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新作公開 「エヴァンゲリオン」が拓く、アニメ制作の新スタイル
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2012/10/15 6:30
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■「自主制作映画」として公開

「製作委員会」方式によるスキーム。製作委員会は複数の企業で組織され、作品の制作費を分担で出資するかわりに、各企業は、作品に関する商品企画・販売・宣伝を行う。この組織のなかでは競合企業や代理店が複数存在することはほとんどない。
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「製作委員会」方式によるスキーム。製作委員会は複数の企業で組織され、作品の制作費を分担で出資するかわりに、各企業は、作品に関する商品企画・販売・宣伝を行う。この組織のなかでは競合企業や代理店が複数存在することはほとんどない。

 現在制作されているテレビアニメ作品の大半は、複数の企業が出資して作品の制作費をねん出する「製作委員会」制度がとられている。

 アニメを作る制作会社、玩具を制作・販売する企業、テレビ局、広告代理店など複数が映画に出資するのが一般的だ。そして、成功した場合は報酬を分け合い、失敗した場合も補償し合う、責任と保障の分担でリスクを減らす方法だ。何を隠そう、12年前にこの製作委員会制度がテレビアニメで広まるきっかけとなったのは「エヴァ」の成功だった。

 一方、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズでは、制作・宣伝・製作のクレジットは、映像作品の企画・製作企業である「カラー」1社のみ。これは、テレビ版の庵野秀明総監督が設立し、現在も社長をつとめる同社が、作品の出資から宣伝まですべてを担っていることを意味する。さらに共同配給にも名前を連ねており、いわば、この作品は庵野監督とカラーの「自主制作映画」として作られ、公開されたというわけだ。

 こうした自主制作の場合、作品による収益の管理が可能となる。使い道は会社側で決められるため、得た利益は、次回作の制作費に充てるといった使い方など、自由に管理できる点がメリット。一方で、資金を自力で調達しなければならず、リスクの分散化ができない。さらに、巨大な宣伝媒体でもあるテレビ局などの協力が得られないデメリットもある。

 しかし、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの場合は、そのデメリットを作品のブランド力でクリアしている。

 作品の主導権がアニメの作り手にあるからこそ、映画作品の公開手段としては異例の宣伝活動が可能になる。新劇場版シリーズの「序」「破」の2作が公開される前は、限られた情報が開示されるのみで、多くの内容は明かされず、試写も行われなかった。

 11月に公開を控えた「Q」においても同様で、映画館で流れる予告編には断片的な映像とセリフの文字のみが流れ、詳しい内容は今も明かされていない。

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