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2012年10月8日 (月)

今年のノーベル医学生理学賞に、さまざまな細胞になる能力を持つヒトの「iPS細胞」を開発した京都大学の山中伸弥教授(50)が選ばれた。皮膚の細胞などヒトの体細胞は、成長すればそれ以上、変化することはないと考えられていたが、山中教授は、ヒトの皮膚細胞に4つの遺伝子を導入することで、受精卵と似た状態にまで戻すことに成功。その細胞をiPS細胞と名づけた。iPS細胞は、臓器、神経、筋肉、骨など、あらゆる細胞に変化させることができ、これによって、脊髄損傷など治療が難しかった病気について、新たな再生医療の可能性が生まれた。また、アルツハイマー病などの難病についても、iPS細胞を使って病気の原因を突き止め、画期的な新薬を作り出すことにも役立つ。通常、ノーベル賞は、発見や発明から数十年がたった後に贈られるが、山中教授は発見からわずか6年のスピード受賞だ。日本人がノーベル医学生理学賞を受賞するのは、利根川進教授以来25年ぶりのこと。8日夜に会見を行った山中教授は、「非常に大きな国からの支援を、この6年間いただいてきた。そういう支援がなければ、きょうのストックホルムからの電話はかかってこなかった。感想を一言で表現すると、『感謝』という言葉しかありません」「真理というのは、何重ものベールで覆われていて見えない。ほとんどの場合は、1枚ベールを剥がしたら、次のベールが見えるだけで、なかなか真理が見えてこない。だけども、どの1枚も大切な1枚。その気持ちを決して忘れてはいけないし、一緒に研究している若い諸君にも、そのことは忘れてほしくないと思っている」と喜びを語った。

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