厳しくいえば「なんでこんなアプリ作っちゃったの?」と思うことがしばしばあります。スタートアップというよりは、事業会社が新規事業としてアプリを作る場合によくある印象。なんだかもったいないなぁ、と思うので書いてみます。
「リーンスタートアップ」を理解しているか
失敗する原因の大部分はこの本を読んでいないこと、といっても過言ではないと思います。
ニーズの実証を行っていない状態で自信たっぷりに製品をリリースし、頑張って広告を打ってユーザー数だけ伸ばして、まったくアクティブに利用されない、なんて例はよく見かけます。
ウェブサービスやアプリの立ち上げについて何も知らない状態なら、「リーンスタートアップ」を一冊買って読むだけで劇的に戦略が変わるので、騙されたと思って読んでおくべきです。この本は歴史的価値すらある一冊だと思います。
「自分たちがやる理由」があるか、それに納得しているか
アプリやサービスを作るのは簡単ですが、「自分たちがやる理由」を明確に持つことは、意外と難しいものです。
例えば新規事業としてグルメ系のアプリを開発するとします。それは簡単ですし、世の中を変えられるかもしれません。でもなぜ、あなたたちがグルメ系のアプリをやるのでしょうか。
その答えは、「本業の絡みで、既にレストランとのネットワークがあるから」「他のスタートアップでは真似できないパートナーシップを持っているから」「資本力があるから」など、様々なものが考えうるでしょう。もちろん「誰にも負けない想いがあるから」「自分たちよりうまくできる人はいないから」という根拠なき自信もありだと思います。「これまでにないビジネスアイデアだから」というのは、もしかしたらちょっと危ないかもしれません。
問題は、「自分たちがやる理由」を自分たちが腹の底から理解しているか、ということです。この納得感なしには、ウェブサービス、アプリは90%成功しないと僕は考えています。もし当たったとしても、まぐれあたりの一発で終わってしまうでしょう。
リソースを十分に割けるか、片手間ではないか
ここら辺は異論がありそうですが、僕は片手間でのアプリ/ウェブサービスの立ち上げにも懐疑的です。例えば受託開発をやりながら、自社サービスを作るなんてのも、僕は望ましくないと思っている派です(受託開発が業務時間の1〜2割程度ならいいと思いますが)。
特にスピード感が問われるコンシューマー向けのアプリ、ウェブサービスにおいては、片手間では到底戦うことはできないでしょう。背水の陣でやってるプレーヤーが世界中にいるので、ハンドル片手ではまず太刀打ちできません。
IT系新規事業は簡単に立ち上げられる分、「業務時間と精神力を、十分にそのサービスにつぎ込むことができるか」という点は意外と見過ごされがちだと思います。気持ちも労力も注げないようでは、まずうまくいかないでしょう。
「ピボット」は前提になっているか
自社サービスにこだわりを持ちすぎて、または多額のコストを掛けて開発を外注してしまったあまりに、ニーズのないサービスに金と時間を注ぎ込み続けてしまう、という事例もしばしば見かけます。
良くも悪くも、ウェブサービスの世界は「ピボット(方向転換)」が前提だと僕は思います。多くの場合、全く新しいことをやるわけで、事前の予測がうまくいくとは限りません。リーンスタートアップの手法でニーズを十分に検証しても、ピボットが必要になることもあるでしょう。
撤退や方向転換は恥ずかしいことではなく、むしろ必要なことです。数字に徹底的にこだわり、ダメならさっさとやめるべきなのです。
経験者の話を聞いているか
企画時点で、同様のサービスを運営している人の話を聞きにいくことも大切です。
変なプライドや守秘義務マインドなんかはゴミ箱へ捨てて、外の世界に出て、経験値を積んだ人からのフィードバックをたくさん受けましょう。非常にシンプルですが、これをやるだけでも余計な失敗はだいぶ避けることができると思います。
また、これは「リーンスタートアップ」の範疇ですが、経験者のみならず、想定する利用者層から話を聞くことも重要です。僕でよければ無料でお話伺うので、アプリ企画を持っている方はお気軽にご連絡くださいませ。
というあたりが僕がおすすめするチェック箇所です。
仕事柄、話題になったけれど消えてしまったサービス、そもそも話題にすらならなかったサービスなどをたくさん見ています。失敗も経験にはなりますが、避けられる失敗ならやっぱり避けておくべきです。参考になれば幸いです。
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