事件【主張】暴力団との交際 法相の居座りを許すのか2012.10.13 03:15

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【主張】
暴力団との交際 法相の居座りを許すのか

2012.10.13 03:15 主張

 国を挙げて暴力団排除に取り組んでいるさなかに法の執行のトップに立つ人物が暴力団との交際を認めて頭を下げた。あってはならぬことだ。

 さらに驚くべきことは野田佳彦首相がかばっていることだ。唖然(あぜん)とせざるを得ない。

 田中慶秋法相が12日の記者会見で、暴力団幹部の仲人をするなど暴力団と交際があった事実を認めた。田中氏は「そういう関係をしたこと自体、大変申し訳ない」と陳謝したものの、「職責を果たしていきたい」と辞任は否定した。

 田中氏については、政治資金規正法に抵触する可能性のある外国系企業からの献金も発覚した。

 法相として不適格なのは明らかだ。罷免に値しよう。

 暴力団との交際問題は週刊新潮(11日発売)の報道で表面化し、田中氏が約30年前に暴力団幹部の仲人を務め、暴力団組長の宴席で挨拶したことも指摘された。

 田中氏は会見で「同郷の知人の息子の仲人を務めたが、後に暴力団幹部だと知った」「人に連れられて行った宴席で形式的な挨拶をした」などと釈明した。

 反社会勢力と決別するため、政府は企業や国民に強い意志を求める立場にある。田中氏の釈明や辞任を拒む姿勢では、いかに暴力団との交際を絶たねばならないかを説くことなどできない。

 全国の都道府県で暴力団排除条例が施行されて10月で1年となった。7月には改正暴力団対策法も成立したが、福岡県では8月以降、「暴力団員立入禁止」の標章を掲げた飲食店関係者をねらった殺人未遂や放火などの事件が相次いでいる。いずれも未解決だ。

 警察庁は捜査員や機動隊を福岡県に派遣して体制を強化しているが、片桐裕長官は「情勢は大変厳しく、由々しき事態だ」と述べている。法治国家として正念場を迎えている時に、田中法相の存在や態度が暴力団排除の機運をそぐものとなるのは許されない。

 藤村修官房長官は、田中氏と暴力団との間で違法な関係などはなかったとして「そういう事実なら何も問題はない」と、辞任は必要ないとの見解を繰り返している。違法な関係など問題外であり、交際の事実がわかった時点でどう対処するかは自明だろう。

 首相の任命責任も大きい。首相は国政への信頼をこれ以上失墜させてはならない。

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