1 | 2 | 3 | 4 |最初 次ページ >> ▼ /
2009-04-30 23:00:00 ihepの投稿

新型ウイルス:フェーズ5から6になるか・・・、そしてWHO委員の言説の検証

テーマ:ブログ

【ジュネーブ30日共同】世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザ感染拡大の警戒水準(フェーズ)を「4」から「5」に引き上げたが、30日にはスイスでも感染が確認され、感染確認は少なくとも12カ国に増加、世界的大流行(パンデミック)の正式認定を意味する「6」への引き上げも現実味を帯びてきた。

 WHOは米国などの保健当局や製薬業界と連携し、新型インフルに有効なワクチン開発に欠かせない、ウイルスの遺伝子構造の全容解明などに全力を挙げる。大流行に対し「歴史上最も備えができている」(チャンWHO事務局長)とされる世界の対応力が試される。

 感染が確認されたのは、死者が多数出ているメキシコをはじめ、北米、中南米、欧州、中東、オセアニアにまたがる。感染の疑い例はアジア、アフリカも含め20カ国で見つかった。

 WHOの警戒水準の定義では、「5」と「6」の間には感染の地理的な拡大以外にほとんど違いはない。「5」への引き上げの理由は、メキシコの隣国である米国で、人から人への感染拡大と一部感染者の症状が比較的重かったことが確認されたことだ。米国では29日、首都圏で初めて疑い例が報告された。


・・・ということです。

近いうちに6になる可能性は高いでしょう。


 なお、WHOの緊急委員の田代先生は29日夕方(日本時間)、今回のは「弱毒性であり、強毒性に変異する可能性はないとみている。ただ、従来のH1N1とは違う。」と明言しました(日本経済新聞の30日朝刊)。

 一方、「4から5へにあげる可能性は?」との質問に、「引き上げの可能性はある」と、実際にひきあげられた数時間前に、まだ、こういう回答をされてましたけど。

 なお、情報分析は、私よりも、現地にいる「重鎮」は、なぜ「ぬるい」のでしょう?


また、毎日新聞の報道では・・・


 田代氏は毒性について「今後、遺伝子の突然変異で病原性を獲得しないという保証はない」とし
たうえで、遺伝子解析の「予備的データ」の結果として、現段階で「強い病原性を示唆するような
遺伝子はない」と「弱毒性」との認識を示した。
 被害については、現在の毒性が変わらなければ、パンデミックを起こしても、約200万人が死
亡した57年の「アジア風邪くらいかもしれない」とした。数千万人規模の死者が想定される強毒
性H5N1型と「全く横並びに判断していいものではない」と話した。

 致死率などについては、疫学的調査が終わっていないため「実際の数字は分からない」と説明。
そのうえで、メキシコで感染が疑われる患者が1000人を超える一方、同国以外は数十人規模で
あることから「割合からすれば(他の国で多くの)重症者が出なくても当たり前かもしれない」と
述べた。

 対策についてはH5N1型に比べ「健康被害や社会的影響は大きく異なる。全く同じ対策を機械
的に取ることは必ずしも妥当ではない。フレキシブル(柔軟)に考えていく必要がある」と述べた。

 日本の対策については「少しナーバスになり過ぎているところがあるかもしれないが、後手後手
になって大きな被害が出るよりは、やり過ぎの方がいいかもしれない」とした。
(略)


「H5N1型による大流行のリスクが減ったわけではない」と、警戒を怠ることは危険だと警告し
た。 」


・・・ということです。さて、問題点の指摘。


「今後、遺伝子の突然変異で病原性を獲得しないという保証はない」としたうえで、遺伝子解析の「予備的データ」の結果として、現段階で「強い病原性を示唆するような遺伝子はない」と「弱毒性」との認識を示した。


日経とは、トーンが結構、違いますね。


 私は、患者の中で、特に、死亡患者のデータ(ウイルスの遺伝子解析をふくめて)をこそ、公開すべきだと思います。

 治った患者のを調べても、そりゃ、弱毒性ですよ。


「被害については、現在の毒性が変わらなければ、パンデミックを起こしても、約200万人が死
亡した57年の「アジア風邪くらいかもしれない」とした。数千万人規模の死者が想定される強毒
性H5N1型と「全く横並びに判断していいものではない」と話した。 」


・・・ちょっとまってくれ。

今のままでも、200万人死亡する試算だって?

