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『夜明け前より瑠璃色な-Moonlight Cradle-』発売中です。

2009-08-29

[][][]『ToLOVEる -とらぶる-』SS「夏の終わり」

<前書き>

 中々更新しない怠惰人こと日記の書き手です。こんにちは。

 今回の話は……、あれ? また美柑になってるよ?

 このアホはいつになったらあの唯SSを完成させることが出来るのか。

 今回の内容は、また一点突破の話です。睡眠欲→性欲?→? 次に来るのはこんな話に。

 あんまり内容無いです。エロくないです。もっとエロく表現してみたいのですが。

 美柑中心で書いたつもりなのですが、あんまり盛り上がらんなあ。

 今回は5000字程度なので、前回よりも短くて読みやすいのではと。

 ではどうぞ。読んでいただけたら幸いです。





 「あち〜〜」

 リトが思わず声を上げる。誰かに話しかけるというものではなく、単なる恨み言だ。

 両手に抱えた買い物袋の重さもあったが、それ以上に今日の気候であった。

 この前は少し涼しくなってきたと言ったものの、外に出れば陽射しの直撃もあり、相変わらず暑いと感じてしまう彩南市である。

 また、アスファルトが熱せられ、ムワンと熱気が上がってくる気がする。

 上の陽射しと下のアスファルト、日本でありがちな光景がここでも広がっていた。

 「ホントに……、暑いねェ。セリーヌも大丈夫?」

 美柑が声を掛けた。今回の買い物にはセリーヌも付いてきている。もちろん戦力になるから連れてきたわけでは無い。単に出かけるとき、リトの右肩に抱きついて離れなかったため、そのまま連れてきたのだった。

 「ま……う〜〜」

 声に元気が無い。さすがのセリーヌもこの蒸し焼き状態は苦手のようだ。ダラーッとしているセリーヌを見て、今のセリーヌ光合成とかするのだろうか、蒸散作用とかあるのだろうか、いやそもそも昔からしてたのかなぁ、なんてことを小学生の美柑は思うのであった。

