森口尚史氏が「iPS細胞から心筋の細胞を作り移植した」とする臨床応用について、いち早く報じた読売新聞は13日、「誤報だった」と判断しました。森口氏は日本経済新聞社の記者にも記事掲載を打診していましたが、本社は疑問点が解消できていないと考え、報道しませんでした。
森口氏は8月、電子メールで記者に臨床応用の成果がまとまると伝えてきました。さらに9月下旬のメールで「10月12日(日本時間)にニューヨークで開く会議で、ヒトiPS細胞から作った心筋細胞を使った重症心不全の治療成功を発表する」と連絡してきました。英科学誌ネイチャー・プロトコルズに掲載されるとも記述していました。
森口氏は(1)2種類の化学物質を使い肝臓のもととなる細胞からiPS細胞を作り、心筋細胞に育てた(2)肝臓がんで肝臓移植を受けた患者に、心臓バイパス手術と併せて心筋細胞を注射した(3)心臓が血液を送り出す力が31.5%と大幅に回復した――などと説明していました。
記者は治療の詳細や実施病院などを問い合わせましたが、森口氏は明らかにしませんでした。国内の大学の専門医らに森口氏の取り組みについて科学的な意見を求めたところ、「がんで肝臓を移植し免疫抑制剤を使っている患者にこのようなリスクの高い手術はしない」「動物での安全性確認のデータがない」などと疑問視する回答が相次ぎました。
科学誌掲載の有無も調べました。森口氏は11日に掲載すると説明していましたが、発行元の英ネイチャーは日本法人を通じて「当該誌への掲載予定はない」と回答しました。
森口氏は、専門家の疑問や科学誌掲載の有無などに明確な回答ができなかったため、本社は記事掲載を見送りました。
読売新聞
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