色の発現メカニズム

チャオの色を決める4つの遺伝子は、それぞれどんな作用を持ち、どのようなチャオを作り出すのか。
※注意!:ソニックアドベンチャー2バトル、ソニックアドベンチャーDXについてのみ述べています。

4つの遺伝子

チャオの色は、4種類の遺伝子によって決まっています。
4種類の遺伝子は、それぞれ役割が異なっており、また、その組み合わせによって生まれるチャオも多種多様です。

遺伝子の遺伝については「色の遺伝とメンデルの法則」で詳しく述べていますが、遺伝子がいったいどんな働きをするのかについては、深く解説していませんでした。
ここでは、そんな「色の発現」の仕組みを、具体例とともに解説していきます。

レイヤー

遺伝子の働きをイメージするひとつの手助けとして、レイヤーがあります。
CGを描く人にとってはおなじみの言葉かもしれませんが、要は層を意味しています。
4つの遺伝子それぞれが働く「層」があり、それが重なることで、ひとつの色に見えるのです。

図にすると、こんな感じ。

この重なる順番が重要です。覚えておきましょう。

色とツヤが重なると

このレイヤーの考え方の簡単な一例として、色遺伝子とツヤ遺伝子が重なる場合を考えて見ましょう。
色遺伝子というのはその名のとおり、チャオの全体の大まかな色を決定する遺伝子です。
たとえば赤チャオの色遺伝子は「赤」で、青チャオの色遺伝子は「青」です。

ツヤ遺伝子は、そのチャオにつやつやがあるかないかだけを決めています。
だから、ツヤ遺伝子が「ツヤあり」、色遺伝子が「黄色」、となっているチャオは、つやつや黄色チャオです。
これがもしも「ツヤなし」だった場合は、つやつやがつかないので、ただの黄色チャオになります。
色遺伝子層の黄色の上に、ツヤ遺伝子層のつやつやが覆いかぶさっているイメージを、まずは持ちましょう。

模様遺伝子

模様遺伝子というのは、チャオに模様がつくかどうかを決める遺伝子です。
先に述べた色遺伝子だけでは、体全体がベタ塗りの単色にしかなりません。
模様遺伝子が「模様あり」となっているチャオだけが、体に模様を持ち、同時に複数の色を出すことができます。
一般に、模様のあるチャオことをハーフチャオと呼んでいます。

右画像は赤ハーフチャオですが、黒っぽくなっている部分が模様です。赤い部分が色遺伝子層です。
模様遺伝子の働く層には、一部透けているところがあって、そこから色遺伝子層が覗いているようなイメージです。

実際の模様の色や形は進化型や他の色遺伝子によって自動的に決まります。
画像館でほかのハーフチャオの写真も見てみましょう。
模様は色遺伝子によって決まるので、たとえば赤ハーフと青ハーフの同じ進化型を比べてみると、全く違った模様の形になっています。
一方で、模様はツヤ遺伝子とは関係がないので、たとえば赤ハーフとツヤ赤ハーフを比べても、模様の形に変化がないのが分かります。

模様は遺伝子だけではなく、進化型によっても変わる。この事実は、正確に理解する必要があります。
遺伝的な色は、生まれてから死ぬまでずっと変わることはありません。けれども、見かけ上の色は、進化によって変化することがあるのです。
「遺伝的な色」と「進化も考慮した見かけの色」、この二つの違いを意識することが大切です。

ジュエル遺伝子

ジュエル遺伝子は、その名の通りジュエルチャオが発現している遺伝子です。
雰囲気からすると、ツヤ遺伝子と同類の、光沢がつくかつかないかを決める遺伝子と思われがちですが、実は正体は謎の宇宙人、 ではなくて、それ自身が色を持っているのです。

言葉では説明しづらいので、図を見ましょう。

これは、色遺伝子が「赤」で、ジュエル遺伝子が「サファイア」だった場合の図です。(光沢がしょぼいけど、気にしない)
ジュエルの層は「それ自身が色を持つ」ように発現します。
ジュエル遺伝子が「あり」だったとき、すなわち「ルビー」や「サファイア」だったとき、その下にある層の色は、まったく見えません。
色遺伝子の層をジュエルの層で覆い隠すので、ジュエルチャオはいつも色遺伝子に関係なく、ジュエルの色を発現するのです。

そういうわけで、ジュエルチャオにはツヤを持ったものがいません。
模様遺伝子も隠れてしまうので、ジュエルのハーフチャオもいません。

無色

模様遺伝子には「模様なし」ツヤ遺伝子には「ツヤなし」ジュエル遺伝子には「ジュエルなし」がありました。
では色遺伝子に、「色なし」といったものはあるのでしょうか?ありました。
色遺伝子の中には、「無色」と名付けられたものがあります。
ただし「無色」は「ジュエルなし」のような単純なものではありません。

「無色」は、固定された色がない、ということを表しています。
たとえば、色遺伝子が「赤」のチャオ、いわゆる赤チャオは、生まれてから死ぬまでずっと赤色でした。青チャオでも、黄緑チャオでもそうです。
けれども、「無色」のチャオは、なんと色遺伝子層の色が、進化によって変わってしまいます。生まれたてのときは白で、ダークよりになると赤色です。
色遺伝子が「無色」で、模様、ツヤ、ジュエル遺伝子が「なし」のチャオのことを、完全白ピュアと言います。

