二〇一一年 水無月 十二日 日曜日■ 福島原発事故について・その11 事故の影響・海洋汚染 [/links]その10から続く。 福島原発事故は史上最悪の原子力発電所事故とみなされることになるだろう。チェルノブイリの場合、放射性物質の大量放出は2週間で止まった。今回の事故では、東京電力の工程表通りに進んだとしても、大量放出が少なくとも数か月続く。その流出先は海だ。 福島第一原発では、1号機から3号機のすべてで、圧力容器に穴があいて核燃料が外に出ていると考えられている。圧力容器の外側は格納容器だが、2号機では格納容器につながる圧力調整室の中で水素爆発が起きているから、大きな穴があいているはずだ。1号機と3号機の格納容器も無傷ではないだろう。さらに、4号機の燃料プールにも穴があいていると推測される。 そのため、核燃料を冷やして放射能で汚染された水がどんどん漏れている。漏れた水は建屋の地下にたまっており、仮設タンクなどに移しているが、防水が不十分なところに10万トンの汚染水があるのだから、すでにかなりの量が海に流れ込んでいるはずだ。 汚染水の流出を止めるには、漏れてきた水をポンプでくみ上げてもう一度冷却水として使うような循環系を作らなければならない。一部の使用済み燃料プールではすでに循環系ができているが、1号機の建屋内で1時間あたり1シーベルト単位のとんでもなく高い放射線が検出されているので(再臨界が起きているのではないか)、作業員の被曝に目をつぶらない限り東京電力の工程表は実現できないだろう。 そうこうしているうちに、福島もまもなく梅雨入りする。台風がやってくることもあるだろう。汚染水がどれだけ海に流れるのか、想像もできない。 海洋汚染についても、政府や東電は情報隠しに躍起で、グリーンピースが調査を断わられたこともある。そのグリーンピースの調査によって、すでに海藻が高い濃度で汚染されていることが明らかになっている。 海藻は動かないので、放射性物質がたまりやすい。海水中では放射性物質は希釈されるが、食物連鎖の中で生物濃縮が起こるので、少し遅れて魚にも放射性物質がたまるはずだ。そのような海藻や魚を食べれば、当然内部被曝をすることになる。東北地方から関東地方の太平洋沿岸でとれた海産物は要注意だ。 低線量被曝が何より恐ろしいのは、仮に放射線のせいで癌死したとしても、それが放射線のせいだと立証することができないということだ。したがって、死んだところで、政府や東電から補償がもらえる可能性はまったくない。そのためかどうか知らないが、政府には国民の健康を守るつもりはないらしい。自分の身は自分で守るしかない。 その12に続く。 |