「地位保全」を求めるFCCJの労組UPCの公判で、裁判長へ協会側からの文書が10日提出されクローズドサーキットで協会弁護士とUPC弁護士、労組幹部との協議が行われた。UPCが驚くことにかなり前回提出した馘首した労組員は「生活に困っていない」の主旨を更に補う強気の文書だったようだ。前回の文書を熟読したが嘘の上に嘘を重ねる協会側の厚顔無恥さに呆れる。これを「表現の自由」と言うのか?私の処罰理由はそっちのけで、組合員個人の「社会的評価を害し侮辱する内容を満載し組合員に関する「誤情報」に満ちている。
Look who’s talking!
「女の病に関する薬あれこれ、あるいはときに張形をはじめとする秘具性具、それらを商うのがよろづ光屋、情の字の生業である」時は五代将軍・綱吉の世。並外れた薬物の知識と調合の技術を持ち、性にまつわる秘薬・秘具を商う主人公、情の字。花村満月の「よろづ情の字 薬種控」(光文社:2012年7月刊)は「性にからめ取られた人々が織りなす江戸人情譚で素晴らしく面白い小説だ。情の字は水もしたたる良い男で女どもは一目で惚れてしまうが人を信じない。心を許すのは拾って来た雑種で真っ白な愛犬「鞆絵」とこれも拾って来た夜鷹の「おしゅん」だけ。おしゅんと鞆絵との生活が、毒を盛るなどお手のものの冷酷無比で非道な情の字の生き方を変えて行く。
大麻を吸わせ張形を使う描写が凄まじい「「入魂の張形を近づけていく。まずは隆盛のごく先端だけを,お梅の筋道になぞるように扱った。それでも煙の力で、お梅はいやいやをするように首を左右に振りはじめ、やがて腰を中心に烈しく痙攣をはじめた。」
若いおぼこ娘から夜鷹そして大奥までよろずの女たちの性の悩みを引き受ける凄腕の薬屋「情の字」の活躍を7編の短編に収めている。
花村満月はストーリーテラーでエロくて本を読むのが楽しい。
丘の斜面で田畑に囲まれた平屋建ての古い農家。庭にはオンボロ軽トラックが止まっている。東京から三重の山村に移住して来たのは「ムコ」(向井理)と「ツマ」呼び合う若い夫婦(になろうとしている)。専業主婦のツマは借りた畑でトマトなど野菜を育て、小説家のムコはそんなに売れていないので生活のため特別養護ホーム「しらかば園」で週に3日働いている。隣りの住人はアレチ(柄本明)とセイカ(松原智恵子)の老夫婦。アレチは回覧板を持って来るとビールを御馳走になるのが好きだ。口が悪いが人は良い。ズボンのチャックは開いたまま。セイカはすこし痴呆になっていて、冷ややっこでもお浸しでも「ミロ」を掛けて食べる。
ツマは一人の時は植物や山羊、犬に話しかける。彼らはちゃんと返事をする会話が楽しい。特に悩みを打ち明けるのは大きなソテツの樹。ツマの悩みをいつも聞いてくれる。
西可奈子の同名の原作にした映画はのほほんとした暖かな雰囲気で始まる。荻上直子の「かもめ食堂」やめがね」のような取り立ててストーリーが無い癒し映画系か、そのうちもたいまさこでも出て来るかと待ち受けていたら、意外とドロドロした不倫や三角関係に展開するのに驚く。
ある日ムコに手紙が来る。封を切らないまま机に仕舞いこんだがツマは不吉な予感がする。新作が売れキャンペーンのために東京へ2週間ほど行くと言うムコを複雑な気持ちで送り出すツマ。手紙は男文字で「妻を助けてください。夏目」とあった。ムコは画家の緑(緒川たまき)と恋愛関係にあった。夫の夏目(リリー・フランキー)から一枚の鳥の絵を渡され妻の緑と縁を切るように頼まれる。ムコはその絵を背中一杯の刺青にする。夏目に導かれ病床に横たわる緑に会うのは久しぶりだ。背中の刺青を見せ書き上げたばかりの小説の原稿を渡し「これは夫婦の物語です。ムコとツマの」。
メルヘン調の流れだが盛り込まれた内容はツマに出会う前のムコの過去に遡り、小説家らしいドロドロとした女関係や不倫があったのだ。その清算の旅から帰って来て晴れて結ばれる二人のハッピーエンド。最後はやはりお月さんと黄色いゾウの癒し系で締めるがすっかり堪能する。2時間10分を超える長尺だが登場人物が魅了的で飽きさせない。
来春2月2日より新宿ピカデリー他で公開される。
|