マスコミ批判に関する一考(115) 過去の事業仕分けに言及しないマスコミの報道
マスコミ批判に関する一考(115) 過去の事業仕分けに言及しないマスコミの報道
京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の研究においてノーベル賞を受賞した。
まず、受賞に関して、この場をお借りしてお祝いを申し上げたい。まことにおめでとうございます。今までフェイスブックやツイッターを含め、全くこの偉業に関して私の所感を述べていないので、日本人のこの偉業に関して非常にうれしい思いである。特にこの山中教授の「日本という国が受賞した」という記者会見での発言は、テレビ朝日などがその発言をカットするなど、なんとも日本という国家のすばらしさを「なるべく伝えない」印象操作を行うことによって、なんともおかしな話になっている。そのマスコミ報道市政のおかしさに関してはなんともいえないものがあるが、実際のところに関しては、
山中教授の偉業は讃えられるべきことであり、中国韓国などは日本のその研究姿勢や、その研究環境に関して非常に大きな同系を持っていることは間違いが無い。あれだけ反日で動いていた中国・韓国の報道が日本はうらやましいという感覚になってきているのであるから、日本の報道だけが狂っていることが寄り一掃際立ってしまうのである。
さて、この山中教授の「日本という国家が受賞」という言葉は、まさに日本という国家の研究に対する姿勢や補助金の配布の状態など、研究というものに関する環境の提供ということを言っているものと思う。あえて「思う」と書いたのは他でもない。私の場合、理数系のこれらの研究に関して全くわからない。そもそも、このiPS細胞に関しても、何かすごいものらしいとは思うものの、何がすごいのか、具体的に説明できるわけではない。そもそも、この報道の中でよく使われる「基礎研究」というものと「応用研究」というもの、その言葉の意味はさすがにわかるものの、iPS細胞がどちらに属するのか、(どうも基礎研究らしいのであるが、)また、そこから応用研究でどのような可能性があるのかは全くわからない。
ちなみに、この報道をしているマスコミの人々も、私とほぼ同じレベルである。当然に、すべてが理解でき、なおかつそれが発想できるのであればマスコミなどというあさましい仕事をしていることはなく、末席であっても研究者の中に名前を連ねているであろう。マスコミにいる以上、それらが専門であったとしても、ドロップアウトして、優秀ではないということである。
しかし、その優秀ではない私であっても、間違いなく『研究の環境』が大事なことはわかるし、同時に、その環境を整える予算がどれほど大事なのかは欲理解しているつもりである。
「日本の未来は」と憂慮=科技予算削減にiPS細胞の山中教授
世界で初めて人工多能性幹(iPS)細胞を作った京都大の山中伸弥教授は25日、iPS細胞の特許成立の記者発表で、科学技術分野でも予算削減を求めた行政刷新会議の事 業仕分けに対し「日本の未来はどうなってしまうのか」と述べ、憂慮する考えを示した。
山中教授は「iPS細胞の研究は10年間支援してもらい、幸運にも花開いた研究の一つ。10年前のどの研究が大きな成果につながるか誰も予想できない」と述べた。
(時事ドットコム)
2009年11月25日
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009112500991
山中教授 事業仕分けを批判
政府の行政刷新会議の事業仕分けで科学研究の予算の廃止や削減が相次いだことについて、あらゆる組織や臓器になるとされる「iPS細胞」の作成に成功した京都大学の山中伸弥教授は「想像を絶する事態で、今後の日本がどうなるのか深く憂慮している」と厳しく批判しました。
これは、25日、山中教授が京都大学の記者会見で述べたものです。この中で山中教授は「この分野の研究を10年続けてようやく成果が出たが、10年前の段階でどの研究が成果につながるか予想するのは不可能だ。多くの研究者のさまざまな研究を支援し、そのうちのいくつかが成果につながるというのが科学だ」と指摘しました。そのうえで、政府の事業仕分けで科学研究の予算の廃止や削減が相次いだことについて、「ありえないことだ。そもそも日本は科学研究費の割合が低く、海外より10年、20年遅れた劣悪な環境で研究をしている。その中で予算を削減するのは想像を絶する事態で、今後の日本がどうなるのか深く憂慮している」と厳しく批判しました。さらに、「日本が科学の後進国になり若い研究者から希望を奪うことにならないよう祈っている」と述べて、科学研究の十分な予算を確保すべきだと強調しました。
(NHKニュース)
2009年11月
