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ハルキストため息なぜ取れないノーベル賞

 スウェーデン・アカデミーは11日、2012年のノーベル文学賞を、現代中国を代表する作家、莫言(ばくげん)氏(57)に授与すると発表した。中国国籍の作家としては初受賞。有力候補とみられた村上春樹氏(63)は選ばれなかった。村上氏はここ数年、毎年のように候補に名前が挙げられており、「今年こそは」と発表を待ちわびた「ハルキスト」たちからは深いため息が漏れた。

 「ああ~」。村上作品の熱心なファンが集まる都内のカフェに、ため息が広がった。店ではノーベル賞発表に合わせ、村上作品の読書会を開催。多くの「ハルキスト」が吉報を待ったが、受賞したのは莫言氏だった。「祝勝会」は急きょ来年への「決起集会」に。店のオーナーの中村邦夫さん(41)は「ライバルだった中国人作家の受賞は微妙な感じ。賞を取る取らないにかかわらず、読書会は続けたい。また1年かけて準備します」と話した。

 今年のノーベル文学賞は、村上氏と莫言氏の「日中対決」が注目されていた。賞発表前には、欧州のブックメーカー(賭け屋)が両氏がトップ争いをする予想を出しており、「村上氏が受賞するなら今年だろう」との声もささやかれていた。国内だけで1115万部発行の「ノルウェイの森」を始め、最新作「1Q84」など、村上作品は40以上の言語に翻訳され、海外のファンも多い。06年にはノーベル賞の登竜門とされるチェコのフランツ・カフカ賞も受賞。以来、村上氏は毎年のように有力候補に挙げられている。

 都内ではこの日、一足早く著作を並べた特設コーナーを設ける書店も。8日のノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥京都大教授(50)に続く、日本人受賞に期待感が高まっていた。愛読歴28年の女性(42)は、今年も空振りに終わったことに「もやもやした気持ちをまた持ち越しました」と残念そうに話した。

 一方、莫言氏の母国・中国では、尖閣諸島をめぐり日中関係が悪化している中での「勝利」を地元メディアが速報、喜びに沸いた。だが、ネット上では「村上さんの受賞が正当」などとする書き込みも多くみられた。熱烈なハルキストが多く存在する中国でも、「愛国」を超えて村上作品を高く評価していることがあらためてうかがえた。

 ◆ノーベル文学賞 スウェーデンの化学者アルフレド・ノーベル(1833~96年)の遺言に基づき1901年に始まったノーベル賞の1部門。スウェーデン・アカデミー(会員18人)が各国のアカデミーや作家協会の代表らから推薦を受け付け、会員のうち5人でつくる選考委員会が毎年5月末までに最終候補5人を選定。会員全員で議論し、無記名投票で過半数を得た候補1人が発表当日の最終投票を経て正式に受賞者に。日本人では川端康成(68年)と大江健三郎さん(94年)が受賞。

 [2012年10月12日8時12分 紙面から]





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朝日新聞デジタル