進化のしかた

チャオの進化を自由自在に操る方法を紹介。

はじめに

この文章は、チャオの進化について2009年現在分かっている法則をなるべく厳密に、ゲーム内部の処理等も考慮に入れながら記すことを目的とする文書です。
解説はソニックアドベンチャー2バトル、DXの2作品についてのみ行います。ドリームキャストで発売されたシリーズについては、本文書の記すところの範囲外とします。
これを読むためには、正の数、負の数の概念と、座標平面の理解があることが望ましいです。
進化についての基本的な理解は既に済ませてあることを前提に解説していきますので、もしもチャオの進化の概略や要点のみをつかみたいのであれば、別の文書を参考にすることをお勧めします。

用語の定義

ここでは「進化」を「チャオが成長の過程の中で、個体の姿形を変化させていくこと」と定義します。
つまり、ただ単に「進化」と書いた場合は、一次進化についてのみではなく、幼体進化や二次進化を含むチャオの成長プロセス全体を表すものとして扱います。
また、「色枠」は便宜上、本来の小動物の分類の意味だけにとどまらず、カオスドライブの対応する色についても言い表すものとします。
たとえば「黄枠」といえば、「アザラシ、ペンギン、ラッコ、黄色のカオスドライブ」のことです。
「木の実類」は木の実、フルーツ(プチガーデンで入手できるもの)、きのこなどの総称です。

色枠

色枠のキャプチャは、チャオの内部パラメータに影響を与えます。この内部パラメータは、黄、紫、緑、赤の色枠ごとに存在し、それぞれの色枠をチャオにどれだけ与えたかによって変化します。
この内部パラメータを、ここでは色枠ポイントと呼ぶことにします。

色枠ポイントの増分は、与えられたのが小動物なのかカオスドライブなのかによって異なります。
対応する色の「小動物」を与えられると2ポイント増え、「カオスドライブ」ならば1ポイント上昇します。
また、金枠、銀枠、青枠の小動物は対応する色枠ポイントが存在せず、ランダムに2ポイントが黄、紫、緑、赤のいずれかの色枠ポイントに振り分けられます。
どれに振り分けられるかは、チャオが小動物をキャプチャする度に決まるので、無限だっこを繰り返しても、同じ枠の色枠ポイントばかりが上昇することはありません。

以上により、現在の色枠ポイントは、以下の式によって求めることができます。

(X枠の色枠ポイント) = 2 × (X枠の小動物を与えた数) + (X枠のカオスドライブを与えた数) + (金銀青枠による増分)

小動物やカオスドライブを与えたときには、同時にスキルも上昇するので、スキルが進化と関係があるのかと思われがちですが、それは間違いです。

2つの評価軸

実際には、色枠ポイントはそのまま進化タイプの判定に用いられるわけではありません。
黄、紫、緑、赤の4色の色枠ポイントは、実際には2つの値に集約されています。この2つの値を、ここでは x, y とおくことにします。

x = (黄枠の色枠ポイント) - (紫枠の色枠ポイント)
y = (緑枠の色枠ポイント) - (赤枠の色枠ポイント)

複合進化をご存知の方であれば、この式がそのまま複合進化における相殺関係を表していることに、お気付きになるかと思います。
黄枠を与えた数だけ紫枠を与えれば、互いの色枠ポイントは打ち消し合い、結局xの値は黄枠を与える前に戻ってしまうのです。

進化タイプの判定

進化タイプの判定マップ x, y がしきい値±10を越えたときに、初めて特定のタイプへの進化が始まります。
しきい値を越えないとき、つまり -10 < x < 10 かつ -10 < y < 10 であれば、ノーマルタイプに進化します。
x ≧ 10 であれば、オヨギタイプ。
x ≦ -10 であれば、ヒコウタイプ。
y ≧ 10 であれば、ハシリタイプ。
y ≦ -10 であれば、チカラタイプ。
仮に x ≧ 10 かつ y ≧ 10 であれば、オヨギとハシリの複合進化。といった具合です。

