2005年09月19日

詳説・日本の情報機関part.6

テーマ:行政

象の檻

 

 防衛庁情報本部が直轄するのは、東千歳通信所、同稚内分遣隊、同東根室分遣隊、同根室分遣隊、小舟渡通信所、大井通信所、美保通信所、大刀洗通信所、喜界島通信所の合計9箇所の通信施設です。

 このうち、東千歳と美保は円形アンテナを大量に設置した通称「象の檻」と呼ばれる高性能通信所になっており、現在喜界島も象の檻化に向けて改修工事を行っています。

 

 これらの通信施設は主に海外の電波情報の傍受が目的になっており、ロシア・旧ソ連対象が東千歳、稚内、東根室、根室、小舟渡。北朝鮮対象が小舟渡、美保などそれぞれの通信所に目的があります。

 喜界島が改修されているのも、同通信所が中国対象であることから、近年活発化している東シナ海における同国海軍の行動を把握するのが狙いであることがわかります。

 

ori 写真は米軍楚辺通信所


 各地の通信所で収集された情報は、防衛庁情報本部だけでなく内閣情報調査室(内調)・NSA(アメリカ国家安全保障局)にも上がる仕組みになっています。

 

 なぜ内調なのでしょうか。

 実は、情報本部電波部は、かつて調査第二課二部別室(通称二別)と呼称されており、二別の室長は内調兼務だったのです。また、現在も各通信所の情報は大井通信所・中央通信団を経由して、内調と繋がっています。そのため電波部は内調の実施機関としての性格を持っているのです。

 

 一方、なぜアメリカに情報本部電波部の情報が上がるかというと、アメリカの日本国内の通信所は三沢の米軍空軍基地が北限になっており、ソ連・ロシアの電波傍受をする上で三沢では地理的に不十分だからです。

 

 そのため、アメリカ軍は各地の自衛隊通信所と連絡を密にしたり、秘密裏に米軍情報部隊を派遣するなど、自衛隊と情報補完体制をとっています。

 この日米協力の構図は大韓航空撃墜事件ではっきりと明らかになりました。この辺の経緯は前回示したリンク先 に詳しいので以上にして、次に移ります。

 

アングロサクソンの耳 

 

 三沢基地・NSAと聞くと、エシュロンが思い出されます。

 エシュロンとは、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの英語圏5国で構成される世界規模の盗聴ネットワークです。冷戦期に、対ソ連対策でアメリカが設立したと言われています。アメリカNSAが運営を主導しており、米英がその中心国です。

 

 エシュロンの情報収集範囲は諸説ありますが、旧東側諸国への大規模な盗聴、国際遠距離通信衛星インテルサットを標的とした盗聴などは間違いなく行われていると考えられます。

 その他にも、エシュロンは各国の産業情報(日本を含む)を盗聴によって集め、国内企業に提供するという産業スパイなども行っているという指摘もあり、一時世界的に問題化しました。

 

 SINGINTのなかでも、通信傍受は特にCOMINT(コミント・Communications intelligence)と呼ばれますが、エシュロンはまさにCOMINTの世界的組織なのです。

 

 この手の「電波」にまつわる話をすると、精神異常扱いを受ける場合が往々にしてあります。しかし、エシュロンに関しては、2001年にEUの議会である欧州議会(European Parliament)が公式に調査を行い、特別委員会はエシュロンの存在を認める一方、産業スパイに関しては確実な証拠はないとする報告書を作成したという事実があります。

 

 その情報収集は、前述の衛星盗聴だけでなく、海底電話ケーブル盗聴、情報艦や情報機を使った無線電波傍受(※注10)、世界各地の米軍基地・通信拠点における無線電波傍受など多岐にわたっているとされています。しかし、これらが本当にエシュロンを構成するのかは議論の分かれるところです。

 

 その中で、三沢の米軍基地は、確実にエシュロンの傍受拠点のひとつになっており、日本国内・東アジア地域の情報収集に当たっているのです。

 

日本とエシュロン

 

 それでは、三沢基地と緊密な連携の下運用されている、自衛隊の各通信施設とエシュロンにはどんな関係があるのでしょうか。

 もちろんエシュロンは、ましてやその自衛隊通信施設との関係に関しては、実態はほとんど分かっていません。しかし、ちらほら各所で散見する情報を総合して分析すると興味深いことが判ります。

 以下、それらを見て行きましょう。

 

 2000年、国内に潜伏中だった日本赤軍最高幹部、重信房子が高槻市で逮捕されました。さらにその翌年には、金正日の長男、金正男と見られる男が成田で拘束される事件が生じました。重信はともかく、金正男の動向はなぜ分かったのでしょう。

 日本国内の情報機関は北に潜入していないことから、これは外国情報機関の情報提供による逮捕劇だと思われます。この話の裏には何があったのでしょうか。(※注・11)

 

