■街中に醸造所がある珍しさ
甲府市の「ホップス・アンド・ハーブズ」(2月開業)もJR甲府駅から徒歩10分の商店街にあり客数は1日30~40人。千葉県市川市の会社員、櫛野恭生さん(29)は「仕事で月1回甲府に来るが、駅に近いので帰る前につい寄ってしまう」。出張族もひき付けている。オーナーのマーク・メイジャー氏は「街中だからこそ醸造所がある珍しさが際立つ」と話す。
大手メーカーの店ビールも人気だ。アサヒフードクリエイトが運営する「酒肆吾妻橋」(東京・墨田)では併設醸造所で作ったビールの消費量が6~8月で前年同期比6%増。レストラン内醸造所で作ったビールを出すキリンビール工場内の「スプリングバレー」(横浜市)も6~8月の客数が12%増えた。
■「その店だけ」の特別感
1994年の酒税法改正で最低製造数量が引き下げられ、全国で地ビールがブームになった。各地の観光名所では象徴となる地ビールが定着したが、廃業する醸造所も相次いだ。全国地ビール醸造者協議会(東京・新宿)の石川智康事務局長によると、現在の醸造所数は約200で、最盛期の半分程度という。一方で、石川さんは「東京都や神奈川県などの人口密集地域で、手軽に通える小さな醸造所が最近増えた」と指摘する。
電通総研の大屋洋子主任研究員は「その店でしか飲めないという特別感は交流サイト(SNS)上で話題になりやすく、友人らの共感も得やすい。酒を飲む頻度が減った20~30代も受け入れる要因になっている」と分析する。「作り手の顔が見える安心感」(大屋さん)も、食の安心・安全に一段と敏感になっている消費者に受け入れられているという。
■発泡酒とビールで製造免許に違い
酒税法では麦芽使用量だけでなく、年間製造見込数量でビールと発泡酒の製造免許を分けている。製造見込数量が年6千リットル以上の場合は発泡酒、6万リットル以上だとビールの製造免許が与えられる。製造数量が少ないブルーパブは発泡酒の免許を取得する店が多い。ただ発泡酒でも麦芽の使用量が多ければ支払う税額は上がる。果汁を入れたりする場合は発泡酒の免許が必要になるため、ビール免許と発泡酒免許の両方を持つブルーパブもある。
(大島有美子)
[日経MJ2012年9月26日付]
キリンビール、ブルーパブ、ベイブルーイングヨコハマ、ティー・ワイ・ハーバーブルワリー、ビアフェス、アサヒフードクリエイト
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