岡山県西部と福山市で路線バスを運行する井笠鉄道(笠岡市笠岡、関藤篤志社長)は12日、経営不振によって今月末でバス事業を廃止することを決め、中国運輸局岡山運輸支局に事業廃止届を提出した。同社は自主再建を断念し、会社の清算手続きに入る。
全76路線(高速バス5路線含む)のうち主要路線は11月から来年3月までは道路運送法に基づく臨時措置として、両備グループの中国バス(福山市多治米町)に引き継ぎを要請しており、同社も応じる方向。具体的な継続路線は今後詰めるが、廃止や減便となる路線が出るのは避けられないとみられる。
井原市と浅口市の循環バスは北振バス(岡山県矢掛町)が運行を引き継ぐ。
井笠鉄道の路線バスはピークの1967年度には1575万人の利用があった。しかし、マイカー普及や沿線の過疎化などで11年度は213万4千人まで低下。売り上げに当たる営業収益は同年度で9億200万円で、国や自治体から2億1910万円の補助を受けたものの、4200万円の最終赤字を計上した。負債総額は同年度末で約32億3600万円。
会見した関藤社長は「地域の公共交通を守りたいとの一心で事業を続けてきたが、これ以上は難しいと判断した。利用者や従業員に迷惑を掛けることになり大変申し訳ない」と話した。嘱託を含む従業員158人の雇用継続も中国バスなどに依頼している。