■ iPS移植、山中教授「あり得ないのでは」
「iPS細胞を患者に移植することに世界で初めて成功した」と、日本人研究者が主張していることについて、手術を行ったとするアメリカの病院が「研究者とは関係ない」と発表しました。山中教授も「私たちの考えからはあり得ないんじゃないか」と述べています。
(Q.手術するにあたって必要な免許、資格、IDは何をお持ちですか?) 「・・・・・」(森口尚史氏) (Q.無免許というか何の資格もなく手術を?) 「いやいやそんなことはないです」(森口尚史氏) 「iPS細胞を患者に移植する世界初の臨床応用を行った」 一部メディアで報じられた東京大学医学部の特任研究員、森口尚史氏の研究発表が物議を醸しています。 (Q.どういう肩書、立場で移植に臨んだのか?) 「ハーバード大学で客員講師ということで・・・」(森口尚史氏) 森口氏は、ハーバード大学の客員講師として、大学の倫理委員会から暫定許可をとり、系列のマサチューセッツ総合病院で移植治療を実施。今年2月にアメリカ人男性への手術を行い、その後5人、合わせて6人の患者に移植手術を行ったとしています。 しかし、森口氏の発表に対し、ハーバード大学と手術を行ったとされるマサチューセッツ総合病院は・・・ 「ヒサシ・モリグチは1999年から2000年にかけて、マサチューセッツ総合病院の客員研究員でしたが、それ以降は関わりを持っておりません。モリグチ氏の臨床試験はハーバード大学や病院が承認したものではありません」(ハーバード大学とマサチューセッツ総合病院の共同声明) このハーバード大学と病院側の声明に森口氏は・・・ (Q.ハーバード大学側の説明は間違っている?) 「そうですね。説明が間違っているというか不十分。誤解されているところもあるのかなとは思うんですけれども」(森口尚史氏) (Q.今も有効な資格を持っている?) 「そうです。ただ何というかですね・・・証拠書類とかうんぬんについては日本に置いてきているので、すぐお見せすることはできないですし、それで困っているわけなんですけれども」(森口尚史氏) 森口氏は、11日からロックフェラー大学で行われている学会で、研究成果の発表を行う予定でしたが・・・ 「この場所に、研究の発表のために現れるはずだったんですけれども、急きょ、来なくなりました」(記者) 研究発表は、急きょ中止され、会場に貼られていたポスターも「内容に疑義がある」として撤去されました。 そもそもiPS細胞の臨床応用については「細胞がガン化する可能性を完全には排除できていない」として、山中教授の研究所でも実現できていません。山中教授のiPS細胞は、皮膚や血液の細胞に特定の4つの遺伝子を入れて作製されます。 一方、森口氏は、患者の肝臓から採取した細胞に、遺伝子を制御する化合物とタンパク質を増殖させる化合物を入れてiPS細胞を作製。これを心筋細胞に成長させ、今年2月にマサチューセッツ総合病院で、医師とともに移植手術を行ったとしていますが・・・ 「この(移植治療の)話は全然知らない。モリグチ氏とは何年も話していない」(マサチューセッツ総合病院・チャン医師) (Q.パスポートは持っている?) 「はい」 (Q.今年2月にアメリカに滞在していたか、今証明できるか?) 「あまり今・・・お見せできないというか」(森口尚史氏) 森口氏は、2010年にも出身大学である東京医科歯科大学と共同で「iPS細胞を使ったC型肝炎の新薬を開発した」としていましたが・・・ 「東京医科歯科大学ではこのような実験・研究が行われた事実はない」(東京医科歯科大学の会見) 「大学院で学んでいた森口氏が迷惑かけていること、深くおわび申し上げます」(東京医科歯科大学・佐藤千史教授) また、12日野田総理大臣に表敬訪問を行った京都大学の山中伸弥教授は・・・ 「 私自身の考えでは(臨床応用は)今はまだ早いのではないか。国内でも慎重にiPS細胞の安全性・有効性を動物実験で検討して、来年ぐらいから患者にお願いして、臨床研究が始まるかという段階。この段階で十分な動物実験なしでいきなり人間というのは、私たちの今の考えではあり得ないのではと思っている」(京都大学・山中伸弥教授) (12日17:59)
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