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【社説】

開かれぬ国会 責任放棄が目に余る

 民主、自民両党首選が終わり二週間が過ぎたが、国会再始動の見通しは立っていない。立法府の責任放棄も甚だしい。先延ばしが許されない課題は山積している。速やかに臨時国会を開くべきだ。

 国会は国権の最高機関で唯一の立法機関である。国民に選挙された国会議員は法律をつくるのが仕事だ。国会を開かず、無為に時間を過ごすなら職場放棄の誹(そし)りは免れない。歳費も政党交付金も手にする資格はない。

 野田佳彦首相が十一日、安倍晋三自民党総裁を訪ね、「しかるべき時に臨時国会を開いて大いに議論したい。それに先立ち、党首会談をお願いしたい」と要請した。

 この日は民主、自民両党の新執行部発足後、初の顔合わせだったそうだ。首相が民主党代表に再選されて三週間、第三次改造内閣の発足から十日以上が過ぎている。

 遅すぎた就任あいさつからは、できれば臨時国会は開きたくないとの思いがにじみ出る。国会を開けば、暴力団関係者との関わりを認めた田中慶秋法相の任命責任が問われるのは避けられず、内閣不信任決議案が提出されれば、民主党惨敗が予想される衆院解散の引き金を引きかねないからだろう。

 消費税増税を強行し、国民との契約である衆院選マニフェストを破った野田首相は本来、総辞職するか、速やかに国会を解散して国民に信を問うのが筋である。

 その場合でも、最低限処理すべき案件がある。最高裁が違憲状態判決を出した衆院「一票の格差」是正と、財源の約四割を賄う赤字国債を発行する法案の成立だ。

 まずはこれらの案件処理に、首相は指導力を発揮すべきだ。解散を避けるために、成立を遅らせる不誠実なことをしてはならない。

 原子力規制委員会委員長ら五人の委員人事も、国会の同意手続きを経ないままでいいはずがない。

 さらに、東日本大震災の復興予算に被災地復興と直接関係のない事業が多く含まれていることが分かった。こんなでたらめが通るのも、国会が政府に対する監視機能を果たしていないからだろう。

 復興予算を検証する衆院小委員会は民主党の欠席で流会した。責任放棄は許し難い。政権与党である民主党には閉会中でも審議に応じる義務がある。

 疑問なのは、衆参両院議長が進んで裁定に乗り出し、事態の正常化に努めようとしないことだ。もはや議長に院を統べる権威はなくなったのか。「議長裁定」ならぬ「議長最低」では困る。

 

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