2010-08-14 22:38:04 ihepの投稿

ヒトiPS細胞と「死の舞」

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ヒト万能細胞、たんぱく異常で「死の舞」 理研が解明
ES細胞(胚(はい)性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)などヒトの万能細胞は、一つずつにばらして培養すると99%が死ぬ。この「細胞死」の仕組みを、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターが解明した。細胞の形を保つたんぱく質が過剰に働き、細胞が踊るように動く「死の舞」をして死滅した。

細胞死については特定の酵素の働きを抑えると細胞死を3割程度に減らせることはわかっていたが、その仕組みは明らかになっていなかった。

理研の研究チームがヒトES細胞を観察したところ、ばらした直後、細胞の周りが膨らんだりしぼんだりしながら激しく動き、数時間後に破裂して死んだ。「死の舞」は、細胞の形を保つたんぱく質「ミオシン」が過剰に働くことが原因。細胞をばらすと酵素が働き、ミオシンが過剰に活性化され「死の舞」が現れ、細胞死するという。

一方、「死の舞」をしない細胞は腫瘍(しゅよう)になる確率が5倍程度高かった。「死の舞」は正常な細胞に備わっている特徴という。笹井芳樹・器官発生研究グループディレクターは「安全な細胞を選ぶ目安になる」と話す。6日付の米科学誌「セル・ステムセル」に掲載される。(朝日新聞)

万能細胞の死のメカニズム解明 理研、移植治療に貢献
人体のさまざまな組織や細胞に成長する能力を持つヒトのES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)の塊を一つずつバラバラにして分散培養すると、高い確率で細胞死を引き起こす原因を理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームが解明した。細胞移植治療の安全性向上に役立つという。日本時間7日付の米科学誌セル・ステム・セルに論文を発表した。

チームは平成19年、ヒトES細胞やiPS細胞に限り、分散培養を行うと99%の確率で細胞死を起こすという問題を発見。「Rhoキナーゼ」という酵素の活性化により細胞死が起こることから、この酵素の働きを阻害する薬剤を使い、細胞死を抑えることに成功したが、詳しい原因はわかっていなかった。

チームは詳細な観察を行い、分散培養の開始直後から、細胞が表面を泡立たせる激しい細胞運動を起こし、破裂して死に至る特有の現象「死の舞」を突き止めた。細胞分散と同時に細胞死を促す信号が発信されることで、細胞の骨格タンパク質「ミオシン」が過剰に活性化されることが引き金になっていた。

また、長期培養を続けると、ごくまれに死の舞を行わず、細胞死しないヒトES細胞が発生することがあることも発見。その細胞を移植すると高確率で腫(しゅ)瘍(よう)化することも分かった。

チームの笹井芳樹ディレクターは「死の舞を起こさない細胞を除けば腫瘍化を防ぐことができ、細胞移植治療の安全性向上につながる」と期待を寄せた。
(MSN産経ニュース)



コメント:


 「iPS細胞(人工多能性幹細胞)などヒトの万能細胞は、一つずつにばらして培養すると99%が死ぬ。」

・・・私のような寂しがり屋の細胞種ということだねえ・・・「万能細胞」は(*^▽^*)


シンパシーを感じるぜ!

だから、私の研究対象として、相性が良かったのかな?(笑)


 死の舞をおこさない「万能細胞」の安全性は非常に悪く、かといって、簡単に死んでもらっても困る。


「長期培養を続けると、ごくまれに死の舞を行わず、細胞死しないヒトES細胞が発生することがあることも発見。その細胞を移植すると高確率で腫(しゅ)瘍(よう)化することも分かった。」

・・・と記事にあるが、われわれも、ヒトiPS細胞で確認済みで、それがどんな性質を持つかのみならず、どうすれば「腫瘍化」が防げるかもわかっている。


 臨床応用上では、ヒトiPS細胞の「標準化」を進めるのと同時並行で、長期的に安全性および生存率が高い「ヒトiPS細胞の保存方法・培養方法」を確立することが重要であろう。


2010-08-10 02:00:16 ihepの投稿

花火などなど

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 前の記事のコメント欄に「スパコン創薬」の続きを書いておいたので興味のある方は、どうぞ。



 さて、もう「都内の花火大会」は、一段落したのかな?