http://www.nhk.or.jp/news/t10014003541000.html
首相「日本人として誇り」…山中教授ノーベル賞
野田首相は8日夜、山中伸弥・京都大学教授のノーベル生理学・医学賞受賞が決まったことについて、「我が国の学術水準の高さを世界に堂々と示すものだ。被災地で復興を目指す方々をはじめ、全国で数限りない方々が受賞に目を輝かせ、勇気づけられると思う。心から敬意を表し、日本人の1人として誇りに思う」とするコメントを発表した。
2012年10月8日(月)21時32分配信 読売新聞
http://news.nifty.com/cs/domestic/governmentdetail/yomiuri-20121008-00709/1.htm
首相が山中教授と面会、iPS細胞で支援伝える
野田首相は12日午前、首相官邸で、ノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった山中伸弥京都大学教授と面会した。
首相が「日本中が大喜びしている。我が家でも最もホットな話題だ」と祝意を伝えると、山中教授は「今回の受賞は国に支援を頂いた結果で、私個人の受賞ではなく、日本全体で取った賞だ」と応じた。
首相は「山中先生ほどの有名人でも、資金調達に苦労していると聞き、非常に痛切に感じている。我々もiPS細胞(新型万能細胞)の実用化に向けて支援していきたい」と述べた。
首相は、夫人の仁実さんが山中教授の研究基金に寄付していることも話した。
山中教授は面会後、国からの支援のあり方について、「研究員をきちっと雇用できるような仕組みをお願いしたい」と記者団に語った。
2012年10月12日(金)12時50分配信 読売新聞
http://news.nifty.com/cs/domestic/governmentdetail/yomiuri-20121012-00738/1.htm
さてさて、その「研究の環境」というものの大きな要素の一つが「予算」である。しかし、研究ということは、将来の日本に対する投資であって、基本的にすぐに何らかの結果が出るわけではないし、その研究の投資が必ず花開くというものでもないのである。多額の研究を行っていたところで、それ以上の結果が出てしまえば全く意味が無いし、また、研究が失敗してしまうわけでもない。また、現在の企業会計のように、一年後との必ず成果が出るものではないのである。
要するに、研究の環境という予算はかなり公共性の高い予算であり、その予算の高い予算がしっかりと組めなければ、基礎研究などは全くできない。当然に国立大学などにおいては、当然に、国家の予算がしっかりと組まれなければならない。当然にその予算と研究環境の充実が、将来の日本に新たな技術を生み、そして新たな産業を生み、日本を技術立国として反転させる礎となるのである。
しかし、民主党内閣は、その基礎研究の予算を「事業仕分け」で減額または削除したのである。「一位じゃなきゃダメですか」という発言は有名になり、日本国民の多くが民主党政権に反感を抱いた言葉の一つとして、また、民主党政権が技術や学術研究に関して全く理解をしていない象徴として、そして、強いては民主党政権が日本の産業構造も将来の経済構想も全く考えていないということに関して、非常に端的に表した一言として有名になったのである。
そして、山中教授は、この事業仕分けに関して過去にさまざまな媒体で苦言を呈しているのである。これが報道である。
しかし、いざノーベル賞を取った瞬間に、それらの報道は全く忘れられてしまい、野田首相が賞賛しているとか、そのような話しばかりである。はっきり言う。そもそもそれらの事業仕分けで、京都大学の研究はどれくらい遅れたのか、どれほど大きな障害になったのか。そもそも、民主党はそれらの謝罪から行わなければならないし、マスコミは、当然にそれらの謝罪や事業仕分けの総括を行うことを求め、その上で首相からの賞賛の言葉を得なければ「ジャーナリズム」として、全くできていないことになってしまう。そのとき限りの無責任な「言葉乗られる」では、ジャーナリズムが死んでしまう。戦争のことやわけのわからない村山談話などばかりを何回も繰り返し、『一位じゃなきゃダメですか』を、全く流さずに、野田首相の賞賛の言葉や前原・田中大臣の話ばかりを流しているマスコミのこの「偏向報道」姿勢は、さすがにおかしいといわざるを得ない。
まさに、現在のマスコミにおけるジャーナリズムは死んだ。iPS細胞で医学は進歩的に進んだとは思う。しかし、そのノーベル賞受賞で日本のジャーナリズムの死が確認されたのは皮肉なことなのではないだろうか。
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