結局のところ、選挙民向けに正義感を漂わせる姿勢を取り繕っていたということなのか。
新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長が、米軍普天間飛行場の返還・移設問題で、「今の段階で辺野古移設以外の代替案を持っていない」と発言した。
事実上、日米両政府がごり押しする名護市辺野古への県内移設案を容認した発言である。
普天間飛行場へのオスプレイ配備に頑強にあらがい、県内移設ノーで一つに結ばれつつある沖縄社会にとって、到底受け入れ難い認識だ。
2009年末、橋下氏は「米軍基地は沖縄だけに負担させる問題ではないという認識を持ちたい」と述べ、沖縄の基地負担に寄り添う発言を繰り返した。米軍機訓練の関西空港への移転を受け入れる余地があるとの認識も示していた。
日米安保の重要性を説きながら、自らはその痛みを引き受けない政治家が大多数を占める中、橋下氏は、沖縄の痛みに向き合う姿勢を示していた。評価は分かれても、県民にかすかな希望を抱かせる存在であったことも確かだ。
国民的期待感を集める橋下氏の影響力が強まる中、辺野古しかないという言説は変節以外何物でもなく、国民の誤った認識を助長しかねない。
橋下氏は「外交は事実の積み重ねが基本。国内問題と違い威勢の良さだけでは解決しない」とも発言した。
国民の政治不信を高めた既成政党を歯切れよく批判してきたが、改革は国内の統治システムに限定する、極めて内向きの姿勢だ。
外務・防衛官僚に言いくるめられたかのような「代替案なし」発言に失望を禁じ得ない。
次期衆院選の選挙公約とされてきた「維新八策」に沖縄の基地問題が一切触れられていなかった。橋下氏は政策の軌道修正があり得ると言及していた。われわれの疑念は的中してしまった。
国政での躍進が見込まれる段階になった途端、日本外交に横たわる病弊に果敢に挑む姿勢を弱め、「沖縄の負担軽減」の旗を降ろしたように映る。
沖縄に基地を押し付ける差別的構図を温存するに等しく、県民として断じて容認できない。
信念も哲学も欠けていたという批判に反論するならば、橋下氏は、日米外交の思考停止から脱する大局観こそ示してほしい。
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