中国、総領事館移転先として新潟県内の広大な土地を購入予定
中国政府が、総領事館の移転先として、新潟県庁からほど近い、およそ4,500坪の土地を購入予定であることがわかった。
日本の領海を狙う中国。
その動きは、尖閣諸島だけにとどまらず、日本のさまざまなところで見られる。
今回、取材班が向かったのは、新潟市。
ここに、中国政府が購入を予定している土地がある。
新潟県庁から、ほど近い広大な敷地。
中国は、総領事館の移転先として、この土地を購入予定だという。
以前は、駐車場として使われた跡が残るこの土地は、新潟県庁からわずか500メートルのオフィス街の一角にある。
さらに、この土地のすぐ近くには、保育園がある。
登記簿によると、その広さは、およそ4,500坪。
すぐ隣には、ゴルフの練習場があるが、こちらと比較してみても、ほぼ同じぐらいの広さ。
この広大な土地の値段は、いくらになるのか。
新潟市内の不動産会社は「基準値でいうと、坪29万円。(土地全部で)おおむね13億円ちょっとになると思います」と話した。
近くの住民からは、不安の声も聞かれた。
周辺の住民は、「広すぎるね。見たけど、近くだからよく行くけどね。領事館で、あれだけの土地が必要かというふうに思いますよね」、「何かことがあると、そこに中国の方がいらして、デモをしたりするんだったら、嫌だなと思いますね」と話した。
在新潟中国総領事館土地売却に反対する県民の会は、「新潟の土地に、日本の法律が通用しない、約5,000坪の土地ができるということには、無条件に不安はあります」と話した。
2012年4月から建設反対の署名活動を始めたところ、およそ70日間で、18万人を超える反対署名が集まり、9月、外務省に提出した。
在新潟中国総領事館土地売却に反対する県民の会は「5,000坪ではない適正な大きさで、領事館業務をするにふさわしい、適正な大きさということで、してもらいたい」と話した。
しかし、なぜ中国が、これほどまでに広大な土地を購入する必要があるのか。
2010年6月、中国は、日本で6番目となる総領事館を新潟市中央区に開設した。
ところが、そこはロシアや韓国の総領事館も入る賃貸ビルだったため、中国側は、自前の建物を希望していた。
中国総領事館の王華総領事は、「業務や館員の生活のため、新潟市内での土地購入と恒久的な建物の建設を希望している」とコメントしている。
総領事館に来た中国人は「パスポートの更新手続きのために来たけど、かなり探した。ここは小さすぎる。とてもじゃないけど、本当に見つけにくい。初めのころ、探すのにひと苦労した」と話した。
総領事館側が、さらなる移転先を探す中で浮上したのが、この新潟県庁に近い広大な土地だった。
3月15日の衆院予算委で、玄葉外相は「土地の使用目的とか、広大な土地が必要な理由について、中国側からは、総領事館事務所に加えて、総領事の公邸および館員宿舎、市民との交流ができる触れ合いの場、駐車場を併設する旨の説明があったところであります」と述べていた。
今回の件について、新潟市は、民間が所有していた土地の取引であるとして、ノーコメント。
篠田 昭新潟市長は、3月の市議会で「外交上、国が判断すべきこと」と述べている。
こうした中国による土地購入は、新潟だけの問題ではない。
東京都内では、大使公邸の用地として、国家公務員共済組合連合会が所有する、およそ1,700坪の土地を、一般競争入札により60億円で落札。
愛知・名古屋市でも、総領事館を国家公務員宿舎跡地およそ1万坪のうち、3,000坪に移転・拡張する計画。
さらに、農林水産省と国土交通省の調査によると、2010年と2011年の2年間に、中国資本の企業が、北海道内で100haにのぼる森林を買収したことを確認している。
水資源の確保が狙いとみられている。
中国による日本の土地買収について、中国事情にくわしいジャーナリスト・富坂 聰氏は「目の届かないところで、日本の土地が自由に買われてしまっているというところが、今回の領事館の問題を入り口として、国がきちっと規制できるようなシステムを持たないと、いざという時に対応できない。安全保障上、どうしてもだめだという場所とか、そういう場所は、きちんと最初に押さえておくという、その手続きが必要じゃないかと思います」と話した。