7隻の艦艇が、沖縄県の先島諸島沖の日本の領海のすぐ外側にある接続水域に一時入ったことについて、元海上自衛官で北京の日本大使館の防衛駐在官を務めた経験もある安全保障アナリストの小原凡司氏は「訓練海域に行って帰ってくるだけなら、同じルートを通るのが普通だ。わざわざ南を回って、北上するコースを選んだのは、何らかの意図があったに違いない」と述べ、今回の中国海軍の艦艇の動きは意図的なものだという見方を示しました。
その具体的なねらいについて、小原氏は「1つは日本に対してプレゼンスを示すことだ。尖閣諸島の問題もあり、中国は絶対に引かないということを、軍としても示したかったのだろう。もう1つは、日本側の反応を見ることだ」と指摘しました。
さらに、小原氏は「今後も何らかの形で、軍の存在を日本に対しても中国国内に対しても示すという行動は考えられる」と述べ、中国軍が国内の強硬な対日世論を意識して、今後も同じような行動を繰り返す可能性があるという見方を示しました。
その一方で、小原氏は「互いに挑発をすると、恐怖の悪循環に陥る可能性がある。不測の事態を避けるためにも互いが冷静になる必要がある」と述べ、国際法上認められる範囲内であれば、日本側は、中国海軍の艦艇の動きを冷静に監視することに徹するしかないという考えを示しました。
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