図は x, y の値によってどのタイプに進化することが決まるのかを、座標平面と領域を使って表したものです。

一次進化の判定

一次進化タイプの判定マップ 一次進化の場合は、複合進化がありませんので、x, y の両方がしきい値を越えていたときに、特殊な判定が加わります。
ヒコウタイプとハシリまたはチカラタイプとの衝突なら、ハシリまたはチカラタイプが優先され、オヨギタイプとハシリまたはチカラタイプとの衝突なら、オヨギタイプが優先されるのです。

簡単に、 (オヨギ) > (ハシリ) = (チカラ) > (ヒコウ) と表現されることもあります。

図は x, y の値によってどのタイプに進化することが決まるのかを、座標平面と領域を使って表したものです。

なお、一次進化の判定の場合、最後にカオスタイプに進化するかどうかの判定もあります。
幼体のうちに全種類の小動物をキャプチャし、(転生回数) ≧ 2 でかつ、ノーマルタイプに進化しようとしているかどうかが、判定の基準となります。

属性

チャオの進化属性の判定も、進化タイプの判定と同じような、ポイントの足し算、引き算によって表すことができると考えられています。
たとえば、仮にヒーローに進化する方向を正とし、
z = (ヒーロー好きポイント) + (ダーク嫌いポイント) - (ヒーロー嫌いポイント) - (ダーク好きポイント)
というようにすれば、z の値を調べることで、そのチャオがヒーロー属性に進化するか、ダーク属性に進化するかを判定することができます。

z の値を増やしたいならば

といった手段が有効であることが知られています。
逆に z の値を減らしたいならば、ヒーローとダークで全く逆のことをすればよいのです。

しかし、実際に分かっているのはここまでで、z の値が具体的にどのように変化し、どこがしきい値になっているのかについては、研究不足のため不明です。

速度

進化は速く進むこともあれば、ゆっくり進むこともあります。
これは遺伝的な個体差ではなく、すべてそのチャオの育成環境によるものです。

進化速度の考え方

進化速度という概念は、一次進化と二次進化、幼体進化の間で、意味するところが異なります。
これは、一次進化がある時間の流れの中の一点で起こるのに対し、幼体進化や二次進化は時間の流れの中のある範囲で起こるものだからです。

一次進化における進化速度とは、チャオがタマゴから生まれてから、水色のマユに包まれるまでの時間の長さです。

幼体進化、二次進化における進化速度とは、進化の始まりから終わりまでにかかる時間の長さです。
進化タイプや属性が変わったときに、それに順応して変わる体の見た目の変化の速さでもあります。

木の実類の影響

木の実類を多く食べたチャオほど、進化は速く進みます。
これはスタミナのパラメータではなく、木の実類を食べた数……もっと正確にいえば、チャオが木の実類を食べている間に、木の実類が小さくなっていき、ついには消滅するという、あの段階的な木の実類の変化を何度起こしたかということが、進化速度に影響するパラメータの因子となっているようです。

ガーデンからの影響

ヒーローガーデンで育成している間は、幼体進化と二次進化が速く進みます。
ダークガーデンで育成している間は、幼体進化と二次進化が遅く進みます。
チャオガーデン、およびソニックアドベンチャーDXの全てのガーデンでは、それら2つの中間ぐらいの速度になります。
ガーデンからの影響は、一次進化がいつ起きるかには関係しません。

補足

進化にまつわる全てのパラメータは、転生すると全てリセットされます。
また、色枠の x, y は一次進化のときと転生のときの両方でリセットされます。

ここに書かれていることは全てチャオを育成しながら内部の動作を類推し、モデル化したものであって、すべて正確な情報とは限りません。
これまでチャオの進化を観察し、膨大なデータを積み重ねてくださったチャオ研究者の方々へ、この場を借りてお礼申し上げます。