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政治
【主張】冬の電力需給 泊原発再稼働で命を守れ
政府の需給検証委員会が今冬の電力対策の取りまとめに入った。
新たな原発再稼働なしでも「一定の供給が見込める」として数値目標を定めた節電は行わない方向だが、とりわけ寒さが厳しい北海道などで万全の備えといえるのか。
突発的な大規模停電に陥れば、住民の生命にかかわり、産業や地域経済への打撃も重大だ。政府は安全が確認された原発の再稼働を含めて、電力確保に全力をあげるべきだ。
企業や個人の自主的な節電で乗り切ろうとするのでは、あまりに無責任だ。野田佳彦首相は国民の命を守るのは政府の責務であることを忘れてはならない。
沖縄を除く全国9電力会社の需給見通しによると、各社とも3%以上の供給予備率を確保できるという。節電の浸透に加え、企業や工場などから余剰電力を購入する仕組みが広がっているためだ。
今年5月、泊3号機の運転停止で全原発が止まった北海道電力でも、来年2月で6%近い余力が確保できるという。だが、こうした数字は原発に代わる火力発電に専ら依存しているのが実態だ。
例えば同社最大の火力発電所である苫東厚真4号機(70万キロワット)が故障で止まれば、供給力は一気に10%以上も低下する。北海道では暖房器具に灯油やガスが多用されるが、給油ポンプや送風ファンも電気なしでは作動しない。
マイナス20~30度に下がる厳冬期の停電は、生命の危険に直結することを認識すべきだ。大規模停電回避に備えた計画停電などの準備も周到に進めてほしい。
原発停止で各社の火力発電所はフル操業が続き、特に冬場は配管凍結などで故障が起きやすい。今年2月、九州電力の火力発電所が配管トラブルで停止し、230万キロワットが一時失われた例もある。
この時は全国からの緊急融通でしのげたが、北海道は本州との連系能力も限られる。不慮の事態に備えた余力確保が不可欠だ。
そのためにも泊原発の再稼働は欠かせない。1、2号機については既に旧原子力安全・保安院がストレステスト(耐性検査)の結果を「おおむね妥当」としている。首相が政治決断すれば、再稼働に問題はないはずだ。
政府と原子力規制委員会は、北海道の厳しい電力事情を見据え、国民の生命と安全を守る責任を果たす必要がある。
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