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2012年10月14日2時58分

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森口氏「やったんです」 iPS臨床、1例の実施固執

 【ニューヨーク=真鍋弘樹、行方史郎】iPS細胞(人工多能性幹細胞)の初めての臨床応用を行ったと主張する森口尚史(ひさし)氏は13日、ニューヨーク市内のホテルで記者会見し、国際会議で発表しようとしていたiPS細胞を使った手術について、時期や回数などに虚偽が含まれていたことを認めた。

 森口氏はこれまで手術を6例実施したと主張。しかし、うち5例は「これからやる予定を話してしまった。ちょっとハイになっていたかもしれない。不徳の致すところ」と説明。「オーバーにうそをついたと認めます」とした。

 一方で、今年2月に行ったと主張してきた手術の時期は「昨年6月だった」と訂正したが、手術をしたとの主張は続け、パスポートの出入国記録を示した。入国は観光目的のビザなし渡航だった。手術をした場所、日時、執刀医の数などについては言を左右し、「一応、ボストン市内の病院ということで」「記憶にない」などと、具体的な証人についてはまったく示すことはなかった。

 文書に残った証明としては、「1例目の文書は、千葉の自宅にあります」と言いながら、「大学側が保存していないとなると、それは想定していませんでした。日記レベルでのものはあります」と語った。

 虚偽の説明をしたことによる社会的責任ついて問われると、「道義的責任を含めて、申し訳ないと思っている」と謝罪した。会見には日本メディアが多数、出席。ニューヨークで前日、前々日と一部メディアから長時間の取材を受けたことについては「軟禁状態で寝てないところでもうろうとしていて、昨日は非常に精神的に参っていて(明確に話せなかった)」とも話した。

 虚偽の説明については「道義的責任を含め、申し訳ない」と謝罪。今後について「研究者としては終わりだと思います」と述べた。

    ◇

 現地時間13日午前10時に始まった会見は2時間以上に及んだ。「すべて虚偽だと認めたらどうですか」と報道陣に問い詰められても、うつろな表情で「6月の手術は本当です。やったんです」と固執した。

 この日、登場した「昨年6月の手術」については、実施したのはマサチューセッツ総合病院ではなく、「ボストン市内の別の病院」という新たな主張が飛び出した。

 「自らも一部、患者に注射をしました」と言いながらも、病院や執刀医については「言えない」の繰り返し。この時期に米国に渡航したことを示すため、自らのパスポートを見せる一幕もあったが、「何のビザで」と問われ、「観光ビザです」と答えると、苦笑が漏れた。

 ハーバード大での肩書を偽っていたことについても「うそはついていない。間違いない」と断言した。

 最後の言葉は、「(1例)やったことには自信があります」だった。

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