数千万規模だとようやく強毒で、200万死亡だと、弱毒?


これは、重大な数字だと思いますけどね・・・。

しかし、よく平然と、こんなことが言えるもんだな\(*`∧´)/


 その他、29日の私のブログ記事のコメント欄に本件がらみの私見を追加しておきました。ご覧あれ。

2009-04-30 12:00:00 ihepの投稿

「国内大流行考えにくい 仙台医療センター西村氏に聞く」という新聞記事について

テーマ:ブログ

国内大流行考えにくい 仙台医療センター西村氏に聞く


メキシコなどで新型インフルエンザが発生し、東北にも不安が広がっている。ウイルスの国内侵入は阻止できるのか。大流行を防ぐため、日常生活で注意すべきことは何か。国立病院機構仙台医療センター(仙台市)の西村秀一ウイルスセンター長に聞いた。(聞き手は報道部・長谷美龍蔵):河北新報

 ―世界的大流行の可能性は。
 「ここまで感染が広がれば、パンデミック(世界的大流行)は十分あり得るが、日本はこれから夏に向かうため、国内での大流行はすぐには考えにくい。慌てる必要はないと思う。ただ、夏の間にウイルスが消えなければ、秋以降に猛威を振るうかもしれない。致死率の高いウイルスかどうかは、現段階で特定することは困難だが、致死率が低くても高齢者ら弱者の被害は大きいだろう」

 ―感染はどうやって広がるのか。
 「一般的なインフルエンザと同じで、せきやくしゃみで拡大する。空気中に漂うウイルスを吸い込んでしまうためだ。豚肉を食べたからといって感染することはない」

 ―いま必要な対策は。
 「国や自治体は空港や港での水際対策を強化しているが、ウイルス侵入を完全に食い止めるのは無理だろう。急ぐべきは大流行した場合に、どう沈静化させるかという対策。病院や診療所に患者が押し寄せれば、パニックに陥ってしまう」

 ―感染予防のため何をすればよいか。
 「手洗い、うがいは大事。それにウイルスが侵入してない今は、感染が確認された国へ行かないことが一番だ。海外に向かう人は、どの国で患者が発生しているか、的確に情報をつかむ必要がある。帰国して発熱などの症状が出たら、すぐに保健所に相談してほしい」

<にしむら・ひでかず>1955年、新庄市生まれ。山形大医学部卒。国立感染症研究所主任研究官などを経て、2000年から現職。53歳。



ある意味、非常に興味深い記事でした・・・。


1つ冒頭から・・・「日本は夏に向かうから日本国内の大流行は無い。」

・・・先生、メキシコシティ は、今が、わりと暑い時期なのですが(`・ω・´)。

このくらいの月では、平均26~27度(最高気温)くらい。


「致死率が低くても高齢者ら弱者の被害は大きいだろう」・・・

先生、メキシコでは、多くの「若者」が命を落としているのですが。


 それから「弱者」ね・・・こういう安易な言葉を私の学生が使ったら、「おしおき部屋」(笑)へ直行だな。


―いま必要な対策はという質問では・・・


 「国や自治体は空港や港での水際対策を強化しているが、ウイルス侵入を完全に食い止めるのは無理だろう。急ぐべきは大流行した場合に、どう沈静化させるかという対策。病院や診療所に患者が押し寄せれば、パニックに陥ってしまう。」


・・・えっ?、だから、どうなんだって?

あなたのお仕事は、なんですかね?

