お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

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科学と政治 生物は多様すぎる (10/6)




(今回は科学と政治というより、科学と御用学者とか科学とマスコミいう感じです)



「種の絶滅が多い」とか「生態系が壊れる」などと見当外れのことを言っている人が多く、これもマスコミのいい加減な記者の記事による影響が強いものです。



現代はあまりに生物種が多く(それも分からないが)、もし中生代が「正しい姿」なら、種は少し絶滅した方が良いかも知れません。



・・・・・・ここから音声・・・・・・


1)太古の昔からの種の変化、

2)絶滅しなくなった原因、

3)どのぐらいが適当か、

4)人間は自然の一部か?

これに関するグラフを貼りました。


お手伝いさんたちのブログ






(平成24年10月6日)




--------ここから音声内容--------




今回はですね、科学と政治というよりも、むしろ科学と御用学者とか、科学とマスコミっつった問題ですが、やっぱこれもですね、思想によって科学を捻じ曲げようというようなものなので、ちょっとここで比較をしてみたいと思ってるわけですが。





最近ですね、人間の活動のために一年に4万種なくなっていくとかですね、生態系が壊れるっつったですね、見当外れのことを言ったり記事に載ったりします。一番私がひどいなぁと思ったのは、ある朝日新聞の女性の記者がですね、「毎日毎日、種が一つずつ消えていく。これを続けていったら、ちょうど機械の部品が外れるように、やがて機械は動かなくなる」、いやあなた何を言ってんですかっていうわけですね。生態系と機械とは違いますよってことですね。生態系がそうだから機械もそうである、機械がそうだから生態系がそうである、そんな乱暴な話はありせん。この話はですね、まったく作り話なんですよね。





つまりその女性の記者が、生態系が壊れて種がなくなっていくと生態系が壊れるということを、単に想像で書いたってことですから、まったく科学ではないんですね。非常にこれ困るわけです。で、現在の種が多いかどうかよくわからないわけですが、地球が誕生しですね、多細胞生物が5億5千万年前にできてから、ものすごく今種が多いんですね。これでほんとにいいのかっていうことですね。





そんなこと考える必要ないんですよ。もし考えるんだったら、絶滅がいけないとか、なんかそういうふうに考えるんでしたらですね、どちらかと言うと、まぁちょっと多すぎるかな、と。中生代…恐竜がいる時は生物の楽園だったとよく言われるんですが、もしそれがほんとであればですね、種は少し絶滅した方がいいっていうことになります。





少しこれを説明しますと、太古の昔、地球は46億年前にできたんですが、37億年前に生物が生まれたと考えられてますね。この生物は海の中に住んでおりまして、まだそのころは地球にオゾン層っつぅのがなかったものですから、生物が地表に出てくるとすぐガンになっちゃうんですね、放射線浴びまして。それで海の中に潜っとったわけです。





それがですね、15億年ぐらい前、オゾン層ができましたんでおそるおそる地表に出てきます。しかし7億年ぐらい前、非常に寒かったものですから、出てきたものはみんな死んじゃった、と。で、それから温かくなった5億5千万年前、カンブリア紀というのが訪れてですね、生物が花開くんですね。





ところが最初に生まれた生物っつぅのは非常に不完全で、目が3つあったりですね、足が上も下もついてたりですね、口が丸かったり色んなことしたんですね。つまり「作ってみた」っていうわけです。っと、どんどんどんどん絶滅していくんですね。それは適合しませんから。じゃ、そのうち適合したやつが生き延びてくるんですね。





で、古生代っつぅのはだいたい3億年ぐらいあったんですが、この3億年の間にですね、作ったり失敗したり、作ったり失敗したりしてるんですよ。それで種の数はほとんど一定でした。時々寒くなったりしますと、どんどん絶滅するんですね。ですから古生代は5回絶滅が…4回っつってもいいですかね。絶滅はどのくらいのものを絶滅というかっていうのがまた難しいんですが、まぁ4回って言ってもいいですかね。





で、古生代の終わりにものすごい寒波が来まして、寒くなりまして、それで大絶滅が起こります。ここで94パーセントの種が絶滅したと言われまして、いわゆる古生代っていうのが終わるわけですね。それで中生代っていう新しい時代が開けるわけですが、なにしろその絶滅をくぐり抜けて来た生物だけが残りましたから、大変に強かったわけですね。この一つに恐竜があります。中生代も2億年から2億5千万年続くんですけども、その間に一回しか絶滅をしませんでした。つまり古生代はどんどん絶滅したのに、中生代の生物はですね、2億5千万の間、一回しか絶滅しない、と。非常強い生物になったわけです。





