再生の原風景 渡良瀬
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【国際】iPS臨床 虚偽認める 森口氏「昨年6月は実施」
【ニューヨーク=青柳知敏】人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の臨床治療を実施したとの研究発表に虚偽があることが分かった森口尚史(ひさし)氏(48)は十三日午前(日本時間十四日未明)、滞在中のニューヨーク市内のホテルで会見し、自ら主張した六例の治療のほぼ全てが虚偽であることを認めた。 森口氏は「記憶が定かでないところや、いろんな状況でミスがあった。糾弾されるのは当然だ。道義上の問題を含め申し訳なく思う。不徳の致すところだ」と謝罪した。 森口氏は当初、米マサチューセッツ総合病院で今年二月、米国人男性(34)に対し、iPS細胞を使った心筋細胞移植をしたと説明。その後、九月までに五例の治療を行ったとし、この研究成果を今月十一日、トランスレーション幹細胞学会で発表する予定だった。 森口氏は二月十四日としていた臨床治療に関し「二月ではなく昨年六月」と訂正。さらに矛盾を追及され、二月から九月にかけて実施したと主張していた臨床治療について「事実はない。結局はうそをついたことになる」と認め、「もうろうとしていた」と釈明した。 一方、昨年六月の臨床治療は「実施した」と抗弁。場所はマサチューセッツ総合病院と説明していたが、「面倒くさいからそう言った。実際はボストン市内の別の病院だった」などと述べた。同総合病院は十二日、「iPS細胞を使った治療が行われた形跡は一切ない」との声明を発表していた。 また、「ハーバード大学客員講師」との肩書にも虚偽があるとされる点は「(うそとは)認めない」と言い張った。 ◆英米科学誌が疑問視 本執筆 山中論文と同じ表現英科学誌ネイチャーは、森口氏が主張するiPS細胞を使った治療を疑問視する異例の記事を電子版に掲載した。米科学誌サイエンスも、治療実施が確認できないことを詳しく紹介する記事を電子版に載せ、国際的に権威のある両誌がそろって信ぴょう性に疑問を示した。 「うますぎる話だと思った」としたのはネイチャーの記事。疑問の根拠として、二種類の化学物質を使いiPS細胞を作るとする森口氏の手法について「成功例を聞いたことがない」とする日本の専門家の話を紹介。治療が事実なら「ほとんどの専門家の予測より何年も早い」とも指摘した。 サイエンスの記事も、治療について日本で報じられたが「すぐにハーバード大から疑問が示された」と記述。その後、日本でも東京大や東京医科歯科大が調査を始めたことや、過去の論文にも疑問の目が向けられていることを説明した。「分からないことが多い」との東大病院関係者のコメントも紹介した。 またネイチャーの記事は、iPS細胞に関連する本で森口氏が執筆を担当した部分に、ノーベル医学生理学賞に決まった山中伸弥・京都大教授の論文と同じ表現があると指摘した。森口氏は同誌に「皆同じようなことをやっていて、似た表現になるのはおかしなことではない」と話したという。 PR情報
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