1914〜2012・東京駅復元:JR東日本・東京駅長、梅原康義さん
毎日新聞 2012年10月13日 東京朝刊
◇通過点から街の顔に−−梅原康義(うめはら・やすよし)さん(60)
東京駅の駅長は私で23代目となりますが、駅での勤務は私は初めてです。運転畑出身で、中央線の運転を担当していたこともあります。東京駅から甲府駅まで、運転台から変わる風景と時代の流れを見ていたことになります。
私が入社した75年、当時の国鉄本社は東京駅前の丸の内にありました。私も勤務した時期がありますが、平日は大勢のビジネスマンが乗降されます。しかし、土日祝日には丸の内側に降りる方はほとんどいませんでした。非常に閑散としていましたね。休日にビル街の真ん中の通りを歩いても誰もいません。人がいないのがすてき、絵の題材になるとスケッチをする人がいたくらいです。
では、現在の東京駅で最もお客様にご利用いただいている改札口はどこでしょうか。丸の内の地下中央改札なのです。
ビジネスの玄関口が、今は観光のための玄関口にもなりました。休日にも大勢の方が訪れます。街自体が観光地、目的地になり、丸ビル、新丸ビル、仲通りがおしゃれなショッピングの道筋になっています。
10月には丸の内中央口に海外のお客様向けの「JR東日本トラベル・サービス・センター」を設けました。また、正面の御車寄せのところに撮影スポットも用意しました。東京駅を背景に写真撮影ができます。
復元されたドーム内部の飾り付けもぜひご覧ください。100年前の飾りを専門の技術者らが苦労をして復元しました。
今の東京駅は、単なる通過点ではありません。東京駅が街の顔になり、都市のイメージを象徴する建物になりえると思います。さらに、東京駅自体が「訪れたい」目的地になるという機能が出てきたのかなと思います。新しい東京駅に、ぜひお出かけください。【小野博宣】=おわり