 実は、彼らの動静が日本政府に抜けたのは、エシュロンからの情報がアメリカから日本に提供されたためだとされています。これは、日本が国内に傍受施設を設置させる見返りに、エシュロン情報の提供を受けているとされることを裏付けるものです。

 

 また、他にも興味深い事実があります。アメリカ軍の情報要員が自衛隊基地に出入りしているのは対ロシア・ソ連関連の北海道内に限らないのです。

 アメリカが関係を持っている自衛隊通信施設は、北朝鮮工作員などによる国内電波の傍受施設である埼玉県の大井通信所など、全国の広範な施設に渡っています。

 このことは、それらの施設がエシュロンネットワークを構成しているかは別として、日本国内の通信所と米軍の情報機関の一体化がかなり進んでいることを示唆します。

 

 更に、中央通信団が利用する市ヶ谷通信塔にはアメリカ・イギリスとの直通ラインがあると言われています。アメリカはともかく、なぜ安全保障上大きな関係があるとは言えないイギリスとホットラインがあるのか大きな疑問です。これは、日本がエシュロンの運用に何らかの関わりを持っていることを疑わせる事実です。

 

 極めつけは、以下の情報です。

 2004年のシーアイランドサミットで小泉首相がブッシュ大統領に日本のエシュロン参加を表明し、両者間で密約が交わされたと、一部週刊誌が報道したのです。

 

 これらの情報を分析すると、

Ⅰ・当初、日本はエシュロンの周辺協力国として限定的に情報提供を受けていた。

Ⅱ・近年、日本の経済的後退と日米同盟緊密化のため、アメリカが日本を脅威と看做さなくなり、エシュロン運用において日本の本格参加が認められた。

ということが推察されます。

 

 エシュロンはまさにSIGINT(シギント)の結晶です。国内情報機関がエシュロンの国内機関になる場合は、SIGINTの高度なノウハウを持つ防衛庁、もしくは内調がその受け皿となると見られます。

 今後の防衛庁電波部の活動が注目されるところです。

 

日本の眼


 最後に、画像・地理部について触れます。画像・地理部では、主に人工衛星からの地上写真を分析し、各国軍の動向などを観察しています。

 独自の偵察衛星を持つことは長年の日本の悲願でした。1998年のテポドンショックでそれが叶うまでは、日本はアメリカの商用衛星企業から画像を購入していましたが、外国企業であるだけに規制が多く、安全保障の観点から自前の衛星が必要だったのです。

 

 なにはともあれ、テポドン事件で急速に偵察衛星必要論が高まり、日本は自前衛星導入を1998年の末に閣議決定しました。

 事件の翌年である1999年に発表された人工衛星の概要は、

 

 新規に導入する衛星は、「我が国の安全の確保、大規模災害への対応その他の内閣の重要政策に関する画像情報の収集を目的とする人工衛星」であり、「最大分解能 1m のパンクロマチックセンサーと分解能 5m のマルチスペクトルセンサーを搭載した光学衛星 (IGS-O) 2 機、分解能 1~3m の合成開口レーダー搭載衛星 (IGS-R) 2 機の計 4 機を太陽同期準回帰軌道に投入、これにより地球上の任意地点を毎日少なくとも 1 回は観測可能とし、専守防衛を逸脱しない範囲での安全保障上の情報収集や災害時対策に活用する」(こちら より抜粋)

 

 というものでした。

 

 現在ではこれらの偵察衛星が北朝鮮などの監視に当たっているわけです。

 

 ただし、分解能がアメリカの一線級の偵察衛星に比べて低いこと、衛星はあくまで軌道上に投入されるものであるため定点常時監視はできないので、まだ衛星数が不十分であることなどの問題点があります。

 

 衛星からの情報は市ヶ谷にある内調傘下の内閣衛星情報センターに集められ、そこから防衛庁を含む各省庁に必要に応じて情報を提供する仕組みになっています。

 ただ、前述のように内調と防衛庁情報本部は緊密かつ統一的に運用されています。

 内閣衛星情報センターが市ヶ谷にあることが象徴しているように、衛星情報は実質的に防衛庁が内調と共同で管理していると表現して差し支えないと思われます。

 

続きはこちら

  

※注10…その情報活動の実態は、アメリカの敵対国によって時折明らかにされる。1968年には、北朝鮮がアメリカ情報艦プエブロ号を拿捕し、一般公開する事件が起きた。

 また最近では、2001年の4月に、海南島上空で電波情報収集にあったっていた米軍偵察機が、警戒中の中国機と衝突する事故も起きた。


※注11…情報源がエシュロンによる米国からの情報提供であったというのは、あくまで一説である。税関・入管は常時、国内諸官庁・海外公安・治安機関等と連絡を取りつつ業務を行っているので、情報源がどこにあるかは当事者以外にはわからない。

 
↓More Information(もっと知りたい方へ)

http://beatniks.cocolog-nifty.com/cruising/2004/06/post_4.html

http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/message11/jigs_m_mission.html

http://jda-clearing.jda.go.jp/hakusho_data/2003/2003/html/15311300.html

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