最先端研究開発支援:対象に山中教授ら 民主「凍結も」
テーマ:iPS細胞(研究支援)政府は4日、「世界トップ」の研究者に総額2700億円の研究費を分配する「最先端研究開発支援プログラム」の対象者30人を発表した。1件あたり3~5年間で30億~150億円が助成される。プログラムは民主党が見直しを進めている46の基金の一つ。政権交代に伴い今後、凍結を含めプログラム内容が変わる可能性もある。
対象研究者には、ノーベル賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェロー、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発した山中伸弥・京都大教授ら国内の著名研究者が名を連ねた。
プログラムは、緊急経済対策を主眼とした09年度補正予算に盛り込まれた施策で、565件の応募があった。日本経団連の産業技術委員会が4月にまとめた提言がベースになったとされる。麻生太郎首相は当初から「(配分先は)自分が決める」と在任中の選定に意欲を見せ、約1カ月半の間に10回も会議が開かれるなど急ピッチで審査が進んだ。
審査した委員からは「資料が段ボール2箱もある。(短期間では)不可能だ」「金額が大きいだけに、もっと時間をかけるべきだ」との意見も出たが、事務局の内閣府は「選定に時間をかければ、研究をする期間が短くなる」と押し切った。
落選した基礎科学系のある研究者は「ヒアリングは説明10分、質疑10分。専門分野でない審査員も多く、これで何が判断できるのか。今決める必要はなく、拙速に過ぎる」と疑問を呈した。
一方、民主党は補正予算の執行を一部停止する方針を打ち出している。岡田克也幹事長は4日の記者会見で「この時期に決まることに違和感を覚えないわけではない。場合によっては凍結することは当然ある」と含みを持たせた。
採択された研究者からは不安の声も漏れる。ある工学系の研究者は「選ばれてうれしいが、(民主党の考えが分からず)中途半端で戸惑いもある。しかし、鳩山由紀夫代表は工学系出身で科学技術にも理解があり、このまま採用されることを期待したい」と話した。
科学技術政策に詳しい角南篤・政策研究大学院大准教授は「若い研究者ら『将来の芽』にもう少しお金が回るよう、制度設計にもっと時間をかけるべきだった。民主党も基金の設置法案には賛成しており、配分先が決まったものを凍結するのは難しいだろう。新政権は早く態勢を整え、金額や運用方法などを柔軟に検討してほしい」と注文をつけた。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090905k0000m010114000c.html
最先端研究支援、民主が「凍結も」 政府は30人を選出
前国会で成立した2700億円の最先端研究開発支援プログラムの支給先を決める会議が4日、首相官邸であり、世界に先駆けてiPS細胞を作った京都大の山中伸弥教授ら30人(30課題)が選ばれた。しかし、民主党の岡田克也幹事長はこの日の記者会見で選考決定について「政権移行期に駆け込み的にやることには問題がある。政権がスタートすれば精査の対象にし、場合によっては凍結することは当然ある」と述べ、政権発足後に選考過程を検証する考えを示した。
565人の応募を学界や企業の専門家らが60人に絞り込み、この日、座長の麻生首相、野田科学技術担当相らを交えて30人を決めた。ノーベル賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェローや超伝導の研究で知られる細野秀雄・東京工業大教授らも選ばれた。首相は「既得権益や、これまでのしがらみにとらわれない画期的な選考ができたと思っている」と語った。
しかし、岡田幹事長は会見で「違和感を覚えないわけではない。十分審議が尽くされたものかもわからない」と述べ、選考結果をそのまま容認できないとの考えを示した。このため、プログラムが実行されるかも含め、政権発足後の判断となりそうだ。
会議では、課題の選考に当たった委員からも「なぜこのタイミングで決めるのか」という疑問の意見があったという。
このプログラムは、先の補正予算で作られた計4兆4千億円の基金のひとつで、1件当たり平均90億円の研究資金を5年間、自由に使わせる。緊急経済対策とはしないことなどを条件に民主党も賛成に回った。
課題別では、ナノテク、環境、材料、情報通信など「出口を見据えた研究開発」が25件を占め、基礎科学研究は5件だった。11人は東京大学教授らで、東北大学、京都大、大阪大、慶応大から複数の研究者が選ばれた。富士通や日立製作所、東レなど企業の研究者も4人入った。
(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/0904/TKY200909040395.html