それで、発症(疑い含む)したら、患者さんは病院ではなく、まず保健所にいくのですか?



ためらったが、この記事を載せました!

いろんな「意見」は、あっていいけれどね・・・。


2009-04-29 20:44:57 ihepの投稿

新型インフル、米国で死者 メキシコ以外で初の確認例

テーマ:ブログ

 ロイター通信によると、米国当局者が29日朝、テキサス州で生後23カ月の赤ん坊が新型インフルエンザにより死亡したことを確認した。メキシコ以外では、初めて。


 とうとうか・・・可愛そうに・・・。


 もう、こういう事態だから、WHOは、フェーズ5にあげるほうがいい。

事実上、もはやそうですが、ウイルスの毒性が引っかかっての4どまりだったのだから。今後、10日くらいで、6になってもおかしくない。

 鳥インフルであるH5N1に感染したインドネシアの豚をみてると、ヒトにいきそうなのがあったが、今回のメキシコのは、ひょっとしたら、これかもしれないし・・・。


 タミフルとリレンザ耐性でも、どうにかなる、抗インフル医薬品の有力候補が実は、ある。組み合わせで使うのだが。もはや、この段階での臨床使用も射程に入れるべきかと思う。今、必死で論文を書いてます。

2009-04-29 03:06:28 ihepの投稿

【豚インフル】食べてもOK/ワクチン最短半年? 岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長

テーマ:ブログ

 豚インフルエンザについて、専門家はどうみているのか。26日、厚生労働省で行われた「新型インフルエンザ専門家会議」で議長をつとめる岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長の発言をまとめた。

 Q 豚肉はなぜ安全といえるのか?

 A インフルエンザウイルスは、動物の筋肉にいるわけではない。もしウイルスのついた肉を食べると、胃の中で感染するということになるのだが、人間の胃にはウイルスに関する受容体はない。さらに、一般的に豚肉は生では食べないうえに、現在、日本の豚に豚インフルエンザが蔓延(まんえん)している事実がないこととも、「豚を食べても大丈夫」という根拠になる。


 Q WHOは国際的な警戒レベルを、現在よりも引き上げることを見送ったが・・・。

 A 検討すべき項目があるということで、理解できる判断だ。「引き上げる必要がない」ということではない。ただ、日本国内の警戒態勢は、WHOの警戒レベルに合わせて強化するのではなく、日本独自の判断で強化することもあり得る。


 Q メキシコでは死者が多く、米国では軽症で済んでいることをどうみるか?

 A 私もぜひ知りたいところだ。ウイルスが原因なのか、医療のレベルに差があるのか。いくつかの条件を検証しないと判断できない。WHOも調査しているはずで、そのうち分かってくると思う。


ということで、まずは、以下、カートグラムから見る医療の質の国際比較です。

カートグラムの説明については、私の既述の記事(2008年11月25日)を

参照してくださいませ。


さて、皆さんはどう解釈されますか?メキシコを他国と比べてみましょう(*^▽^*)

そんなに彼らの医療体制は、悪いのですかね?





人生…いきあたり、ばったり!





2009-04-28 02:00:00 ihepの投稿

各国、豚肉禁輸や検疫強化:ウイルス流入阻止で対策なのに日本は・・・

テーマ:ブログ
 メキシコや米国などでの豚インフルエンザ感染拡大を受け、世界各国は北・中南米地域からの豚肉禁輸や検疫強化など、自国へのウイルス流入阻止に向けた対策に追われた。

 中国農業省は27日、メキシコ産と、米国の感染者が確認された州産の豚や豚肉の輸入を禁止したと発表。香港当局は住民にメキシコへの旅行計画の見直しを勧告するとともに、過去7日間にメキシコなどに滞在し、発熱の症状がある人は直ちに病院に隔離する措置を取った。

 インドネシア政府も同日、豚肉輸入の一時停止を発表。ロシア政府も27日までに、メキシコや米国の一部、コロンビアなど中南米諸国からの豚肉の輸入を禁止する措置を取った。

