六本木クラブ暴行死事件 「関東連合」とのつながり
若者や外国人で夜通し賑わう六本木ロアビル。9月2日午前3時40分ごろ、その2階にあるクラブ「フラワー」に、目出し帽をかぶった男たち9人が次々と突入していった。
その集団は、暗い店内を迷いなく進み、「VIP席」と呼ばれるソファ席に友人の男女5人といた飲食店経営の藤本亮介さん(31)を鉄パイプや金属バットで1~2分間一方的に殴り、無言で逃走した。フロアは血で染まり、藤本さんは救急搬送されたが、頭蓋骨損傷に伴う失血と脳幹部損傷でまもなく死亡した。
藤本さんの知人の一人は、商売をめぐるトラブルを示唆する。
「藤本さんは昨年6月に開業した焼き肉店『雌牛』のほか、渋谷や下北沢などで飲食店約20店舗を展開する企業グループのナンバー2も務めていた。経営にかかるカネの貸し借りをめぐり、貸手である元暴力団員ともめていたと聞いている。その元暴力団員はもともと『関東連合』にいた人物で、今回の犯行を『怒羅権(ドラゴン)』に依頼したなんていうまことしやかな噂まで出てきています」
ここに出てくる「関東連合」や「怒羅権」とは、暴走族OBなどで構成される愚連隊の通称だ。「関東連合」は、2010年の元横綱・朝青龍による暴行事件や、同年の歌舞伎役者の市川海老蔵が大けがをした暴行事件の当事者であったことから、その名を知る人も多いだろう。一方の「怒羅権」は中国残留孤児の2世、3世を中心とするグループで、メンバーの一人が今年、広島刑務所から脱走して逮捕され、また別のメンバーが自分の経営する店で働いていた男性従業員を約1カ月間監禁、暴行するなどして世間を騒がせた。
裏社会に詳しい別の関係者からはこんな話も漏れ伝わってきた。「08年に、韓国籍の関東連合幹部が、新宿で複数の男に暴行されて死亡した事件がありました。九州に拠点を置く暴力団が手掛けるシャブ(薬物)のルートに手を出したのが消された理由とされています。韓国系の藤本さんも、そのルートに何らかの形で関与していたという話がある」。
※週刊朝日 2012年9月21日号
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