この強い生物も大隕石が今から6000万年ぐらい前に落ちたもんですから、それで一撃にやられちゃってですね、恐竜も全部絶滅したと考えられてるわけですね。そこで今我々が住んでいる新生代になります。まだ新生代ができてから5000万年ぐらいしかたってないんで、新生代の我々がですね、絶滅するかどうかはわかりませんが、今のところ一回も絶滅がないんですね。





これは生物の防御系ってのはですね、昔の生物の防御系、非常に弱いんですよ。ところが我々人間の防御系ってすごく発達してるんですね。これは今までのあらゆる寒さ、暑さ、色んな天変地異に耐えられるようなものしか残ってないわけですね。例えばダイオキシンなんかそうかもしれないんですね。ダイオキシンってある程度毒物なんですよ。私(は)無毒なんつってましたけどね。これは「人間に対して無毒」だっていうだけですね。





かつてやっぱりみんなダイオキシンに弱かったのかもしれませんが、ダイオキシンなんかはつまり木が燃えてもできるようなもんですね。木が燃えてもできるようなものは耐えられるようになってんですよ。私、実は自然放射線と人工放射線ってのは基本的には同じなんですが、やっぱりそれはそんなに甘く見ちゃいけないよって言ってんのはですね、カリウムとかですね、ルビジウムなんっつぅのはですね、もう人間が生まれた時から、生物が生まれた時からあるんですね。そういったものに対する防御はおそらくできてるんですよ。





ところが放射性ヨウ素だとかセシウムとか、ストロンチウムもしくはプルトニウムなんつぅのはですね、人間が作ったものですからね。これはちょっと100年ぐらいでは人間の体ん中に防御系ができてるとは思えないんですね。ですからまぁそういうことですね。絶滅しなくなったっていうわけです。





そうするとですね、「生物ってどのぐらいの種がいた方がいいの?」って、まぁ、いわゆる「生態系を保つためにはどうした方がいいの?」 、一回確認のために生物の専門家に聞きましたらね、「いや、そんなことわからないに決まってるじゃないですか」と。昔はすごい少なかったし、今は膨大にいるし。ただ、自分が研究している種が絶滅しちゃうと、研究費が1/5とか1/10になるそうですね。





つまり生存してる種に対する研究費と、絶滅した種に対する研究費は違うらしいんですよ。だから「みんな絶滅がイヤだって言ってるだけですよ」なんて言われてですね、「あぁ、そうですか」ってなもんですね。それからもう一つ、「人間の活動のせいで絶滅が増える、だから(人間は)自然とは違うんだ」って言うんですけどね、これは傲慢な考え方なんですよ。人間は自然です。人間のようなものはいっぱいありました。恐竜もそうですね。あんなに体がでかくて、どんどん食べるような動物がうようよしてたらですね、他の動物たまらないですよ。やっぱり絶滅はしたでしょうね。





ですから人間が増えるとコンクリートの家を作る、と。ま、コンクリートの家は作れますけどね、人間は。サンゴ礁だってですね、あれサンゴっていうものなんですね。サンゴだってやっぱりものすごくはびこってサンゴ礁っていう島を作ってるぐらいですからね。これもすごいわけですよ。もちろんそんなやつはいっくらでもあってですね、生物が地球の形を変化させるっていうのはいくらでもあるんですね。





ほとんど空気中の酸素は、これ生物の吐き出した息ですからね。そういうことも全部あるんですね。ですから、人間がやったから、これは自然ではないと言うとですね、これは非常に問題なんです。どの時代にもですね、アンモナイト、三葉虫、恐竜とかですね、新生代でも大きな鳥が一時出現しまして、地球上の生物を全部圧迫しました。そうしますと他の生物が減ってきますね。





ただ、それをまたくぐり抜けてくる、と。こんなような感じで地球というのは…生物は発展してきたわけですね。ですから人間の活動は自然ではないというのはですね、非常に問題だと思います。ご参考のためにグラフを一つ貼りましたが、このグラフは先ほど説明したことですね。横軸に年代を取りまして、縦軸に生物の種っていうか「属」なんですか…だいたい同じなんですが、その種類を書いてあります。





古生代はほとんど変わってなくて、中生代からどんどん増え始め、新生代になるとですね、とどまることを知らずに種が増えております。これだけ種が増えたら、種が増えたことによって、一瞬のうちに生物が死に絶えるかもしれません。わかりませんね。





ですから私たちが…今人間がやってること、人間が繁殖しすぎて生物のうちある程度が絶滅すること、これはですね、正常な活動かもしれませんし、これこそ今までの多細胞生物の歴史、5億5千万年の歴史を、多分に別の形で繰り返しているにすぎないと、こういうことになります。

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