厳しいメガネ業界…売上高トップに躍り出た社長「次は九州」
産経新聞 10月15日(月)8時40分配信
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九州戦略について語る冨澤昌宏社長=静岡市のメガネトップ本社(写真:産経新聞) |
低価格競争による厳しい状況が続くメガネ小売り業界で、昨年度、売上高業界首位に躍り出たメガネトップ(本社・静岡市)が、中価格帯を取り扱う「眼鏡市場」を中心に、九州での店舗拡大を計画している。同社の冨澤昌宏社長(31)は産経新聞の取材に「九州では他地域より知名度が低く、挑戦の余地がある。都市部で積極的に出店を進めたい」と述べ、今後5年間で九州での売り上げシェアを30%へと倍増させる考えを明らかにした。(田中一世)
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−−現在、中価格帯の「眼鏡市場」と若者向け格安店「ALOOK(アルク)」の2ブランドで計800店を全国展開している。増収が続く要因は
「一番の原動力は『レンズ・フレームセットでワンプライス(均一価格)』の販売戦略。平成18年に大手でいち早く取り入れた。お客さまから『1万円台で買えると思ったのに、レンズを選んだら2、3倍かかってしまった』という不満が多く、価格の不透明感に改善の必要性を強く感じていた。
現在は、レンズ付きメガネ一式1万5750円からのスリープライスを設定している。超薄型非球面レンズや遠近両用など30種類のレンズとフレームを自由に組み合わせられ、価格がわかりやすく安心して買えるものになった」
−−均一価格を取り入れながら苦戦している社もある
「当社には先行者メリットがある。当初、他社は『どうせ長続きしない』と静観ムードだった。メガネの売り上げはレンズの占める割合が大きいため、どのレンズを選んでも追加ゼロというのは商売としては非常識だった。
当社は30億円以上を投資して『メガネトップ』約300店をわずか1年半で『眼鏡市場』に改装し、均一価格を強く打ち出した。他社が後を追おうとしたときにはすでに全国で多くの顧客をつかんでいた」
−−全国、九州での今後の事業の展望は
「国内で圧倒的なシェアを獲得したい。『眼鏡市場』を中心に年間60〜70店ペースで拡大し、5年後までに1100店を目指す。売上高のシェアでいえば、現在の全国平均17%を30%に引き上げる。
九州の店舗は現在58店。九州は地域に根付いた地場メガネチェーンが多く、シェアは15%で平均より低いが、その分、挑戦する余地が残っているということ。特に、福岡、熊本、鹿児島などの都市部は商圏として魅力的だ。当社の商品力や価格設定といった強みをアピールしていけば勝負できる」
【メガネトップ】 本社は静岡市葵区伝馬町8−6。昭和55年設立。従業3623人。東証1部上場。メガネ販売の「眼鏡市場」「ALOOK」、コンタクトレンズ販売の「レンズスタイル」を全国展開する。冨澤社長は創業者の父、昌三氏のあとを継ぎ、平成21年に就任。
■メガネ業界 勝ち組と負け組くっきり
「ワンプライス」と呼ばれるフレームとレンズ一式価格の登場で、国内のメガネ小売り業界はこの約10年間、激しい低価格競争を繰り広げ、勢力図を大きく塗り替えてきた。一式価格にいち早く対応した大手チェーンは出店攻勢をかけ、旧来の販売手法を続けるチェーンは店舗網の縮小を余儀なくされるなど勝ち負けが鮮明になっている。
メガネ業界の売上高はこの約10年で、5600億円から3900億円に縮小した。不景気による消費低迷とともに、低価格化が進んだためだ。フレームとレンズ合わせて約3万円だった平均単価は、2万3千円にまで低下している。
その火付け役となったのが、「Zoff」を展開するインターメスティック(東京都渋谷区)。平成13年に初出店し、一式5千円台の格安メガネを売り出した。自ら企画した商品を、中国の工場で生産する“ユニクロ方式”で低価格を実現。最安5250円という価格とデザイン性を強調し、「おしゃれのためにメガネを複数持ち」する若者向け市場を開拓した。
そんな中、平成18年に高品質商品で「1万8900円」という中価格均一を打ち出したのが、「眼鏡市場」を運営するメガネトップだ。同社は連続増収を続け、平成23年度は前年度比19・6%増、634億円を売り上げて業界首位に躍り出た。
それまでのメガネ業界は、様々なオプションを提案し「顧客一人一人に合ったメガネ」を売りにしてきた。「メガネの三城」などを展開し長年業界トップに君臨してきた「三城ホールディングス」(東京都品川区)の23年度の売り上げは、595億円で前年度比1%減。一時期は破竹の勢いで顧客を獲得してきた3位のメガネスーパー(神奈川県小田原市)は、191億円の14・7%減で、店舗網縮小を進めざるを得ない状況だ。他の大手も軒並み苦戦を強いられている。
均一価格は低価格化だけでなく、デザイン性やファッション性も進化させた。手軽にメガネが買えるようになったことで、複数のメガネを持ち、服装によって使い分ける人が増えている。メガネ小売り業界は、売り上げ単価が下がる一方で、販売本数は増えるという状況だ。
また、小売り各社は自社企画に乗りだし、新商品の開発競争も進んでいる。平成21年秋ごろから、軽くて弾力性のある新素材を用いた軽量メガネや、パソコン作業向けなど大ヒットシリーズが誕生。業界には「視力を補うだけでなく、ファッション性や素材、機能性などでメガネのそのものが話題を呼ぶようになっており、消費が上向く可能性もある」との見方もある。
最終更新:10月15日(月)10時20分
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