 「あとちょっとで家だし。家帰ったら冷たいもの出してあげるから、頑張ってね」

 「まうま〜〜〜!!」

 美柑が交換条件を提供すると、突如として元気になるセリーヌ。現金なものであった。

 「いて、いてっ、やめろ、セリーヌ

 リトの背中を軽く蹴りだしたようだ。パンパンと軽い音が鳴っている。

 まるで馬に鞭を入れた騎手のようであった。

 「まうままま〜〜!!」

 「やめてくれ〜〜」

 リトは思わず走り出す。家は近い。走れば3分も掛からず着く距離だった。

 「あらら」

 走っていくリトの姿を見送りつつ、苦笑いを浮かべながら、美柑も帰路を少しだけ急ぐのであった。


 「ただいま〜〜」

 美柑が家の扉を開けて中に入る。冷房が掛かっていて涼しい……なんてことはなく、締め切った家のため、ここもムワンとした熱気が広がっているのだった。

 「おかえり」

 先に帰っていたリトたちが顔を出した。リト自身は大分汗をかいているようだった。

 「結局、最後まで走ったの?」

 「走らされました」

 「まう〜!」

 「そっか、ご愁傷様」

 「オレがこれ運ぶから、台所でいいか」

 「うん、それでお願い。ありがと」

 リトが美柑の下ろした買い物袋を運んでいった。今日は、ララたち三姉妹と一緒に夕食を摂る事になっており、普段より量が多かったのだった。

 美柑は、靴を脱ぎ、台所へ向かっていった。


 「ん〜と、これとこれはここに仕舞って……」

 美柑がいかにも所帯じみた声で、冷蔵庫や冷凍庫に買った食材を仕舞っていた。当然のことだが、生もの系統を出来るだけパッパと仕舞った方がいいということである。

 冷凍庫の中身を見たら、飲むアイス(クー○ッシュ?)があった。

 「リト〜〜」

 声を上げてリトを呼び出す。

 「何か用か? 美柑」

 「これ、はい」

 美柑はその飲むアイスをリトに放り投げる。リトは二回ほどジャングルしながら受け取った。

 「これは?」

 「セリーヌのものだから、揉んでおいて。そのままだと硬くて吸えないと思うし」

 「そっか、了解」

 美柑に命令され、リトはアイスの袋をグニグニとやり始めた。そのまま、動かずじっと美柑の姿を見ていた。

 「……何か用?」

 「いや、別に」

 美柑は、冷凍庫の収納を終え、正座をしながら野菜を冷蔵庫に詰め込んでいた。

 リトは、そんな姿をボーっと見ているのであった。


 「終わりっと」

 冷蔵庫の扉を閉め、買い物袋を手早く纏める。慣れた手つきで袋を折りたたんでいく様子は、重ねた年季を感じさせた。

 畳んだ袋を収納用の箱に放り込み、美柑は冷凍庫の扉を開けた。

 「ん〜〜、これとこれでいっか」

 普段より少し高めのアイスを取り出す。リトに対するねぎらいの意味があった。単純に自分が食べたいものだったのもあるが。

 ちなみに、リトは一足先にリビングへ戻っている。アイスが柔らかくなり始めたので、セリーヌに渡すために戻ったのだった。

 美柑がリビングと台所をつなぐ暖簾をくぐった。

 「お疲れ、美柑」

 「まう〜〜」

 リトとセリーヌからねぎらいの言葉を貰う。

 「うん、リト、どっちがいい?」

 「ん〜〜、左でいっかな」

 リトが美柑の左手に持ったアイスを指差す。美柑はスプーンを左手に持ち替え、リトに手渡した。

 「はい、こっちね。あとスプーン」

 「ありがとう」

 「まうま〜」

 「はいはい、隣失礼、セリーヌ

 「まう!」

 セリーヌは両手にアイスのパックを持ちながら、思い切り笑顔で応えた。

 美柑がセリーヌの隣に座り、ちょうどセリーヌをはさんでリトと美柑が座る形になる。

 「んじゃ、いただきます」

 リトが蓋の開いたアイスを少し掲げて美柑に示す。

 「どういたしまして。では私も」

 蓋を開けると、冷たい空気があふれ出た気がした。まず、蓋についたアイスをスプーンでそぎ落とし、口の中に入れる。

 「ん〜〜」

 ひんやりとした感触が口全体に広がる。体全体が冷やされていくように感じる。

 蓋をテーブルの上に置き、いよいよアイスの塊に取り掛かる。

 アイスの食べ方、特にこういった紙のカップに詰められたアイス(スー○ーカップみたいな)だと、食べ方にも個性が現れるようだ。外側から中心に食べ進める人、端から端へと日食のような感じで食べ進める人など様々である。

