人気ライトノベル「涼宮ハルヒ」シリーズについて、作品の舞台とされる兵庫・西宮を拠点に盛り上げようと、ファンらによるイベント「ハルヒサマーフェス2012」が25、26日、西宮市神園町、夙川学院増谷記念館で開かれた。作中に描かれた風景を探訪する「聖地巡礼」のパネル紹介や体験ツアーのほか、観光に結びつける方策などの研究報告もあり、延べ約150人でにぎわった。(田中真治)
「ハルヒ」は、同市出身の谷川流さんが2003年に発表。SF色のある学園ストーリーで、これまで10作が書き継がれ、06年にテレビアニメ化、10年には映画化され、ヒットした。
ハルヒを中心に情報発信しようと、漫画やアニメのファンや研究者らによる「関西新文化振興会」が今年発足し、初のイベントとしてフェスを企画。神戸夙川学院大学観光文化学部でサブカルチャーと旅行を研究する、原一樹准教授のゼミを中心とした「関西コンテンツツーリズム研究会」も加わり、多角的な視点で催された。
展示では、モデルとなった阪急甲陽園駅や夙川周辺の風景などの写真とアニメとを比較紹介。実際に足を運ぶ舞台探訪ツアーもあり、参加者らは作品世界の気分を味わっていた。
調査報告会では、同大学の学生らが、人気アニメ「らき☆すた」の舞台の鷲宮神社(埼玉県)で参拝客が激増した例などを挙げ、ハルヒを活用した地域振興の可能性を考察した。
関西学院大生の福田成宏さんは、西宮市が都市として成熟していることから、新たな観光資源となり得るかどうかについて疑問を呈した。県職員の北村尚志さんは、兵庫県で“萌えおこし”が進展しにくい現状を分析し、ファンと地元とが連携する必要性を強調した。
神戸新聞社のアルバイト求人広告から生まれたキャラクター「いまいち萌えない娘」の小説化を手掛ける森田季節さん=神戸市垂水区出身=は、実作者の立場から、実在の土地を使うメリットとデメリットや、人を呼び込むにはビジュアル面の役割が大きいことなどを指摘した。
インターネットで開催を知ったという宝塚市の会社員男性(40)は「アニメと観光を結びつけることを真剣に考えており、面白かった」と話していた。
(2012/08/27 09:15)
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