 タイ政府は27日から、バンコク国際空港でサーモグラフィーを使った到着客の体温チェックを開始。シンガポール(チャンギ)国際空港でも入国する全乗客に対し、同様の体温測定を始めた。ベトナム保健省は入国者に健康状態を申告させることを決めた。

 英保健省は26日、メキシコ旅行から戻った英市民に感染疑い例が出た場合、病院に直接行かず、自宅にとどまりながら保健当局に連絡するよう勧告。オーストリア外務省もメキシコへの渡航に注意を呼び掛けた。(共同)


・・・というように、中国は、早々に豚の輸入を禁止しました。

なぜか、おかしなことに、中国は、自分のところの「毒入り食品」は、日本に輸出してくれますがね・・・\(*`∧´)/


 まっ、残念ながら、今後、欧州にも感染は拡大しますから、各国は同様の措置をとるでしょう。さて、「禁輸はしないと早々と日本政府は宣言しましたが、どうするんでしょうね?予定をすぐに変更するんでしょうかね?


 しっかり加熱したら豚食べても、問題ないですよ。昨日も書いたけど。

これは、今の「ウイルス」のままであるならねということです。ちょっと、若干、心配なことがありますが・・・。まだ、ここでは書けません。


 なお、米国の患者で死亡者はいないのに、メキシコでの死亡率が10%にせまります。これは、医療体制が悪いから、あるいは、今回のAソ連型(H1N1)への免疫をもたない人がメキシコに多いのではないか?というのが専門家の諸先生方の御意見のようです。恐らく複合的な要因でしょうね。ただ、私は、上記以外の問題点を指摘する用意をしています。


 一方、今回のH1N1型に対するタミフル耐性は問題になっています。仮に今回のものが、いつものH1N1型であっても、タミフルだけに頼ることはできません。

 リレンザも必要なのに、タミフルと商品名を限定してTVで強調した大臣のおかげで、タミフル製造元の製薬会社の株は今日、急騰しました。

 政治家などが株を事前に買い占めていないか、マスコミはチェックしてみるといい。でもまあ、しないでしょうね・・・。そのマスコミ上層部も信用できるか否か?ですし・・・。


 まあ、それは、それとして、上記の2つ以外でも、有力な新薬を揃えることは、緊急を要するでしょう。それと、別に、鳥インフルの脅威も消えたわけじゃないですしね。

 これの論文、データ揃ってますから、すぐに書きます。

(既述のiPS細胞研究論文の修正版と並行して・・・)


多くの尊い人命がかかった仕事ですから。。。

 

2009-04-26 17:44:15 ihepの投稿

豚インフルエンザの件について

テーマ:ブログ

 GW直前に飛び込んできた、豚さんのニュース。


とり急ぎ、対処法などを簡単にまとめておきます。


ソースは、CDC(米国疾病予防管理センター) などから。


・今回の豚インフルエンザの人への最初の感染は、米国では、3月下旬~4月上旬と思われる。


・人から人への感染が確認されている。ただ、どんな条件下での感染かは不明。


・症状は通常の季節性インフルエンザと同様。


・豚インフル予防に有効なワクチンはない。治療は症状が出てから2日以内でのオセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)使用をCDCは推奨している。


 ただし、タミフルは副作用問題で大きく騒がれた(異常行動、死亡など)。それで、最近ようやく出た日本での大規模な市販後安全性評価の結果、やはり子供には使いづらい。


 また、タミフルの耐性をもつインフルエンザが益々、増加中です。

当然のごとく、今回のメキシコの死亡者らにも、タミフルは使用されていたはず。

なのに、効いていないわけだな。だから、リレンザも必要ですよ。



・豚肉は食べても良いです。ただし、中までしっかり加熱しろ!