あと、神宮外苑とか東京湾くらいが残ってそうに思うけど・・・。

 私、今年は一度も、花火をみてません。まあ、夕方、移動中の電車内で見かける女性・・・いい女に限る・・・の浴衣姿のほうが、花火よりも数段いいけどね(*^▽^*)


 夜空を見上げることも、そういえば、最近、無いな・・・。

今年の夏・・・去年よりも、全く、気持ちに余裕が無い。

(医学の)研究成果は、去年より出てるけどな・・・。


 まあ、秋には「大輪の花」の「第一発目」を、皆さんに見ていただこうヽ(゚◇゚ )ノ


2010-08-06 23:01:25 ihepの投稿

スーパーコンピュータ利用の医薬品の開発

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東京大学先端科学技術研究センターと富士通は8月5日、
共同で記者会見を開催し、がんの治療薬開発に利用する
スーパーコンピュータを構築したと発表した。
世界で初めて、複雑なタンパク質同士の相互作用を
分子動力学でシミュレートし、人工抗体を設計する。
実現すれば、効果的で副作用も少ない、
画期的ながん治療が可能になると見られている。

 国の最先端研究開発支援プログラム
「がんの再発・転移を治療する多機能な分子設計抗体の実用化」
のために導入したもの。
ブレードサーバ「PRIMERGY BX922 S2」(Xeon X5650×2CPU)を
300ノード使用したPCクラスタシステムになっており、
ピーク性能は38.3テラフロップス。
約4億円をかけて富士通が開発し、8月1日に稼働を開始した。
 この研究で狙っているのは、
再発や転移を伴う進行がんの治療に使える抗体医薬品の設計。
人工抗体を作り、がん細胞のみを狙い撃ちしようというもので、
従来の抗がん剤による治療に比べると、副作用が小さいというメリットがある。
 抗体医薬品自体は従来もあったが、この研究では新しい手法として、
分子動力学によるシミュレーションを取り入れた。
分子1つ1つの動きを計算する分子動力学を使えば、
抗体と抗原(がん細胞)の相互作用を正確に知ることができ、
より効果的な抗体の設計が可能となる。
しかしタンパク質同士の相互作用は複雑で、
周囲の水分子まで模擬する必要があることから、
計算量が膨大になって従来は難しかった。
 そのため、この研究のための専用機として、スパコンの導入を決めた。
最近はペタクラスの計算機も出てきており、
それに比べると性能は2桁ほど落ちるが、
それでも地球シミュレータとは同等の能力。
これを占有できれば、計算リソースとしては決して小さくない。
納入した富士通TCソリューション事業本部の山田昌彦本部長も
「このくらい大きなシステムを研究室レベルで単独利用するのは
初めてのケースでは」と驚く。
 この研究では、肝臓がん、大腸がん、肺がんといった
3種類のがんをターゲットとして、新しい抗体医薬品を開発する。
 中心研究者である東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授は、
「薬の開発には特許があるので、2番手になると実用化できない。
1番になるしかない。全力で取り組んで、2年半で人工抗体の設計を終えたい。
3月からの5カ月で、世界トップレベルの計算機をフルに使えるように仕上げられた。
このスピードを持って、いまの患者さんが生きているうちに
薬を実用化したい」と意気込む。

 ただし、まだ計算能力は足りないという。
児玉教授は「このシステムでは、1つの計算に10日くらいかかるが、
これだと10種類も計算すると100日になってしまう」と指摘。
時間がかかりすぎるとした上で、今後については、「計算能力が2桁は足りない。
1~2年の間にペタクラスにバージョンアップして、
こういった計算を1日でやれるようにしたい」と期待する。
 臨床試験もあるため、薬の実用化は「早くても6年後」(児玉教授)。
将来的には、次世代スーパーコンピュータ「京」も活用して、
抗体医薬品の開発をさらに発展させていく意向だ。


コメント:


 世界中で、この種の「試み」が多くなされているが、コンピュータを導入したから万事解決するわけではない。

 このシステムで、優れた薬の「候補」は、いくらかできるだろう・・・そのような候補の同定例がいくつかある。


 ただ、そういう候補を、今日、みつけたとして、臨床試験が終わるのに(要は、今の最善の医薬品よりも生命予後の改善が見込めることの証明が必要)、最低、6年は、かかる。ましてや、その前に、従来どおり動物実験(できれば霊長類での)を経なければ、ならないし、臨床試験のデザインなどなど、やることは山ほどある。


 私は、お金がないけど、ごく最近までに、こんなことをせずとも、海外の超一流機関で画期的と評される医薬品(がん、HCV)を2つみつけました。特許の問題があるので、詳しくはかけないけれど。


要は、スーパーコンピュータ<<<<<人間の「頭脳」ということさ!



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