復帰戦で、積極的な動きを見せた高原=トヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスの新人FW高原幹(19)が13日、左膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがから約7カ月ぶりに実戦復帰した。トヨタスポーツセンターで行われた関西1部リーグの奈良クラブとの練習試合に後半からセンターフォワードとして出場。負傷した3月3日のJFL金沢戦以来の実戦で積極的なプレーを見せ、復活を印象づけた。
黙々とリハビリを積んでいた19歳が、サッカーのできる喜びを力いっぱい表現した。後半、約7カ月ぶりの実戦のピッチをかみしめるように立つと、高原は何度もゴール前に鋭い動きで飛び込んだ。実戦感覚はまだまだ万全ではないが、惜しいシュートを3本放つなど生き生きと走り回った。
「必死です、必死。何もしてないですよ。まだシュート打てて良かった。ボール触る回数も多くなくて。もっと引き出さないと」。試合後、反省の言葉を並べた高原だったが、表情は明るかった。前夜は眠れたが、この日になって急に緊張。「余計に疲れました。でも楽しかったんで良かった」と笑った。
期待に胸を膨らませて飛び込んだプロの世界で、いきなりの苦闘だった。3月3日の金沢戦で左膝前十字靱帯を断裂し、全治6カ月と診断された。選手生命を脅かしかねない重傷。それも高校2年時に右膝の前十字靱帯を断裂している高原にとっては、2度目の悪夢だった。
それでも、2年前の経験があったから、復帰を信じられた。「ユースのときも復帰して結果を出したからプロになれた。今回も、無理なことはないと思った」と、前向きにリハビリに取り組んだ。「1人になる時間も少なくて、それが大きかった」と、寮で若手たちと過ごすことで、ふさぎ込むこともなかった。
もちろん、実戦復帰はステップにすぎない。同期の高卒新人は次々と公式戦デビューを果たし、U−19日本代表にも名を連ねる。「どんどん状態を上げていきたい。今日もあいつらに比べたらちょっと消極的だった」。再び立ったスタートライン。持ち前の気持ちの強さは、次は公式戦のピッチで証明する。 (宮崎厚志)
【高原幹(たかはら・もとき)】 1993(平成5)年5月28日、愛知県豊明市生まれの19歳。168センチ、61キロ。名古屋U−18から今季昇格。左利きのストライカーで、サイドアタッカーもこなす。
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