 美柑は、これらの中でどこに位置するのかというと、特段のことなく、食べたいように食べ進めていくタイプであった。

 ちょっとだけ食べ進めたとき、横目でリトを見ると、ちょうど目があった。リトはにこりと笑ってきた。

 「いや〜〜旨いな〜〜。たまにしか食べないから、一層そんな気がする」

 「いつもはそんなに出さないからねぇ。セリーヌはどう? おいしい?」

 「まう!!」

 美柑がセリーヌに訊くと、右手をぐっと握って笑って応えてきた。

 手に持っているアイスに目をやったところ、セリーヌの食べているアイスも残り少なくなっていたようだった。

 「一口食べてみる?」

 「ま、ま〜うっ!」

 ニパーと笑いながら返してくる。顔を突き出して、口をパクパクと閉じたり開けたりしてきた。

 「はいはい、ちょっと待ってね」

 一すくい、スプーンでアイスをこそぐ。少しだけ溶けて柔らかくなっており、楽々取ることができた。

 「はい、あ〜〜ん」

 赤ん坊の口に食べ物を持ってくるかのように、ゆっくりとスプーンをセリーヌへと近づけていく。

 しかし……、

 「まうっ!」

 「あっ!」

 セリーヌが飛びついた。パクリとスプーンを加え、ソファーに着地。

 美柑は思わず、スプーンを放していた。

 「んもう……、危ないでしょ」

 ちょっとだけ怒ったような、笑ったような、そんな表情を浮かべて、セリーヌを見た。

 スプーンをくわえたまま、瞳を輝かせ、セリーヌは美柑を見た。

 「今回はいいけど、次やったら、ペンペンだからね」

 「うま〜う!」

 「ホントに分かってるのかしら……」

 ハァッとため息をついて、顔を上げると、リトが苦笑いをしながら、美柑を見ていた。

 「まぁ、仕方ないさ」

 リトは、両肩をすくませ、いかにも仕方ない、といった合図を美柑に送った。

 「ええ」

 セリーヌからスプーンを受け取りつつ、美柑は返事をした。

 「セリーヌ、俺のも食べてみるか」

 「まう!」

 そして、また同じことを繰り返すのであった。


 「ねぇ、リト」

 リトがセリーヌにアイスを一口やってから、少しして美柑がリトに話しかける。

 「何?」

 「それ、どう? 新発売だったけど」

 「あ、そうなの? ん〜〜、そこそこおいしいぜ」

 リトは普段から、そこまで辛い批評をするタイプではなかった。だから、正確に味についての評価を聞きたい場合、あまり参考にならなかった。

 「……あんまりあてにならない表現だねぇ……」

 「そうだな……、すまんが、表現するにはオレの力が足りないな。食べる?」

 「えっ?」

 リトとしては、結局実体験をするのが一番早い話だという考え方なのだろう。一匙すくい、美柑にほんの少し差し出すように腕を上げた。

 「ほい、美柑」

 「へっ?」

 ツイッと差し出されるスプーンに、美柑は思わず顔を引いた。その顔はほんの少し赤みを帯びていた。

 「食べないのか?」

 「い、いや、そうじゃないけど……。セリーヌが見てる前で食べるのもなぁ……」

 セリーヌを言い訳に使ってみた。情操教育に良くないとかまあそんな感じの理由にしておけば回避できるような気がしたからだった。

 美柑としては、別に回避したいわけでもなかったが……。

 しかし……、

 「寝てるけど」

 「あれ?」

 いつの間にか食べ終わって、眠気を催したのだろうか。セリーヌは、すっかり、すぴすぴと寝息を立てていた。

 アイスの袋は胸元に抱えられていた。中身はしっかりと食べられていたらしく、特に液体が漏れでているといったことはなかった。

 「それで、食べる?」

 「あ、うん」

 「じゃあ……、あーん」

 「ん……」

 口とスプーンの距離を縮めていく。距離が十分に近づいたことを確認して、口を開いた。

 開いた口に、スプーンが入れられた。

 「どう?」

 アイスが離れたのを感じ、リトがゆっくりスプーンを引き抜いた。

 美柑は、咀嚼するかのように口を動かして、舌全体で味を確かめる。

 「ん〜〜、どうかなぁ。もうちょっとすっきりとした甘みがあったほうがいいかなあ」

 「言われてみれば、そんな感じもするかな」

 リトがアイスを口にしながら言った。

 「まあ、保留ってとこだね。あと二つぐらいあるから、それで判断」

 「へぇ〜。美柑、そっちもくれないか」

 「あ、うん……」

 一さじすくい取り、リトの口元へ持っていくと、リトはパクリと口に入れた。

 「へ〜、こんなんなのか〜」

 「……」

 「どうした?」

 「別になんでもないよ」

 そのままプイッと美柑は正面を向き直った。

 変なのと思いつつ、リトも再びアイスへと立ち向かうのであった。


 「ごちそうさま」

 美柑が手を合わせて言う。テーブルの上には、カップが二つとスプーンが二つ、そしてアイスのパックが置かれていた。

 「んじゃ、片付けるよ」

 「お願い、美柑」

 「わかった」

 手早くカップとパックをまとめ、スプーンを持って台所へと向かった。

 スプーンを洗って、上げておく。自然に水が切れれば十分だろう。

 戻ると、リトがセリーヌの頬を指先で押していた。

 「何やってんの?」

 「いや、べつに」

 セリーヌが頬を押すリトの指先を柔らかくつかんだ。

 「おっ……」

 「あらら……」

 美柑が再びもとの位置に座りながら、優しげな笑みを浮かべた。

 「えいっ」

 人差し指でセリーヌの頬を一押し、すると今度は美柑の指をハッシとつかむ。