71度以上で、このウイルスは死ぬから。


それで、防衛オタク大臣の発言。


「石破茂農水相は26日、テレビ番組に出演し、
メキシコと米国で感染が広がっている豚インフルエンザについて
「輸入であれ国産であれ、豚肉は出荷段階で完全に殺菌される。
食べても全く問題ない」と述べ、 不安心理から豚肉を過度に警戒する必要はないことを国民に対して強調した。

石破農水相は「日本で豚から人に感染した事例はない」とした上で、
「仮にかかった場合でも、(インフルエンザ治療薬の)タミフルが効く」と語った。 」


・・・殺菌ねえ(笑)。これ、ウイルスなんですがね・・・。

「加熱」という重要ポイントは、なぜ言わないの?

警戒というより、一定の注意は、してもらいたいなと。

治療薬としてのタミフルの件は、上記ですので再読を。


大臣・・・もうちょっと正確に言えよ(`・ω・´)


あと、政府が、今後のなりゆきで、まず、海外の豚は輸入禁止なんてすれば、

特にフレンチなどでは高級豚は主力料理だから、大きな打撃だな。

しっかり加熱すれば大丈夫とはいっても、控える消費者も増えるだろうし。


2009-04-25 21:26:29 ihepの投稿

草薙君「事件」考察から急遽変更;豚インフルでWHO初の緊急委 世界的大流行を懸念

テーマ:ブログ
 知人であるSMAPの草薙君の「事件」と消毒国家に関する考察を、そろそろ書こうとしてました。しかし、以下の公衆衛生上の大きな事件が、もちあがり、その対応策のせいで急遽借り出され、予定変更です。
豚さんのおかげで、こちらも、ブーブー言っています(`・ω・´)。

 この「iPS細胞研究論文」の審査後、修正版(Nature)を急がねばならない時に・・・。昨日の記事をみても、フルスピードで急ぐ必要があるのは、わかるでしょ、わかる人には。

 それでも、頭を切り替える目的もあり、ブログ記事は、書いちゃいました(*^▽^*)

以下、豚さん事件の記事。

 【ジュネーブ25日共同】

メキシコ、米両国で豚インフルエンザに感染したり、その疑いのある患者が1000人を超えたことを受け、世界保健機関(WHO)は25日、世界の専門家約15人でつくる初の緊急委員会をジュネーブのWHO本部で開催。感染状況の深刻度を点検、情勢分析や拡大防止への取り組みを議論する。

 米国では人から人への感染と断定されたほか、感染が米、メキシコ両国の国境を越えた可能性も指摘されている。世界的大流行を懸念するWHOは、今回の事態が新型インフルエンザ発生に当たるかどうかを検討する。

 WHOは鳥インフルエンザなどの変異で発生するとみられている新型インフルエンザの大流行に備え、6段階の警戒水準を設定。これを現行の「3」から「4」へ初めて引き上げるかどうかを協議する見込みだ。

 「4」への引き上げは新型インフルエンザ発生を認定する意味を持ち、引き上げなら日本政府は首相をトップとする対策本部を直ちに設置して、発生地への渡航自粛勧告を検討する。

 「3」は人から人への感染が「ないか限定的」、「4」は感染が「地域社会レベルで持続的に見られる」状態。拙速な引き上げは社会不安をあおりかねず、WHOは状況を慎重に分析している。

 メキシコ市では病院に予防接種を求める市民が殺到。薬局ではマスクが売り切れた。現地の日本企業は情報収集を急いでおり、トヨタ自動車は米国などの工場にマスクを発送する準備を始めた。

2009-04-24 13:06:12 ihepの投稿

今日のiPS細胞研究:お元気ですか?・・・マウス様

テーマ:ブログ

 遺伝子を使わずにマウスの新しい万能細胞(iPS細胞)をつくることに米独チームが成功した。
遺伝子を使うと細胞ががん化する恐れがあり、使う遺伝子を減らす世界的な開発競争が続いていた。
再生医療の実現につながる安全性の高いiPS細胞の開発に向けた大きな成果となる。

