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三重県 岩手からがれき受け入れ 検討中の自治体、今後は

(2012年8月8日) 【中日新聞】【朝刊】【三重】 この記事を印刷する

 震災がれきの広域処理で、三重県は7日、国が示した新たな工程表を受け、来年末までに岩手県久慈市のがれき計2千トンを受け入れていくことを表明した。三重県内では尾鷲市、熊野市、多気町、伊賀南部環境衛生組合が受け入れを検討しているが、放射性物質への懸念から、住民の理解は十分に得られていない現状だ。今後、受け入れへの議論の行方は−。

伊賀南部環境衛生組 不安払拭の材料に

 「住民の不安を払拭(ふっしょく)する材料になる」。伊賀南部環境衛生組合の田中実事務局長はこう評価した。

 焼却場周辺の住民からは、受け入れ反対の決議文が出されたが「これまでは具体的な数量が分からない段階だった」と指摘。「あらためて安全性を説明すれば懸念も取り除かれる」と今後も理解を求めていく考えを示した。組合は焼却灰の処分先が決まった後、焼却施設の周辺地区で個別に説明会を開くことを予定している。

熊野市 焼却灰処分先確保を

 熊野市は、処分先の確保と、風評被害への国の補償などが確認されなければ「白紙」の立場。今のところ説明会の開催も未定。

 河上敢二市長は「久慈市のがれきの放射線量が基準を下回っているのであれば、いくつかの条件のうち1つが満たされただけだ」と述べ、今後の動向を注視する考えだ。

尾鷲市 国に風評被害対策を

 「焼却灰の処分先が決まらないと何とも言えない」。尾鷲市の岩田昭人市長は慎重姿勢を崩さない。市は最終処分先が決まり次第、説明会を開いて理解を得たいとしているが、既に尾鷲漁協が風評被害を心配して受け入れ反対を表明。岩田市長は「今のままでは説得は難しい。国には風評被害への対策を求めたい」と話す。

多気町 方向性は懇談会後に

 多気町は、既に7月中旬から町内49自治会を対象に住民懇談会を実施。久保行央町長は「久慈市は、原発から離れていることや、放射能濃度が不検出か、低いことが明確になり、住民にとっては分かりやすい」と評価。一方で「懇談会が終わる9月下旬までは方向性を打ち出せない」とも言う。

 県の担当者は「これまでもガイドラインなどで安全性を説明してきたが、量や搬出地域が分かったことで、より理解を深めてもらえるのではないか。今後も丁寧に取り組んでいく」と理解を求める。

 久慈市は岩手県北部に位置。広域処理分は4千トンでうち、三重県内で2千トンを処理する方針。県によると、受け入れるがれきの放射線量は不検出か、わずかに検出される程度だという。

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