 「ふふっ……」

 「どうした、美柑」

 「なんでもないよ。何でもね……」

 「そっか」

 「そっ」

 美柑の指をウニウニと握るセリーヌを見て、二人は笑うのであった。


 「明日から、雨が降るらしいね」

 美柑は、朝の天気予報で得た情報を、リトに振った。

 「ああ、今日で、夏も終わりってとこだな」

 「ところで、宿題は終わった?」

 「まだです……」

 「この前レポートだけって言ったような」

 「気にしないでください」

 「そうねぇ」

 「そういうお前はどうなんだ? 終わったのか?」

 「8月の初めには全部終わらせたけど?」

 「本当に……?」

 「こんなことで嘘ついてどうするの」

 「御見それしました」

 「ま、そういうことね」

 「他には? 何か……こう、何かイベントとか無かったか?」

 「ん〜〜、ヤミさんとちょっとお出かけしたぐらいで……。ってそういうリトは何かあったの? 春菜さんやララさんと」

 「どうだろうなあ……。どうなるんだろう」

 「やれやれ、まだまだみたいね」

 「申し訳ない」

 「そっか……」

 「何だよ……」

 「……何でもないよ」


 美柑は、セリーヌを抱き上げた。

 「セリーヌを寝床へ連れて行くから」

 「分かった」

 「よかったら、お風呂でも洗っといて」

 「了解。ぜひ洗わせて貰います」

 「よろしい」

 「じゃあ、ちょっと行ってくるから」

 「ああ、頼んだ」

 美柑がセリーヌを抱っこして、二階へと上がっていった。

 リビングにはリトが一人、残されている

 「どうなるんだろうなあ……。今年の……夏休みも終わりか……」

 フゥとため息をつく。外を見ると、風が強くなってきていた。

 そして、リトは、パンッと軽く両太ももを両手で叩いた。

 「まあ、まずは風呂洗いからだ。その後宿題もあるし、さっさとやっとかないとまたどやされるからな」

 リトは、そう言いながら立ち上がり、リビングを出て行った

 リビングと廊下を隔てる扉が閉まり、カチャリと音を立てた。

 夏も終わりに近づいていた。



<後書き>

 ええっと、終わりです。

 何これ?とおっしゃられる方、多分そうだと思います。

 もっと盛り上がりがある描写をしたいのですが、そうするとちょっとはみ出しすぎるような。

 エロに突入させてもいいような気がするのですが、とらぶるな範囲で表現したいからなんとも。

 いっそ、アイスを美柑の胸の谷間に落としてみるとかどうでしょう。あれ?谷間ないよ?

 一緒にお風呂入るとかやってみたいなあ。もちろん全裸。

 水風呂です水風呂。暑いときには水風呂が一番です。

 美柑と水風呂だよ。微妙に二人だと風呂場が狭いんだよ。そうするとちょこんとリトの前に収まるんだよ。

 すると、股間が絶好調です。髪下ろしてるから、ウェーブのかかった濡れた髪から、水が滴り落ちて色気が今使ってるのが20倍界王拳なんじゃだよ。

 水風呂に入って汗を流すつもりが汗をかいちゃった。

 こんな話を書いてたら、頓死するのでやめておきます。


 美柑の中学生制服が見たいです。最近すごく見たくなってきた。誰か描いてください。

 入学式の前に一回転。私も思わず一頂点。

 入学式の前になんか棒状のものが入学式。入学おめでとう!!

 そしてカルピスが贈られるわけです。でもカルピスって基本夏の飲み物だなあ。

 お中元にカルピスは夏の定番だったけど、いつしか忘れられていますね。

 ひょっとしたらそんな流れは一度たりとも無かった?

 カルピスは濃く作るのが好きでしたね。何か贅沢している気分になって。

  

 もしも、ここまで見てくださった方がいらっしゃいましたら、ありがとうございました。

 またお目にかかれるように、努力したいと思います。

 ではまた次回。さようなら。

 <追記>

 一応昔書いたTo LOVEるSSも紹介しておきます。よろしければどうぞお読みくださいませ。

 『ToLOVEる -とらぶる-』SS「春眠乙女」 - 一歩進んで三歩戻る

 初めて書いた美柑ssですね。内容はリトと一緒に寝る。原作でやりましたね。一応原作よりも先に書いたんで許してください。

 それに色々違うところもありますし……。

 『ToLOVEる -とらぶる-』SS「兄で息子、妹で母親な二人だけの昼下がり」 - 一歩進んで三歩戻る

 第二弾美柑ss。内容は夏休み終盤のある日、美柑がリトの耳掃除をします。

 ちょっとドキドキなはずなのですが、リトはあまりドキドキしなかったり。てかリトがドキドキしたら性的に過ぎるなと思ったので。

 『ToLOVEる -とらぶる-』SS「ある朝の儀式」 - 一歩進んで三歩戻る

 第四弾美柑ss

 リトの唇に朝起きると不思議な感触が……。最近寝起きも良いし……。そういや、いつも美柑がカーテン引いているような……。

 一体どういうことだろう?というのが内容。

 リトの無自覚と美柑の自覚を対比させるみたいな。

 『ToLOVEる -とらぶる-』SS「ある夜の密談」 - 一歩進んで三歩戻る

 第五弾美柑ss

 夜中にリトの部屋へと忍び込むモモを止めるため、美柑が立ち上がったのだけれど……。

 書いている当人も思わぬ方向へと進んで行ってしまった印象のある一作。

 本音と建前と自覚と無自覚をその時々で上手く使いこなせれば楽しいかも。

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