以前「池田大作顕彰マップ」記事でも書いたように、
池田創価学会名誉会長に贈られた海外からの名誉称号獲得数はギネス級である。大学からの名誉学術称号だけに限っても2010年7月現在293件に達している。(下図参照:何回かクリックすると最大表示。データは5月現在のもの)
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 不思議なことに、学会が喧伝するところの「世界の知性が認める偉大な人物」でありながら、爆発的な賞賛ブームが起きるでもなく、毎年コンスタントに20個前後の名誉学位が小出しで発生している。まるで聖教新聞掲載の順番を行儀よく待っているかのようであるが、この現象は、海外からの顕彰が相手からの自発的なものでなく、創価学会からの働きかけで発生していることの証左ではないか。

つまり、学会から寄付や贈書を行い、それへの対価として名誉学位を授与してもらうよう工作しているのではないか。そういう疑念が世間には渦巻いている。

 このように言うと、学会は「デマだ」とか「授与してくださった国や大学、団体に対して、あまりにも無礼、非礼極まる話だ。」と反発したり「各大学からの名誉称号は、あらゆる角度で厳正な審査が行われる。そして教授会等での決議を経た上で、大学の総意として決定されるものだ。そんなことも知らない。調査しない。どれだけ幼稚か。「焼きもち」か。」(引用はすべて聖教新聞幹部座談会2005/10/10)と反論するが、彼ら幹部連中こそ大学の名誉称号システムについて無知か、あるいは隠蔽しているのではなかろうか。

 顕彰マップを見ても分かるように、中国からの名誉称号授与数は圧倒的(現在111個)で池田氏が獲得した297の3分の1以上を占めている。本稿では池田氏への名誉称号増産国である中国の称号授与事情について説明する。後は推して知るべしだ。

【名誉称号は寄付の対価】

 中国は近年、経済成長が著しく、GDP世界第二位の経済大国になろうかという勢いであるが、大学教育界はまだまだその恩恵に与っておらず、各大学とも資金調達に汲々としているというのが実情である。

中国の大学はすべて国立であるが、政府からの予算配分だけでは大学運営資金はまかなえず、銀行からの融資や国内外の個人や団体の寄付に頼っているという厳しいフトコロ事情があるのだ。ある会計学の論文(*1)によると、ほどんどの大学が銀行から融資を受けているという。しかも銀行融資の返済は経営圧迫要因ともなっているという。とすれば各大学が返済不要な寄付集めに意欲的になるのも無理からぬことである。

そこで多くの大学は教育基金会を設立し、大学への国内外からの寄付の窓口としている。これは中国の名門大学も例外ではない。超エリート大学である北京大学にも清華大学にも基金会があり、資金調達すなわち寄付獲得に精を出しているのだ。

 今年5月に池田氏に名誉教授を授与した清華大学の教育基金会ホームページに「教育基金会規則」という資料がある。その中の条項に、寄付斡旋者にも1~3%の斡旋報酬が支払われることが明記してある。
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(拙訳)
基金会の従業員以外で、寄付者情報を提供し、並びに寄付者と連絡を取り、基金会の資金調達が成功した場合、基金会は斡旋報酬を支払うものとする。一般的には調達資金の1%~3%とする。特殊な状況がある場合は、報酬金額は理事長が審査決定する。
(原文)
七、除本基金會工作人員外,凡提供信息並負責聯繫,為基金會集資成功者,本基金會將給以獎勵,一般為集資額的l%~3%,特殊情況,獎勵金額報理事長審定。(*2)
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これは言わば寄付ブローカー行為の容認と奨励である。これを見ても大学がいかに寄付集めに熱心であるかが分かるだろう。

