2009-02-15 09:51:10 ihepの投稿

進行癌に対する抗癌剤の追加併用で状態が悪化・・・NEJM誌 2月5日号から

テーマ:医療・健康情報

 進行した結腸直腸(大腸)癌患者に対する標準的な3剤併用治療に、

4種類目の抗癌剤をさらに追加すると、

状態が悪化することがオランダの研究で明らかにされ、

世界最高峰の医学誌「New England Journal of Medicine」2月5日号に掲載された。


 4月以降の大学院講義ネタで使用予定だけど、メモ書き程度にブログに保存(笑)。興味のある方は、読んでください。

 今回の研究は、直腸結腸癌が転移した患者755人を対象としたものである。

ベバシズマブ(商品名:アバスチン)、オキサリプラチン(日本での商品名:エルプラット)、

カペシタビン(ゼローダ)の標準的な3剤併用治療にセツキシマブ(アービタックス)

追加すると有益な効果が得られることが、

動物実験のほか2件の小規模ヒト試験で認められたことから実施された。


 それぞれの薬剤は作用が異なり、カペシタビンとオキサリプラチンは

癌細胞を直接死滅させるのに対し、

ベバシズマブには細胞分裂を促進する血管内皮増殖因子を阻害する作用がある。

 試験の結果、4剤併用治療を受けた患者の平均生存期間は9.4カ月であったのに対して、

3剤治療群の生存期間は10.7カ月であった。

また、4剤治療群では副作用が高頻度でみられた。


このような結果が出た理由は不明だが「抗体間に生じる未知の攻撃性によると考えられる」と、

報告を行ったオランダ、ラドバウドRadboud大学教授のCornelis J.A. Punt博士は述べている。

動物実験で副作用が少なかったことも手がかりになり、

実験動物で毒性が少ないということは、生物学的効果も少ないのだという。


 この知見から得られる教訓は、癌だけでなく、エイズ、結核など

他の疾患の新しい治療にも当てはまると、

ハーバード大学医学部教授のRobert J. Mayer博士はいう。


 「作用の異なる薬剤を追加することは有益であるとの考えが定着しているが、

細胞の構成成分間に混乱を生じる可能性もあり、

副作用の重複がなくても総合的な作用が必ずしも有益であるとは限らない」

と同氏は指摘している。


 生きた細胞は複雑な機械のようなものであり、

癌治療に新たな薬剤を追加する場合、何が起こるかを予測するのは不可能であるという。

「大規模な、多額の費用をかけた臨床試験を行う必要がある。

簡単に実施できることではないが、

これらの薬剤が利益をもたらすはずだという熱意と期待を持っている」とMayer氏は述べている。


コメント:


 ヒトiPS細胞を利用して、ここで書かれた「限界」をある程度突破しつつあります。

ご期待くださいな!


 




2009-02-14 07:43:07 ihepの投稿

iPS細胞で心筋梗塞改善;マウス使った実験で確認-阪大

テーマ:医療・健康情報

新たな万能細胞と期待される人工多能性幹(iPS)細胞を使い、

マウスの心筋梗塞(こうそく)の病状を改善することに大阪大医学系研究科の

澤芳樹教授と三木健嗣研究員らが世界で初めて成功した。

3月5日から東京で開催される日本再生医療学会総会で発表する。
澤教授らは京都大の山中伸弥教授が開発した手法でマウスのiPS細胞を作成。

従来の手法では心臓の筋肉になる細胞を特殊なマークを付けてより分けていたが、

澤教授は心臓の筋肉だけを残す独自の培養法を開発、

心筋のシートを作って心筋梗塞のマウスの心臓に張り付けた。
その結果、シートを移植した8匹のうち半数で血液を送り出すポンプ機能が改善した。

ただ、残り半数は移植した細胞が腫瘍(しゅよう)化した。
培養した細胞の99パーセントが心筋に分化したが、

残る1パーセントの未分化細胞が腫瘍になったとみられる。

今後の研究で純度を上げることができれば、新たな心臓病治療に応用できる可能性もある。(時事ドットコム)


コメント


 バレンタイン日ですが、気になったので、書置きしておこうと。


1. このiPS細胞は、そもそも、いくつの因子で樹立されたのか?

C-Mycをふくめた「元祖、4因子」なのか?それとも、それをはずした3因子なのか?どちらかといえば、発癌率からして4因子のもののような気がするけれど、3因子でもやってるのかな。


2.このiPS細胞は、どこ由来のものなのか?

