二〇一一年 卯月 廿八日 木曜日■ 福島原発事故について・その6 被曝を防ぐ・放射線量の低い地域 [/links]その5から続く。 空間放射線量の高い地域では、できるだけ被曝を少なくした方がよいので、食べ物や飲み物に気をつける必要がある。また、仙台市や首都圏などでも、1年間に予想される外部被曝と内部被曝の合計が1ミリシーベルトにやや近く、それほど余裕がないので、やはり食べ物や飲み物に気をつける必要がある。 ここで問題となるのが、政府が事故後に定めた暫定基準(PDF)が国際的な基準よりかなり高いということだ。たとえば水道水中の放射性ヨウ素131Iの濃度でいえば、WHOの基準が1リットルあたり10ベクレル(PDFの203ページ)であるのに対し、政府の暫定基準では1リットルあたり300ベクレルと、30倍になっている。 しかし、WHOの基準は大幅に安全を見込んでいるので、30倍にしてもまだ安全だというのは事実だ。食品添加物の場合、安全基準は通常、健康に影響が出ると見込まれる量の100分の1になっている。放射能の影響を受けていない地域、具体的には東北地方の北半分と北海道、そして甲信越地方や東海地方とそれより西では、政府の基準を満たす食品は食べても差し支えないだろう。 ただし、東北地方の南半分と関東地方では、ただでさえ外部被曝をある程度受けているので、内部被曝はできるだけ抑えなければならない。そのため、東北地方の南半分と関東地方でとれた農畜産物については、摂るのを控えた方がよい。産地が明確でない食べ物も控えた方がよいだろう。 また、今後は海の汚染が広がることが予想されるので、海産物についても同様に、東北地方や関東地方でとれたものは食べない方がよい。 こんなことを書くと「風評被害を煽っている」と言われそうだが、東北地方の南半分と関東地方では、程度の差はあれ、土壌や海が放射能で汚染されており、農畜水産物も汚染されている。この地域でとれた農畜水産物を飲食しても安全なのは、この地域の外にいる人だけだ。放射能で汚染された地域に住んで、同じ地域でとれた農畜水産物を飲食したら、被曝量が倍増することになる。 有害な食品添加物を使用している食品と使用していない食品があって、使用していない食品を消費者が選ぶとしても、これは当然のことだ。基準値より低いからといって、食品添加物を使用した食品を食べさせる権利は、誰にもない。 東北地方の南半分と関東地方では、農畜水産業は大きな被害を受けている。しかし、実際に農畜水産物が放射能で汚染されているのだから、これは風評被害ではなく放射能被害であって、責任を負うべきはまずもって東京電力と政府だ。 もちろん、信頼できる放射線量検査を受けて、放射性物質が少ないことが証明されている食品であれば、安心して食べることができる。また、原発事故の前に収穫された食品、たとえば米も、安心して食べられる。 その7へ続く。 |