ソフトバンクが米スプリントを買収、売上高世界3位の携帯会社に

2012年 10月 15日 23:28 JST
 
check

[東京 15日 ロイター] ソフトバンク(9984.T: 株価, ニュース, レポート)は15日、米携帯電話3位のスプリント・ネクステル(S.N: 株価, 企業情報, レポート)を買収すると正式に発表した。約201億ドル(1兆5709億円)でスプリント株70%を取得し、子会社化する。買収は2013年半ばに完了する予定。

スマートフォン(多機能携帯電話=スマホ)の普及が世界的に進む中、ソフトバンクは主要な米国市場で顧客基盤と通信網を手に入れ、日本国外に成長の足掛かりを築く。

ソフトバンクによると、世界の携帯電話会社の年間売上高1位は中国のチャイナモバイル、2位は米ベライゾン・ワイヤレス(VZ.N: 株価, 企業情報, レポート)。買収によりソフトバンクグループは計6兆3000億円となり、世界3位の通信グループが誕生する。ソフトバンクのグループ契約数はスプリントの5600万件超(6月末時点)を合わせると9600万件に拡大、米首位のベライゾン(VZ.N: 株価, 企業情報, レポート)の1億1100万件、同2位の米AT&T(T.N: 株価, 企業情報, レポート)の1億0500万件にほぼ並ぶ。

都内で会見した孫正義社長は、「何も動かないのは安全かもしれない。挑戦するときにはさまざまなリスクがある。米国への挑戦は決して簡単なものではない」と述べた。その上で「日本と文化も違う大きな新しい市場に向かってもう一度ゼロから始めなければならないが、挑戦しないことがもっと大きなリスクかもしれない」と語った。

孫社長は、米国は1契約当たりの1カ月平均収入(ARPU)が高い点を指摘。世界最大のスマホ市場で「大きな成長を期待できる」と語った。また、「携帯通信速度は日本の約半分で遅い。それがチャンスだと考えた」とし、次世代高速通信LTEなど日本で培った経験がスプリントの競争力強化に生かせると述べた。その上で「(成功する)自信がある」と語った。

スプリントを傘下に入れることで、スマホ端末やネットワーク機器の調達力が高まる上、経営基盤の強化により、基地局建設など設備投資も今まで以上に加速できるとみている。

トムソン・ロイターのデータによると、日本企業による海外企業の大型買収は、07年のJT(2914.T: 株価, ニュース, レポート)による2兆2133億円(187億ドル)の英ガラハー買収が過去最大で、今回はこれに次ぐ規模になる。ドルベースでは過去最大。

<エクイティファイナンスはせず>   続く...

 
写真

日銀緩和効果の呼び水か

ソフトバンクの米社買収が成功し、巨額融資でM&Aを推進する動きが続けば、日銀緩和マネー効果の呼び水になる可能性も。   記事の全文 | 関連記事 

注目の商品

10月15日、ソフトバンクは、米携帯電話3位のスプリント・ネクステルを買収すると正式に発表した。写真は都内のソフトバンク支店で2011年3月撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)
写真

以前は長期入院の高齢者が病院で最期を迎えることは珍しくなかったが、今や麻痺や意識障害があっても退院勧告される事も。