2005年09月14日

詳説・日本の情報機関part.5

テーマ:行政

情報本部


 東京都新宿区市ヶ谷。JR中央線市ヶ谷駅を出て数分歩くと、2000年に竣工したばかりの真新しい防衛庁の庁舎群がそびえ立っています。

 都心とは思えないその広大な敷地の外れ、警視庁第五機動隊の近くにその建物はあります。周囲の建物と統一したデザインの中層ビル。しかし建物の屋上からは地上220mの長大な鉄塔がそびえ、異様な雰囲気を醸し出しています。

 この建物の正式名称は防衛庁本庁庁舎C棟。なかには陸海空中央資料隊とともに、防衛庁情報本部が入居しています。

 この情報本部こそが、本日の記事の主役。公安警察と双璧をなす強力な情報機関なのです。
   

 情報本部の設置の経緯は、1995年11月に策定された防衛計画の大綱に始まったとされています。

 同大綱では日本のミリタリー・インテリジェンス(軍事情報)の高度化を謳いました。それを受け防衛庁は、1997年1月20日、今まで防衛庁・自衛隊各所に分散していた情報機関を統一。情報本部として統合幕僚会議に設置したのです。統幕直属の組織であることからも、情報本部の重要性が伺えるところです。

 

IDA

 

 その組織構成について情報本部のサイトを参考に見て行きましょう。 

 

 情報本部は、定員約2,000名。6個の部と通信所から構成されています。

歴代情報本部長は制服組の将官が就任しており、現在の情報本部長は椋木功陸将です。

 副本部長には内局の事務官が審議官兼務で就任する仕組みになっています。審議官とは事務次官の次席。事務方ナンバー2の内局の官僚のことです。(※注8)

 

 さらに、本部長・副本部長の下に4名の情報官が配置されています。情報官とは、事務官1名と幹部自衛官3名から構成される情報専門スタッフです。

 事務官は、各国安全保障・国防政策に関する情報を、3名の自衛官は、周辺国及び周辺国以外諸国の軍事情勢をそれぞれ分担して担当するとされています。

 

 次いで傘下の部を個別に触れて行きます。

 情報本部の本庁舎は総務部、計画部、分析部、緊急・動態部、画像・地理部、電波部の6部から構成されています。

 

 総務部が人事・給与・教育訓練・会計・管理業務・秘密の保全を担当。いわゆる庶務・事務を行っているセクションです。

 

 計画部が情報計画、防衛庁内外との情報交換の調整・予算及び決算・業務計画を実施。防衛局や、中央調査隊、或いは同じC棟に入る中央資料隊など、情報本部に統合されていない情報関係部局が残っているので、それらの組織と情報本部との折衝はこの計画部が担当しています。

 

 分析部が、情報分析、調査研究、特別部隊の運用情報に関する業務を担当。情報分析とは、情報収集したデータをインテリジェンス、戦略情報にするための分析業務です。生の一次データや画像一枚では分からないことも、時系列で分析したり統計処理をなすことではじめて戦略情報なりうるのです。

 

 緊急・動態部が、緊急情報、外国軍隊情報の収集整理。つまり緊急対応と敵軍の配備情報の部です。

 

 画像・地理部が、画像・地理情報に関する収集整理と調査。平たく言うと、日本が最近運用を始めた人工衛星の画像分析です。

 

 電波部が電波情報担当です。全国の通信所の情報を集約しています。全体の人員の半分を占めるかなり大きな部です。


軍の情報機関として


 このように見てくると、防衛庁情報本部には他の情報機関と比べて幾つかの特徴があることが分かります。

 

 一つに、軍事情報の重視。公安警察・公安調査庁がその調査範囲を無制限に拡大しており、国内外のあらゆる事象を調査対象にしているのに対し、情報本部は海外軍事情報をメインにしており、向いている方向が公安警察・公安調査庁とはだいぶ異なっています。

 そもそも情報本部が、防衛庁・自衛隊という軍隊に設置されている情報機関である以上はミリタリー・インテリジェンス(軍事情報)が収集分析の主対象となるのは当たり前のことといえるでしょう。

 

 二つに、電子情報偏重が挙げられます。公式発表によると、情報本部は自ら収集する情報として公刊情報・電波情報・画像情報を羅列しています。即ち、情報本部の独自情報は電波情報=SIGINT、画像情報=IMINT(イミント。image intelligenceの略。画像解析等で情報を得ること)、公刊情報のみに限られており、スパイを駆使したHUMINTは行っていないということが分かります。

 

 情報本部はHUMINTを行わない分、防衛庁・自衛隊の各機関等から提供される情報・他省庁及び海外からの情報で補っているようです。

 

 他省庁からの情報とは基本的に警察・公調・内閣情報調査室・外務省などのインテリジェンスを扱う省庁からの交換情報です。これらの官庁は定期会合を持っています。(※注9)


 海外情報とは、各国軍やCIA等の情報機関を指します。特にアメリカとの情報交換が盛んであり、かなりの部分を依存しているとされます。

 

 一方で、、防衛庁・自衛隊の各機関等から提供される情報には、一抹の心もとなさがあります。というのは、庁内・隊内の他機関と情報交換すると言っても、防衛局、中央資料隊にもHUMINT能力はないので、情報補完としては限界があるからです。

 

 それでは防衛庁・自衛隊にはHUMINT機能は保持していないのでしょうか。

 

 実は防衛庁・自衛隊は、警察・公調と違って公然行政組織ではHUMINT活動を行わないものの、組織の暗部でひっそりとスパイ工作を行っているとされます。

 

 かつて、自衛隊のHUMINT実施部隊だったのは、自衛隊調査学校でした。現在は情報保全隊として再編されたこの組織は、60から70年代、治安出動を睨んで国内公安情勢の収集に当たっていたとされています。三島由紀夫の自殺の背後に三島を情報員として訓練していた自衛隊調査学校があったことも広く知られているところです。

 現在では解体された同組織ですが、現在でも名前や所属を変えて同様の活動を行っている組織があるのではないかと疑われるところです。

 
 ただ、防衛庁・自衛隊がHUMINTに割ける人員・予算の問題もあります。「ポンコツ官庁」公安調査庁の例を見ても分かるとおり、中途半端な情報機関はあまり役立ちません。

 やはり防衛庁・自衛隊、そしてその情報中核である情報本部は、SIGINT・IMINTなどの電子情報中心の組織であると断じてかまわないと思います。

 

 こう書くと、公安警察・公安調査庁のようなスパイ物語を期待していた方には拍子抜けかもしれません。しかしながら、防衛庁・自衛隊のSIGINT・IMINT能力は恐るべきものなのです。

 

続きはこちら



※注8…内局とは防衛庁では事務官の働く部局を指す。内局は本庁庁舎A棟の一部に入居しており、シヴィリアンコントロールの観点から、事務官と自衛官の人事交流は盛んではない。


※注9…このことは日本の情報機関が5省庁に絞られることを意味しない。税関・入管・厚労省麻薬Gメン・なども部分的に情報機関としての性格を持ち、他省庁と情報交換をしている。

 

↓More Information(もっと知りたい方へ)

http://www.jda.go.jp/join/dih/index.html

http://musume80.exblog.jp/pg/blog.asp?eid=a0018138&iid=&acv=&dif=&opt=2&srl=1970416&dte=2005%2D05%2D27+22%3A05%3A45%2E000

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