色遺伝子が「無色」のチャオ自体は、意外と身近に存在します。ガーデンに初めからいるチャオ・・・ピュアチャオがそうです。色が、変わるでしょ?
けれどもピュアチャオは、模様が「あり」なので、一見すると、完全白ピュアとは似ても似つかない風貌になってしまっています。
それでも、よく見ると、ダークよりのときに色遺伝子層が一部露出していることが分かりますね。

Coffee Break

ここまでが「色の発現メカニズム」の基本的なところです。
この後はちょっと例外的な出来事とか、理屈をコネコネした話とかが続きます。
続きを読めばより一層チャオについて詳しくなること間違いなしなのですが、長い上にややこしいので、ここらでちょっと休憩した方がいいかもしれません。
一度今まで覚えてみたことを、頭の中で整理しておいた方がよいかもしれません。
のんびり行きましょう。

・・・

そういえばここまでずっと「色遺伝子層の色」という長たらしい言い方をしてきましたが、一般にはこれは「地肌」と呼ばれています。
短い方が分かりやすいですね。
というわけでこれより下では「色遺伝子層の色」とは言わずに「地肌」と言うことにします。

それでは、続き。

透明系、もしくは変色系

これまで「レイヤー」の考え方にこだわって話をしてきましたが、一旦ここでその前提を捨てなければいけないかもしれません。
というのも、チャオの色をレイヤーで考えていくと、ひとつだけ例外が存在することが判明したからです。
透明系、もしくは変色系と呼ばれるチャオたちは、特定の遺伝子構成を持ったときに産まれる、奇妙な色のチャオです。

これまでの考え方でいくと、ジュエル遺伝子が「あり」だった場合は、ほかの遺伝子がどうであろうと、みんなジュエルチャオになっていました。
しかし、ジュエルが「あり」で、同時につや遺伝子が「あり」だった場合は例外です。
この組み合わせのときだけ、なぜかわかりませんが、ツヤハーフチャオが生まれます。

このツヤハーフチャオの地肌の色は、色遺伝子の種類によって異なります。
たとえば、右図はツヤ薄水色ハーフ半透明です。けれども実際のこのチャオの色遺伝子は「青」なのです。薄水色なんてありません。
このように、時々奇妙な地肌をしたチャオが、この例外から産まれてきます。
色遺伝子の種類によっては、半透明や、完全に透明なチャオが産まれることもあります。

これらの特殊なツヤハーフチャオや半透明、透明チャオをまとめて透明系と総称しています。
ところが、ソニアドDXのPC版ではなぜか透明・半透明チャオが産まれなくなって、特殊なツヤハーフチャオのみになったので、そちらは変色系と呼んでいます。

透明系・変色系のチャオの示す色は、色遺伝子の種類によって決まっているようです。
この系統は本当に特殊なので、気になる方は「いろんな色の入手法」も確認してみてください。

模様と進化の法則性

「遺伝的な色」と「進化も考慮した見かけの色」の二つの間に、何らかのパターンが働いていないかを考えてみましょう。
地肌について、この関連性を見出すことはそれほど難しくありません。
色遺伝子が「あり」なら、進化に伴う変化はなく、色遺伝子が「無色」なら、進化属性とタイプによって決まった色が出てくることが分かっています。
ややこしいのは、模様のパターンです。

模様は色遺伝子と進化の組み合わせ次第で、いくつものパターンが出てくると考えられます。
しかし、実際には全くバラバラに模様が出てくるということではなく、同じ進化型のチャオを並べてみると、模様部分に似たパターンが繰り返し現れてくるようなのです。

それらのパターンを分析した結果、どうやら模様には基本となるパターンが3つあり、色遺伝子の種類によってそれぞれのパターンが見えるのか、見えないのかが決まっていることが分かりました。
この基本となるパターン3種類にはRパターン、Gパターン、Bパターンという名前がつけられました。
Rパターンは赤ハーフ、Gパターンは緑ハーフ、Bパターンは青ハーフを見ることで、それぞれの模様の形がよく分かります。

たとえば、黄緑ハーフでは、RパターンとGパターンが有効です。
なので、上に挙げた赤ハーフと緑ハーフの模様を足し合わせたような外観になっていることが分かると思います。

形は確かに一致していますが、色は一致していないようですね。
そう、たしかに一見するとそう見えてしまうのですが・・・
実は、ある種のブレンドを使っていると仮定すると、この色の変化にも、法則性を見出すことができるのです。

ブレンドというのは、要するに画像の合成のことだと思ってください。
おそらく、地肌に対する模様のブレンドに、パターンの原型色の減算ブレンドか、もしくはパターンの原型の補色で乗算ブレンドを利用しているのではないかと思われます。

つまり、何が言いたいのかというと、地肌の上に模様を合成するときの計算方法によっては、パターン理論で色を扱うことも不可能ではないということです。
Rパターンなら赤、Gパターンなら緑、Bパターンなら青で描かれた模様のパターン画像さえ用意すれば、あとは簡単な算数を使うだけで、 チャオが進化した時その模様がどのような色になるのかが理論的に予測可能だということです。
詳しくはこちら

地肌
××
オレンジ×
黄色×
××
黄緑×
水色×
×
ピンク
茶色
グレー

(黒とオレンジの情報は、スマッシュさんに提供していただきました)

参考リンク

ピースチャオワールド 管理人:ピースさん
膨大なチャオ研究のデータはすごいです!
ここがなければ現在の、色の理論はなかったかも