 開発したのは、米スクリプス研究所のシェン・ディン准教授や独マックスプランク分子医薬研究所の
ハンス・シェラー教授らのチーム。23日付の米科学誌セル・ステムセル電子版に発表する。

 京都大の山中伸弥教授らが最初にiPS開発に成功した方法は、ウイルスを使って4遺伝子を細胞に入れる。
しかし、遺伝子を入れると細胞が持つ本来の遺伝子を壊したり、入れた遺伝子が異常に働いたりして、
がん化する危険がある。遺伝子を入れずにiPS細胞を作ることができれば、 がん化の恐れは低くなるが、

方法は開発されていなかった。

 チームは山中教授らがiPS細胞の作製で使ったのと同じ4遺伝子から、たんぱく質を細胞外で
大腸菌につくらせた。たんぱく質が細胞膜を通過しやすいように、分子の小さな物質につなげ、
マウスの胎児細胞内に入れた。

 この細胞を約1カ月培養すると、形や性質が万能細胞に似た細胞ができた。
それをマウスの受精卵に入れ、この細胞が心臓や肝臓、生殖細胞などさまざまな細胞になりうることを確認。
チームは、たんぱく質(protein)の頭文字をとり、この細胞を「piPS細胞」と名づけた。

 iPS細胞は、病気やけがで失った臓器の細胞に成長させて移植すれば、

拒絶反応のない再生医療につながると期待されている。しかし、今回の方法はまだ動物実験の段階で、

ヒトの細胞でも可能なのかや安全や安定性の検証を重ねる必要がある。

理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹グループディレクターは「ヒトで成功すれば、
実用化に向けて、有望な選択肢の一つになりうる。研究開発の競争が世界中で速いスピードで進んでおり、
遠からず、最良の方法がわかるだろう」と話している。(林義則) (asahi.com)



いろんな意味で、大きなインパクトのある研究結果です。


「今回の方法は、まだ動物実験の段階で、 ヒトの細胞でも可能なのかや安全や安定性の検証を重ねる必要がある。」とは上記の新聞記事。


でも、まあ、その前に、この手法で作製されたマウスiPS細胞と今までの手法(ウイルスなど)で作製されたマウスiPS細胞の比較データがないそして最も重要なことですが、今回の方法では本当にガン化を回避できたのか否か、マウスが元気なのか?が不明。さらに、細胞を初期化させる能力があるほどのタンパク質自体の安全性については慎重な検討が必要になります。このように、まだまだ、マウス自体で示して欲しいことがたくさん、あります。このあたりが、この研究がCell, Nature, Scieceには受からなかった理由でしょう。


ただ、同時に、この方法でのヒトiPS細胞の樹立だけなら、もはや時間の問題でしょう。

安全性の大きな問題は、残りますが・・・。


また、日本の特許は、この発表によって、かなりの脅威を与えられると思います。


 あと、研究戦略上の話ですが、今日の読売新聞を見ていたら「今回、米国チームが使った改造方法は、熊本大の富澤一仁教授が以前に見つけていたものだった。」とあります。

日本では、このような基礎技術の蓄積があります。

なのに、せっかくの技術を海外のように戦略的に生かせなかったということです。

 

 だから、再三、現在の日本における、この分野の研究体制は「何が、オールジャパンだ!」、「本当のオールジャパンには、ほど遠い」と、厳しく指摘してきたのです。

もぅ、ここまでくれば「日本だけで何とか・・・」というのは、もはや、あまり意味を成さないなと・・・。


本当に、世界最強ドリームチームが、それぞれの最高の技術を結集させて切磋琢磨しながら研究できる体制をつくることのほうが、最終ゴール(臨床展開)に、はやく近づけると思います。


2009-04-23 20:06:57 ihepの投稿

体重減るのも考えもの

テーマ:医療・健康情報

成人後に体重が増えた人よりも、減った人の方が死亡率が高いとの研究結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が23日、発表した。2009/04/23 12:02 【共同通信】

