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“iPS移植”発表巡り異例の事態に
10月12日 5時24分

“iPS移植”発表巡り異例の事態に
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アメリカで開かれた国際学会で、日本人研究者がiPS細胞を使ったヒトへの細胞移植を世界で初めて実施したと発表しましたが、この研究者が細胞移植を行ったと主張するボストンの病院は関わりを否定しました。
さらに学会も「疑義が生じた」と指摘し、発表内容の信ぴょう性が疑われる異例の事態となっています。

ニューヨークで10日に開かれた国際学会で、東京大学附属病院で特任研究員を務める日本人研究者、森口尚史氏が、iPS細胞から変化させた細胞を世界で初めてヒトに移植したと発表しました。
発表では、重い心臓病の患者6人にバイパス手術を行った際、iPS細胞から変化させた心筋細胞を心臓のおよそ30か所に注射で移植したとしています。
森口氏はNHKの取材に対し、細胞移植はことし2月以降、ボストンにあるハーバード大学の関連病院、マサチューセッツ総合病院で院内の倫理委員会の暫定承認を得たうえで実施した、と説明しました。
しかし病院の広報担当者は、11日、「森口氏は現在、それぞれの機関と関わりがなく、倫理委員会から何らかの承認を受けたという事実もない」とする声明を出しました。
これを受けて国際学会を主催した財団も、「疑義が生じた」と指摘し、会場から発表内容を示したポスターを撤去する措置をとりました。
これについて森口氏は、「きちんとした手続きにのっとって移植を実施した。私に医師の資格はないが、移植は医師の指示の下で行われたので問題はない。ハーバード大学が私が所属していないと否定するのはよく分からない」と話しています。
京都大学の山中伸弥教授のノーベル医学・生理学賞の受賞が決定し、国際的に注目されるiPS細胞を巡って、学会での発表内容の信ぴょう性が疑われる異例の事態となっています。

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