米バイオベンチャー、フェイト・セラピューティクス(カリフォルニア州)は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製にかかわる実験法について米特許商標庁から特許を認められたと発表した。発表によると、発明の日付は2003年11月で、アイデアでは、実際に作製した京都大の山中伸弥教授のチームの発表より3年ほど早い可能性がある。iPSを巡る知的所有権争いが米国でも本格化しそうだ。
4日にあった発表によると、同社の共同設立者の一人、ルドルフ・イェーニッシュ・米マサチューセッツ工科大教授が、03年にヒトの体細胞に遺伝子を導入することでiPS細胞を作製するための実験のアイデアを考案。04年に米特許商標庁に特許を出願した。
同教授はiPS細胞の研究で世界的に著名だが、ヒトiPS細胞の作製に関する論文は、山中教授らのほか、米ウィスコンシン大、ドイツ医薬品大手バイエルが07年ごろにほぼ同時に発表している。
京都大学iPS細胞研究センター国際広報室は、今回の特許について「iPS細胞を作製したというものではないと考えている。今回成立した特許は、京都大学の出願に影響が無いと考えている」とコメントしている。(朝日新聞)
さらに別の報道では・・・。
iPS細胞:米ベンチャーが関連特許取得
米ベンチャー企業「フェイト・セラピューティクス」(カリフォルニア州)が「体細胞を初期化する方法」について米国で特許を取得したことが8日、分かった。初期化は体細胞を受精卵のような状態に戻す操作。同社は、あらゆる細胞になるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作成に関する基本技術と主張、米国で初のiPS細胞関連の特許と位置付けている。
出願者は、同社創立者の一人で、米マサチューセッツ工科大(MIT)のルドルフ・イェーニッシュ教授ら。内容は、体細胞の初期化を可能にする遺伝子などを特定する技術という。
出願日は04年11月で、山中伸弥・京都大教授によるiPS細胞作成の特許出願より約2年早い。米経済誌ビジネス・ウイーク電子版は「山中教授はiPS細胞を作成したが、アイデアは我々が最初」というイェーニッシュ教授の言葉を紹介している。京大iPS細胞研究センターは「特許の記載データをみる限りiPS細胞を作成したものではないと考える。京大が最も早く出願しており、影響がないと考える」としている。(毎日新聞)
コメント;
1月31日の記事で、ある程度の「危機」をこちらでも、したためました(参照してください)。ただ、実は1月26日には、日本政府関係者に、
昨年末あたりには、全国紙の新聞記者に、
「これから数ヶ月以内に、iPS細胞関連の特許について、どんなことが起こるか」について、しっかりブリーフイングしておいた事項の「ほんの1部」なのです・・・上記の報道は。
なぜ、米国が、京大の山中先生に「ラスカー賞」まで出しながら、ヒトはおろか、
マウスiPS細胞までも、まだ保留していたのか、今回の事件で、おおよそ理解できるでしょう。
今回のような特許を俗に「アイデア特許」といいますが、こんなもんに特許を与えるのは許せんといったって、私もまったく同意しますが・・・あとは、裁判やるか・・・。
といっても、膨大な時間と資金がかかるし、あっ、お金は、小沢さんと鳩に出して貰おう(笑)。彼らの責任だよ・・・間接的だけど。
米国という国は、こういう「アイデア特許」のみならず、「ゴルフのパターの握り方」とか、「ブランコのこぎ方」まで、特許を与える国なのです。
まあ、京大iPS細胞研究センターおよび京大の知的財産管理関係者は、「呑気なコメント」ですな(苦笑)。
私でさえ知ってた上記、記事情報をなぜ、入手・解析・対応できなかったのか?
(いや、そういう戦略部隊であってほしかったが・・・まあ、そんなこといってても「詮無い」けど・・・。)
私は研究も臨床も、やってるから、特許対応しようにも、今は、全部、手が回らんのですよ。そりゃ数年前なら、やってたけど・・・。
でも、今でも、気づいた範囲では、ネタをそこらじゅうに、
まさに、こういう「ブログ」でも、ばら撒いては、いますが・・・。
まあ、日本政府としては、もう、世界で最も有能なバリバリの「外国人特許弁護士」を「助っ人」で雇って交戦だな。今から、ぬるい日本の環境で「高等教育」したところで、金と時間の無駄だ。・・・というのは、日本での「知的財産管理人材育成」なんて、高額な税金を21世紀初頭から投入して、各大学がやってたのですが、この様ですから・・・。
そして、もう「遅きに失したのかもしれないが」、特に、iPS細胞を臨床応用する気なら必須の「特許戦略」があります。まだ、間に合う部分があるので、ここでは、書きません。特許庁が鋭意、検討中だそうだが・・・。
いや、それにしても、MITのルドルフ・イェーニッシュ先生は、今回、「アイデア」に対する「先取権」を獲得したわけで、このことは、ノーベル賞受賞のためには「必須条件」。こうしたことを考慮すれば、今回の特許成立で「商売」というよりは、むしろ「彼の本音」は、ノーベル賞獲得狙いのための「特許申請・取得」なんでしょうね(笑)。
最後に、今回の上記の特許、そして先の「英国特許」を「破る」者が、いわゆる「iPS細胞競争レース」のWinnerであり、臨床応用に足るヒトiPS細胞を樹立しえた者になることでしょう。
(注:今回のコメントについては、無断でパクらないでね・・・。
ヤバイことになりますから(笑)