今年のノーベル化学賞のテーマは「細胞内でたんぱく質合成の場になっているリボソームの構造解明」だった。授賞された3人のうち、唯一の女性研究者であるアダ・ヨナット博士。
ノーベル財団の発表によれば、彼女のおよそ30年にわたる「努力というか、苦闘の歴史」が紹介されている。
これは面白い!少なくとも、女性研究者にとっては勇気が出る話だ!
さて・・・アダ先生は、1970年代にリボソームの構造をx線構造解析で突き止めたいと考えた。
しかし、そんなことは無理、不可能と思われていた。
が・・・彼女は負けなかった。そして、10年くらいしてから、彼女は、そこそこの成果を出し始めた。
すると、世界中の研究者が、競争に参入しだし、今に至る・・・。
ここまで見て、私は、DNAの二重らせん構造をエックス線構造解析で明らかにした女性科学者であるフランクリン女史の伝記をふと、思い出した。
フランクリン博士が苦心の末、撮影した二重らせんの画像データを、上司のウィルキンス博士は、
なんと彼女の承諾を得ないまま、ワトソン博士とクリック博士に見せた。
そのおかげで、ワトソンとクリックの両者は、進めていた研究に対する確信を深め、
1953年にDNAの二重らせん構造の「歴史的な論文」をNature誌で発表した。
その後、彼女は癌で亡くなり、ワトソンとクリック、そして、あろうことか、
ウィルキンスの3人が1962年にノーベル生理・医学賞を授賞した。
ワトソンとクリックも「かなりの政治家」だが、ウィルキンスなんぞ、
どう考えても、パクリ野郎としか、私には見えない。よく見ても、今なら「パワハラ」だ。
このような経緯は、医学・生命科学の専門家なら、よく知っている。
フランクリン女史は、不幸にも報われなかった。しかし今回、アダ先生は報われた。
アダ先生の上司、あるいは同僚は「まともな人」であったのだろう・・。
苦労して、ちゃんと業績を示した人が報われて欲しいと思う。
日本では、優れた業績どころか、論文も全く書かないくせに、
権威へのゴマすりだけでポジションを得ている「教官」が多数いる。
こういう輩は「逝って良し!」だと思う。
こういう「ボケども」を首にするだけで、かなりの額のお金を、
国民のためにまわすことができるのに・・・といつも思う。
今のところ、「科学技術立国」の旗のもとに、2000年以降に実行された「この国の思いつきの政策」は、ことごとく失敗し、Nature誌などには、「日本は終わった」と評される惨状だ。
まあ、ちゃんとフェアに評価・審査するシステムがない分野や集団は、確実につぶれていく。
それに、うまく世渡りしている「つもり」の人は、いずれ痛い「しっぺ返し」を食らうものだ。
世の中って、そういう風に出来ているんですね・・・まもなく「しっぺ返し」を食らう方々へ(笑)。