 では、寄付と名誉称号の因果関係はどうか。
 上述の清華大学の教育基金会ホームページに、その辺の説明がある。
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(趣意)海外からの50万ドル以上の寄付者には(中略)条件が整えば、大学の名誉職位あるいは指導的職務に就いていただく
(原文)
捐資在100萬元(國外50萬美元)或累計金額在100萬元(國外50萬美元)以上者,頒發證書及金質紀念碑,並在校內為其設立紀念物或刻碑紀念。基金會還請他們擔任理事,每年校長要向他們報告學校工作,請他們視察學校各方面的工作,聽取他們的意見。如果他們要了解學校的科研成果和優秀學生,基金會都有盡力幫助。對於有條件的,學校還可聘請他擔任學校其他的名譽職務或指導工作。
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最近何かと訴訟沙汰の多い日本の新興宗教「ワールドメイト」代表の深見東州も、清華大学に500万元(約7500万円)を寄付して深見東州文化基金を設立し、清華大学顧問教授になっている。これは「指導的職務」の方と思われるが、池田氏が受けた名誉教授は「名誉職位」に相当する。寄付との因果関係はかなり濃厚と言わざるを得ない。

実は、寄付対価としての名誉称号を明記している大学もある。
池田氏が1990年に名誉教授称号を受けた武漢大学だ。同大学のホームページにある「武漢大学資金調達経営管理方法(試行)」によると、
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第5条 1000万元(1億5000万円)以上の寄付提供者で、その他の相当条件を備えた者には、武漢大学名誉教授称号を授与する。
 第7条 5000万元(7億5000万円)以上の寄付提供者で、その他の相当条件を備えた者には、武漢大学名誉博士号を授与する。
(原文)
第五条 捐资金额达1000万元人民币及以上者,并具备其他相当条件,可授予"武汉大学名誉教授称号。
第七条 捐资金额达5000万元人民币及以上者,并具备其他相当条件,经上级主管部门批准,可授予"武汉大学名誉博士"称号。

(*3)
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 これは5年前に明文化された規約であり、池田氏が武漢大学名誉教授を授与された20年前の相場とは異なるかも知れないが、寄付で名誉教授になるには大枚をはたく必要があるようだ。

 以上、紙幅の関係で2大学しか紹介できないが、このように寄付の募集や寄付への礼遇はどの大学も当たり前の慣習として行われているのだ。もちろん北京大学にもある。日本の早稲田大学ホームページの「寄付礼遇」について説明したページにも「財政的な援助だけでなく、本学の事業を支援し、大学発展に寄与していただいた方には、「校賓」および「名誉博士」の称号もございます」(*4)との案内がある。

 「名誉称号は金で買えない」という反論が無力であることは、以上のことからも明らかである。池田氏の数多の名誉学術称号は上述のシステムを最大限に利用したものであろう。
 その推測があながち的外れでないことを示す資料がある。

 上海大学のホームページにある「上海大学1997年大事記」(学事年表)だ。それによると、1997年3月26日に、創価学会副会長三津木俊幸と池田氏の秘書潮田普二がシドニー大学の吳家瑋学長を伴って、上海大学の学長と面会しているのだ。(原文:3月26日,錢偉長校長會見專程來訪的日本創價學會副會長三津木俊幸、名譽會長秘書潮田普二和悉尼科技大學吳家瑋校長。)(*5)
吳家瑋氏は私立大学学長という教育者の側面の他に、第一上海投資管理有限公司(投資コンサルタント会社)の社外取締役という顔も持っている。つまり投資実業家だ。そういう人物を伴って学会副会長と池田氏の秘書が上海大学を訪れ、その1ヶ月半後の5月12日に、池田氏に名誉教授称号が授与されているのである。そこに胡散臭い因果関係を感じるのは筆者だけであろうか。
      
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さて、
学会は「世界の知性が池田先生の思想を求めている」と喧伝し、それゆえ世界中の各大学が名誉称号を贈っているのだという。果たしてそれほど池田氏や池田思想は中国学術界に浸透しているのか。

中国の学者による大変興味深い文章を発見したので、次稿では、それを基に、中国における池田氏の認知度について考察する。

引用文献出自:
(*1)http://www.kjlww.com/lunwen_show.php?lunwen_id=21190
(*2)http://www.tsinghua.edu.cn/docsn/jjh/zkbd/1994-04-16.htm?weeklyid=168
(*3)http://alumni.whu.edu.cn/ShowArticle.asp?id=102
(*4)http://www.waseda.jp/kifu/common/images/contribution/100scitech/pdf_100scitech01_01.pdf
(*5)http://202.121.197.77/wyzz/finish/dazs/dsj/97.htm