マウス皮膚繊維芽細胞由来なのか、あるいはマウス肝細胞由来なのか?

後者のほうが、癌化を防ぐ点では、望ましいけど、たぶん、前者でだろうな。


3.iPS細胞から心筋細胞への分化誘導時に、不完全な分化しかしなかった未分化細胞が腫瘍になった・・・というのは、慶応の岡野先生らの神経幹細胞への分化研究と同じだな。要は、「中途半端な、フラフラした不良」細胞が、ヤバイということ。

「不良」と「まともなもの」を完全に分ける技術の開発が重要。

ヒトiPS細胞の腫瘍化マーカーなり、腫瘍化の発現パターンなんかが同定できれば素晴らしい。


4.3月5日の学会には行くから、1~2については、どういう答えをされるか聞いてくるわ。

 

 しかし、それにしても、またまた「世界初」といわれるほどの研究が、なんで、まだまだ論文にならんのだ。特に日本からのは。

 ハーバードやMITは流石だが、中国からは、凄く変な論文でも出るが(笑)。


 速攻で審査が受かっても、おかしくないはずだが、一体、何が問題になっているのかを、もう、緊急討論したほうがいいんじゃないか?

 特に、先に新聞報道してしまった、このような例をネタにして。

 








2009-02-13 09:57:37 ihepの投稿

手術の合併症がWHO作製のチェックリストで、なんと36%も減少!

テーマ:医療・健康情報

 今日は、完全に研究日なんで授業ネタを探していたら

・・・次のような素晴らしいネタを見つけました!


 外科手術による合併症は患者に苦痛をもたらし、医療費上昇を招く。

そこで、米国ハーバード大学のAlex B. Haynes氏らは、

国連のWHO(世界保健機構)が作製したSurgical Safety Checklistを

世界8カ国の病院で調査し、この新規のチェックリスト導入することで合併症が36%減少し、

死亡も有意に少なくなることを明らかにした。(NEJM誌2009年1月29日号)


 全世界で、1年間に約2億3400万件の手術が行われている。

合併症は少なからず見られるが、約半数は予防可能といわれる。

 手術の合併症は世界的な公衆衛生の観点からも問題だと考えたWHOは、

2008年に、手術を受ける患者の安全を確保するためのガイドラインを発表した。

その中核となるのが、この「Surgical Safety Checklist」である。

 19項目からなるこのチェックリストは、

「治療に関わる医療従事者間のコミュニケーションを改善し

、ケアの一貫性を高めれば合併症は減る」という前提の下に、

世界の様々な地域で適用可能という条件を満たすべく作製されたもの。

 論文の著者らは今回、このチェックリストを用いることで実際に合併症を減らせるかどうかを、

様々な環境下にある病院で検証する研究を行った。

 なお、チェックリストは下記の項目からなる(
こちら から入手できる)。

WHOは、それぞれの国、施設ごとに修飾を加えて、より適したリストを作製するよう促している。


 コメント


 再生医療だ、iPS細胞だ、エピゲノム創薬だ、などと騒ぐ前に、本当の臨床現場では、まず、やらなければならないことがあるということです。


 上記の様々な、今後の革新的な医療技術「候補」は、まず、上に述べられた「改善」がなされた上で、それよりもどのくらい患者さんが良くなるのか、あるいは、彼らのQOLが向上するかが焦点になります。

 少なくとも、私は、こういう考え方を基本にして研究、臨床実践をしています。



 


 




 

2009-02-13 08:18:09 ihepの投稿

サッカーの日本代表ネタ

テーマ:ブログ

 オーストラリア戦なあ。

岡田監督は、インタビューでは「やりたいことができた」と言っておりました。

でも、これ、外部向けの強がりのようですな。

 ロッカールームでは、選手に「負けた」と言ったそうだ。


 まあ、オーストラリアにとってはアウイだし、彼らは首位だから、

彼等が完全に守備中心でいくのは予想されたこと。

これを崩すことができなかったのだから完敗です。

 問題は、無駄な横パスと、パスの精度の低さ。

中田(英)よ、いい加減、「自分探し」は、もういいだろ?