先端研究助成、京大教授らに総額2700億円
政府の総合科学技術会議(議長・麻生首相)は4日、今年度の補正予算で創設された総額2700億円の先端研究助成基金を配分する研究者30人を決めた。
1人当たり3~5年で30億~150億円という、前例のない巨額研究費。年度ごとの予算に縛られない仕組みも導入し、世界をリードする研究を集中的に支援する。
選ばれたのは、iPS細胞(新型万能細胞)を作った京都大学の山中伸弥教授や、鉄を含む高温超電導物質を発見した東京工業大学の細野秀雄教授ら。経済競争力の強化を狙い、民間企業の研究者も4人選んだ。3~5年で実用化につながる成果を狙う「出口志向」の研究が中心。宇宙物理学などの基礎研究も選ばれた。
565人の応募から、有識者らの審査で先週、60人に絞り込んでいた。今後、研究者ごとの配分額を決め、11月にも研究体制を整える。従来の一般的な科学研究費は、最高でも1件当たり年間3億円程度だった。
同基金は、民主党も賛成して創設された。しかし、政権交代直前での選定について、民主党の岡田幹事長は同日、「この時期に決まることに違和感を覚える。駆け込み的なものは精査して、場合によっては凍結もありうる」と語った。
(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090904-OYT1T00975.htm
先端研究30件を支援へ 民主は凍結も示唆
政府の総合科学技術会議(議長・麻生太郎首相)は4日、世界をリードし得る最先端研究を支援するため、本年度補正予算2700億円でつくる「先端研究助成基金」の支給対象30件を決めた。山中伸弥京都大教授による新型万能細胞「iPS細胞」の再生医療応用研究などが選ばれた。
麻生首相が同会議で「最後は私が決める」と繰り返していた、肝いりの事業。民主党もこの制度には基本的に協調姿勢を取ってきたが、岡田克也幹事長は同日、「新政権がスタートすれば精査の対象。凍結もありえる」と話した。
決定した助成先はほかに、画期的ながんの放射線治療装置開発(白土博樹北海道大教授)、世界最高性能の有機ELデバイス開発(安達千波矢九州大教授)など。ノーベル化学賞を受賞した島津製作所の田中耕一さんの次世代質量分析システム開発も選ばれた。
制度上、3~5年にわたり、それぞれ30億~150億円を給付できる。
支給対象は7月に公募を開始し、565件の応募があった。有識者でつくるワーキングチームが書面審査やヒアリングを行い、8月末に約60件の候補を選定。4日の総合科学技術会議直前に開かれた最先端研究開発支援会議で30件に絞り込んだ。
(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009090401000910.html
iPS細胞医療など30件選定=先端研究基金、対象決まる-総合科技会議
政府の総合科学技術会議(議長・麻生太郎首相)は4日、補正予算で創設された総額2700億円の「先端研究助成基金」による最先端研究開発支援プログラムの対象に、山中伸弥京都大教授(47)の人工多機能性幹(iPS)細胞再生医療応用研究など30件を選定した。今後、研究ごとの支援額を決めるが、政権移行期の選定には批判もあり、曲折も予想される。
同基金は、日本の中長期的な国際競争力強化を目指し、今後3~5年の間に世界をリードする分野で先端的研究課題を選定。優れた研究者に対し、複数年度にまたがり、1件当たり30億~150億円を助成する。
全国の大学や企業などの研究者から寄せられた565件の応募に対し、専門家らが書面審査やヒアリングを実施。山中教授らの研究のほか、ノーベル化学賞受賞者の田中耕一さん(50)らが提案する「次世代質量分析システムの開発」や、北海道大、東北大、大阪大、九州大などの研究者が提案した課題が選ばれた。
(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009090400968
「最先端研究支援 60研究候補 」の追加情報です。
まぁ、さすがに凍結することはないと思いますが…
1 ■無題
採択された全ての研究者は把握しておりませんが,各分野で著名な先生方が採択されたようですね。
予算の額はもちろんのこと,予算執行にも配慮したプロジェクトなだけに,政権が代わったからといって,全てを白紙にというのはさすがにちょっと待ってほしいなと思うのが本音です(私達のラボは採択されていませんが)。
仮に,予算が削減されることがあったとしても,このプロジェクトがうたっているような,柔軟な予算執行や研究者に配慮したシステムだけは,今後のプロジェクトにも是非導入して頂きたいと思います。
少ない研究費でやりくりするのも大変ですが,収入が少ないのに支出が多い国家の財政をやりくりしなければならない,政府の皆さんのご尽力とご苦労は相当なものかとお察しします・・・。