 研究は岩手、秋田、長野など10都府県の40-69歳の男女約9万人を対象に、20歳の時からの体重が(1)5キロ以上減少(2)5キロ以上増加(3)変わらない(増減の幅が5キロ未満)-の3グループに分類。約13年間追跡調査し、体重の増減と死亡との関連を調べた。

 男性では体重が減った人は、変わらなかった人に比べ1・4倍総死亡率が高く、逆に体重が増えた人の死亡率は低かった。50、60代で体重が減った人は、がんや循環器疾患による死亡率が高くなっていた。

 女性でも、体重が減った人は、変わらなかった人に比べ総死亡率が1・3倍高かったが、がん、循環器疾患による死亡と体重減の関連はみられなかった。

 調査した斉藤功愛媛大准教授(公衆衛生学)は「成人後には体重が増えるのが一般的なので、体重が減った人は、何らかの健康障害が背景に隠れていると考えられる。体重が減っている人は自分の健康管理に注意が必要だ」と話している。


追加しておくと、肥満も、いかんが、普通に生活していて、短期間に体重減少(-5kg以上)なら、ちょっと注意してね。

2009-04-22 18:32:21 ihepの投稿

地方で不足、医師数格差4・6倍 財務省、診療報酬見直しも

テーマ:ブログ

財務省は21日、都道府県ごとの医師数について、人口と面積を基準に算出した独自の指数を公表した。指数が最大で医師数が相対的に最も多い東京都と、最小の茨城県とでは4・6倍の格差があった。地方で医師不足が深刻な一方、都市部に集中しがちな実態が浮かび上がった。

 財務省は、医師が不足しがちな地域への診療報酬を手厚く配分することで偏在を是正する見直し策を検討。与野党で高まる医療費総額の増額要求をかわす狙いもありそうだ。

年末に予定している診療報酬改定に向けて厚生労働省などとの議論を本格化させる。

 財務省がこの日開かれた財政制度等審議会に提示した試算は、2006年度の都道府県ごとの医師数を全国平均を1として指数化。単なる人口比に比べ病院への距離なども反映されるため、利用者の実感により近い指数とみている。

 それによると、最大の東京は3・19で、続いて大阪2・43、神奈川1・53、福岡1・45、京都1・33と大都市を抱える都道府県が上位に並ぶ。一方、指数が低いのは茨城0・70、岩手0・74、青森0・74、新潟0・76、福島0・76などだった。

 へき地の医師不在に加え、産婦人科や小児科などの医師不足が深刻化しているものの、全国の医師数は06年度までの10年間で14・4%増加。地域格差だけでなく、診療科別でも精神科や泌尿器科など医師が比較的多い分野でさらに増える傾向があり、医師の偏在が拡大している可能性がある。財務省は診療科ごとに開業できる枠を設ける案も検討する方針だ。(47 News)



 相変わらず、財務官僚らしい発想だな(・ε・)

診療報酬による誘導政策の限界くらい、いい加減、気づいたらどうだ?

 この間、教えたばっかりだろう(笑)。彼らは個々では、理解・納得するんだがなあ。集団としての見解は、こうか。


 めちゃくちゃ医師の給与があがるわけでもあるまいし、たとえ、あげたからといって、これまた、お金だけの問題でもないからね。


 医師のわがままというか、元々、我がままな医師に言うことをきかせて適度に分散してもらい、医師の偏在をなくすには、2004年以前の状態に戻すことだ。

 すなわち、医局の人事配分機能を再強化するのが手っ取り早いけどな。


 失敗したんだよ、2004年の諸改革は。以前は、ここまでひどくなかったと思うぞ。

患者さんはもちろん、医療従事者の誰もが幸せになってない・・・。


財政審の皆様へ。

次回は、2001~2年くらいのデータと上記のデータを比較検討してみたらいい。





Amebaおすすめキーワード

    1 | 2 | 3 | 4 |最初 次ページ >> ▼ /
    アメーバID登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト