厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)は21日、
適量でも1人で酒を飲む男性は、友人や家族との社会的交流の多い男性に比べて、
飲酒による脳卒中のリスクが高くなるとみられるとの調査結果を発表した。
仲間と楽しく飲んだほうがストレスを発散でき、脳卒中の予防につながる可能性があるという。
アルコールは血液が固まるのを防ぐ作用などがあり、適量の飲酒は循環器疾患になるリスクを下げる。
ただし血圧を上げる作用もあるため、飲酒量がエタノール換算で週300グラム(日本酒で1日あたり2合、ビールなら大瓶2本程度)を超えると一般に脳卒中リスクは高くなってしまう。
研究班の磯博康・大阪大学教授は40―69歳の男性約1万9000人を10年間追跡。
このうち、飲酒量が週300グラム未満(エタノール換算)の適量飲酒をしている人に焦点を当て、
家族や友人などとの社会的な結びつきが多いかどうかが、飲酒と脳卒中リスクとの関連に影響するか調べた。
コメント:
まず、医学的にみて、「適量飲酒」という概念・言葉はありますが「適量喫煙」というものはありません。
そこで、今回の調査では「適量飲酒」に焦点があてられている。
当然、喫煙など、脳卒中のリスクファクターになりうる生活習慣上の諸項目を統計的に調整(いわゆるバイアスを排除する)したうえでの上記の結果だとは思うが、どこまで、それができたか怪しい・・・。
1人で酒を飲むことが好きな男性は別として、そうせざるを得ない情況の人は、そもそも、「適量」といえども、飲む前になんらかのストレスを抱え、他のリスクファクターを既に多くかかえておられることが多い。それ自体が、脳卒中のリスクファクターである。
それに、家族・社会との結びつきが多いことが、そもそも「善」とされたうえでの研究だが、果たしてそうだろうか?
このあたりのアセスメントが、どの程度のものなのかで、上記の研究の質がわかる。