ピッチに帰ってこい。このままでも南アフリカにはいけるだろうが・・・。


 「監督は交代」が、また盛んになってるが、その前に、私個人としては岡田さんの身体が心配な今日この頃。

2009-02-12 03:05:03 ihepの投稿

チョコレートと赤ワイン

テーマ:ブログ

 ごく最近の栄養学の論文で、ブラックチョコ・ホワイトチョコ・ミルクチョコのどれが一番、「抗酸化物質」が含まれているかを検証したものがあります。

・・・答えは、ブラック・チョコですが。


 まっ、この抗酸化物質の代表的なものの1つが、カカオマス・ポリフェノール。

抗癌効果や動脈硬化の抑制作用が報告されています。

 癌や動脈硬化に対して、「カカオマス・ポリフェノール」が「降参か?、降参か?」って言うんですね~(皆さん、ここは笑うところですよ)。


 さて、よく知られているように、ポリフェノールは赤ワインにも多く含まれている。

ちなみに、チョコレート>赤ワインである。

 ただ、だからといって大好きな彼女には、逆チョコをあげるほうが「逆・赤ワイン」よりもいいのか?あるいは、彼女にワインバーで赤ワインを飲ませて、締めで「フォンダンショコラ」も食べさせるのがいいのか・・・。


  勝手にしてください(笑)。

 

2009-02-11 23:29:28 ihepの投稿

アクセス解析の謎(笑)

テーマ:ブログ

まるで株価並みの大暴落だな。

このブログの順位。


なんで今日1日で、ランキングが14万位も下がるの(笑)?

PV数は、この1週間では、その前よりも、かなり、あがってるよ。

(皆さん、読んでくれてありがとう!)


 こういういい加減かつ滅茶苦茶なアクセス解析の現状を変えるつもりはないのでしょうから、全く、気にしないのが大正解です。


 






2009-02-10 19:28:42 ihepの投稿

骨粗鬆症(胡椒少々)の新薬候補!

テーマ:医療・健康情報

 大阪大学と米国立衛生研究所(NIH)は共同で、
骨がもろくなる骨粗しょう症の新しい治療薬候補物質を見つけた。
マウスの実験で骨の破壊を約4割に抑制できた。
効く仕組みが既存薬と異なるため、併用すれば骨折予防につながるなど症状を大幅に軽減できるという。
高齢女性を中心に国内で約1000万人の患者がいる骨粗しょう症の
根本的な治療に道を開く成果だ。英科学誌ネイチャー(電子版)に9日、掲載された。

 骨の中では古い骨を壊す破骨細胞と、骨を新しく作る骨芽細胞がバランスを取りながら働いている。

年をとるとこのバランスが崩れ、骨の破壊が進むと骨粗しょう症になる。

 

阪大のチームは、免疫抑制剤として海外で臨床試験の最終段階まで進んでいる薬に、

S1Pと同じ仕組みで働くものがあることに注目。

この薬を骨粗鬆症のマウスに投与したところ、 骨の破壊が6割軽減されることがわかった。

この薬は、冬虫夏草の成分をもとに作られたもので、S1Pより強い働きをもつ。

コメント

 コレ、授業で紹介するときに、鼻がつまってたんで「骨粗鬆症」を

「胡椒少々」と言ってしまいました。ネタではありません(笑)


 さて、真面目に・・・。

優れた研究だと思います。

ただし、免疫抑制剤として開発されていることも考えると、

実際にこの薬が臨床応用された場合、易感染性が問題になってくるかもしれません。

実際、お年寄りに使われることが多いでしょうから余計に。

肺炎へのリスクはもちろん、結核などの既往歴のある方には注意が必要になるかも。


それと・・・特許の問題。

「免疫抑制剤として海外で臨床試験の最終段階まで進んでいる薬」・・・

開発新薬の新しい効果を見つけたのは阪大。

でも、元々の薬は海外のもの。

臨床的には追加適応がとれるでしょうけど、

阪大は、うまく当該企業と交渉しないと、ダメ。


2009-02-10 18:43:11 ihepの投稿

バレンタインウイークかよ☆

テーマ:ブログ

世間は、バレンタインウイークか。

逆チョコする相手もいないどころか、ボランテアチョコももらえないだろうな。

数年前は景気よかったんだけどな(笑)・・・。

綺麗な女性大学院生から、チョコではなくて、大福餅を持ってこられて、無理やり一緒に食べさせられたこともあるな。あの子、今、元気なのかな?最近メールがこないから、幸せにやってるとは、思うんだけど・・・。


