財団法人「文楽協会」(大阪市、山口昌紀理事長)への補助金凍結を巡り、橋下徹大阪市長と文楽技芸員が3日、公開の意見交換会を開き、補助金の使われ方や文楽振興の方法について議論した。終了後、橋下市長は「補助金を見直す方向が確認できれば、今年度の補助金(3900万円)は執行したい」と述べ、凍結解除の意向を示した。
市役所での意見交換会には、技芸員47人が紋付きはかまの正装で参加。協会幹部2人も同席した。「仮名手本忠臣蔵」公演を来月に控え、豊竹咲大夫さんは冒頭「たまたま47人ですが、討ち入りに来たわけではない」とあいさつした。
橋下市長は「個人への助成には所得制限が必要だし、協会への補助には使途の透明化が必要。補助金にはルールがあり、文楽だけ特別扱いはできない」と説明。技芸員側からは「初めて聞いた。補助金の仕組みを十分知らなかった」と反省の言葉も出た。
技芸員側は「三味線など道具を買うだけでも大変なお金がかかる」「食べられるようになったのは50代になってから」など厳しい実態を説明。橋下市長は「必要経費への補助や振興事業への補助などは可能」と応じた。
橋下市長は協会にも「技芸員の思いを事業化させてほしい」とマネジメント強化を要望。観客が増えれば協会の収入が増える仕組みも求めた。また「文楽は大阪の芸、との意識が府民、市民から薄れている。危機感を持って」と指摘すると、技芸員側が「市長に、文楽はおもろいと言っていただくのが一番」と市長に3度目の観劇を求めた。
終了後、橋下市長は「僕の思いが十分に伝わった。(文楽側も)一歩踏み出そうということなので、それなら補助金は執行すべきだ」と述べた。
凍結解除は協会に一括で補助金を出す仕組みを改め、事業や必要経費ごとに補助する方式に変えることが条件になるが「すぐにはできない面もある」ため、数年かけて徐々に移行する。
咲大夫さんは取材に対し、「一日も早く舞台に専念したいと思っていた。(凍結解除は)大変ありがたい」と歓迎した。
橋下徹、山口昌紀、文楽協会、補助金凍結
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