この時期、ワインバーなんて混みそうなんだけど。

今年はどうなんだろう。不景気とはいえ、土曜日だから混むかもな。

まっ、いくにしても、かなり遅い時間にいくのがいいんだ。

カップル客は、近くのホテル街で「もうひと仕事」のために、いなくなるからな(笑)。


落ち着いて(寂しく)飲める(笑)




2009-02-09 01:13:53 ihepの投稿

バレタイン、ホワイトデーのワインなら・・・

テーマ:ブログ

 表題の条件のみで、もし、本命の彼女を食事に誘う場合、ワインを提案するなら・・・。自称ソムリエ=「ウソムリエ(笑)」の私なら、



 バレンタインなら赤ということで・・・シャトー・ル・パン。

ホワイトデーなら・・・季節はいちおう春だし・・・白ということで、モンラッシェかな。



 両方とも、すごい価格だから、おいそれとは手は出せんが・・・。

なお、カロンセギュールが、バレンタインの定番でしょうがね・・・。

いずれにせよ、気の利いたメッセージをこめないと、意味はないでしょう(笑)。



あと、彼女のバーステイイヤーのワインで、5大シャトーでもいいかもな。



・・・と、ものすごく景気のいい話を書いてみました(笑)。



 あっそうそう。どっかのブログで、あるソムリエールの新規開業祝いに、その子のバースデイビンテージのシャンパンと、5大シャトーと、エシュゾーを3本まとめてもっていった、やつがいたそうな。まっ、自分が汗を流して買ったものでいくなら、まだしもな・・・。

 なお、これを全部、数人で一晩で飲んだそうだ。物の価値というのを解せないやつはかわいそうだ。あきらかに成金のガキどもには、わかるまいがな。

 

 

・・・にしても、その店は小さな店だし、居合わせた他の客たちが結構かわいそう。営業時間内にだし。おそらく、甚大なサービス格差が生まれてるだろ。だって、シェフまで、味見どころか一緒に飲んでるし(笑)。オイオイ。


 どこか公開してやろうか?(笑)・・・ブログで公開してやがる。



 


2009-02-07 01:16:39 ihepの投稿

「命の燃料、酢が肝心 東大チーム解明」記事・・・のコメント

テーマ:医療・健康情報

 「極度の飢餓状態にある人や糖尿病患者にとって、酢がかなり重要なようだ。

東京大先端科学技術研究センターの酒井寿郎教授(代謝学)らがマウスで明らかにした。

3日付米科学誌セル・メタボリズム(電子版)に掲載される。

 体内では、代謝によってできるATP(アデノシン三リン酸)が、

体を動かしたり体温を維持したりするエネルギー源となっている。

 ATPを生み出すには、瞬発系の運動ではブドウ糖を、

持久系の運動だと脂肪酸やケトン体を主に使うことが知られている。

 チームはATPをつくる代謝経路に酢酸も関係していることに着目。

遺伝子操作し、ブドウ糖や脂肪酸は代謝できるが酢酸は代謝できないマウスをつくった。

このマウスと正常なマウスで、エサを与えた場合と48時間絶食させた場合を比較。

酢酸を代謝できないマウスだけが、絶食状態のときに著しく体温と持久力が低くなることがわかった。

 酒井教授は「ブドウ糖の吸収、利用が極端に低い糖尿病患者に、

血糖値を上げないエネルギー源として酢が役立つかもしれない」としている。(2月4日 朝日新聞)」



コメント


 現代の飽食時代にあっては、

肥満・メタボリック症候群が社会的にも問題になっています。

米国では近年、低インスリンダイエット

(低炭水化物ダイエット、いわゆるアトキンズダイエット)が、

低脂肪食にかわる効果的ダイエットとしてブームになっています。


 さて、酢が糖尿病患者に効果があるか否か?

最終的には、多くの糖尿病患者さんを対象して、

酢を規則正しく摂取する患者さんとしない患者さんに分けて、

血糖値の程度(例えば、酢の摂取群では上昇しないか否か、

または、適正に下げることができるか)や

生命予後はどちらが長いか等を長期間にわたり調べねばだめ。

 まあ、多分、少々の効果はあるでしょうけど・・・。


 あと、補足として、この実験結果からできる可能性がある薬として・・・

今回の酢酸を活性化する酵素を欠損したマウスでは、

低インスリンダイエットによって体重増加が更に抑えられることも

明らかとなったことから、このダイエット法においては酢酸を活性化する阻害剤が、今後、抗肥満薬として効果を上げる可能性が示唆されるでしょう。

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