ハイスクールD×D 兵藤一誠が白龍皇!? (ジーニー)
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ライザー登場!
私のライザーのイメージが強く反映されています(笑)



42時間目

次の日の放課後。
俺はアーシア、木場と一緒に部室に向かっていた。

「部長さん。昨日は元気がありませでした」
「あー、なにか悩みでもあるんじゃないか?」

多分、昨日のメイドの件だろうな。

「部長の悩みか。たぶん、グレモリー家に関わることじゃないかな」

木場は詳しい事情を知ってそうだな。
雑談をしながら旧校舎に差し掛かったところで、昨日感じた気配がした。
部室に近づくにつれてどんどん大きくはっきりわかるようになているところをみると、旧校舎にいるな。
まあ、敵意や殺気などの害意は感じないから放置して、何食わぬ顔で旧校舎の下駄箱をくぐり、部室の前にたどり着いた

「……僕がここまで来て、ようやく気配に気づくなんて」

なんだ。木場は気づいてなかったのか?
木場が、部室のドアを開けると、室内にはリアス部長を始めとした眷属の面々と銀髪メイドがいた。
確か名前はグレイフィアだっけ? なんでココにいるんだ。
もしかして、昨日の話の続きでもあるのか?
勘弁してくれよ。これ以上胸糞悪い話なんて聞いたら、我慢出来なくなるじゃないか。
中に入ると部室の空気が悪い……と言うか雰囲気が悪い。
機嫌が悪そうなリアス部長に、いつも通りの笑顔に見える姫島先輩から冷たい気配が漂ってくるし、小猫ちゃんは小猫ちゃんで、メイドを睨んでるし。
……入りたくないな。
アーシアなんて、怖がって涙目になってるし。
しかし、入らないわけにも行かないので、諦めて入った。
アーシアは、少しでもマシになるように、俺の背中に隠して……

「全員揃ったわね。今日は部活をする前に少し話があるわ」
「お嬢様。話し辛いのであれば、私がお話しいたしましょうか?」
「いいえ。私の口からちゃんと伝えるわ」

メイドの余計なお世話をリアス部長がいらないと制して話そうとした。

「実はね。私は……」

と、部長が口を開いた瞬間、部室の床に描かれた魔方陣が光りだした。
眷属はこの場に全員揃っている。
一体誰が転移してくるんだ?
そう思っていると、魔法陣は徐々に形を変え、グレモリー眷属の物から見たことのない魔法陣へと変化した。
他の悪魔の魔方陣か?

「ふぅ、人間界は久しぶりだ」

その魔法陣から出てきたのは、赤いスーツを着崩して、胸までシャツに開いているホストにいそうな男だった。
木場とは違ったタイプのイケメンだな。

「愛しのリアス。会いに来たぜ」

男は口元をにやけさせながらそう言った。
ああ、把握した。このキザ野郎が、リアス部長のお相手か。
確かに気配といい威圧感といいそれなりに力はありそうだ。
もっともそこのメイドと比べると哀れなものだけど。
対して、リアス部長は半眼で男を見つめている。
誰がどう見ても、歓迎しているようには見えない。
『むしろさっさと失せろ!』と言いたげに見えるのは、俺の気のせいか?

「さあ、リアス。早速、式の会場を見に行こう。もう日取りも決まっているんだ、何事も早め早めがいい。何かあっても余裕をもって対応できるからな」

しかし、男はそれを知ってか知らずか勝手なことをほざいて、リアス部長の腕を掴み何処かへ連れて行こうとした。
もう少し『空気を読む』ということを学んだ方がいいと思うぞ?
あえて読んでいないなら、ただウザいだけだし。

「放して、ライザー。私はそんな所に行くつもりはないわ!」

リアス部長は男の横暴に我慢できなくなったのか男の手を振り払った。

「やれやれ。眷属の前で恥ずかしがっているのかい? リアス」

だめだ。コイツ……
本気で空気が読めてない。
邪険にされているにも関わらず、全然それに気付かない。
鈍感にも程があるぞ。
 
「木場、あれ誰だ?」
「あの方はライザー・フェニックス。純血の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェニックス家の三男だよ」

さしず名家のボンボンか。
上に2人も兄がいるなら、家督は絶望的だろうな。
まあ、だからこそ他の上級悪魔の家に婿(売り)に出されてるのかも知れないけど……
それにしても、フェニックスね……不死鳥と何か関係があるのかな?
グレモリーとの共通点で言えば、ソロモン72柱だけど。

「そして、グレモリー家次期当主である部長の婿でもある」
「あーやっぱり? なるほど。アレが相手じゃ、既成事実を作ってでも、結婚を破談にもしたくなるわ」
「やっぱり君の所に行ったんだね……あれだけ無駄だって止めたのに」
「張り倒してでも止めろよ! もしくはお前が受けてればよかったんだ! あのあとどれだけ面倒だったか…… アーシアにバレなくて本当によかった」
「あははは……騎士としてそういう考えでするのは、ちょっとね。それにそんなことをして逃げたところで部長のためにならないし」
「ま、家と絶縁するくらいの覚悟はあればどうとでもなるんだろうけど、あのお嬢様じゃ無理だろうな」

俺のところにリアス部長が来た件で木場に文句を言いつつ状況を見守っている。
今の状況を見れば、よほどの馬鹿でない限り、どうしてリアス部長が昨日の晩あんなことをしようとしたのかわかるだろう。

いきなり転移してきたホスト野郎は、リアス部長がここから動かないと知るや、ソファーに座った。
姫島先輩も一応お客様であり、悪魔の貴族(?)らしいし、リアス部長の許婚を無下に扱うわけにもいかず、来客としてもてなした。
若干不機嫌さが笑顔に現れていたことに、あの男は気付いていないんだろうな。
現に「リアスの『女王(クイーン)』が淹れてくれたお茶は、実に美味しいな」とか言ってるけど、それ一番安物の茶葉だからな?
男の後で姫島先輩が用意した俺達が飲んでる部員用や正規の来客用の方がよっぽど高価だし香もよく美味しい。
まあ、姫島先輩が入れると味が上がるっていうのは納得するけど。
今度コツを教えてほしいな。

ちなみに俺達眷属は、ホスト野郎から離れて壁に寄り掛かっていたり、ホスト野郎から離れたソファーに座っていたり、リアス部長の傍に控えていたり、ホスト野郎の後ろに潜んでいたりしているが、リアス部長はライザーの向かいに座っている。

「いい加減にしてちょうだい!」

と、ついにリアス部長が我慢できなくなり、声を上げた。
その声が、部室中に響き渡る。
リアス部長はソファーから立ち上がってライザーを鋭く睨んでいる。
しかし、睨まれている男は怯むどころか、ニヤついているのが向かいの壁に掛かっている鏡で見えた。
気色悪いな……昨晩のメイドの作り笑いよりもさらに気持ち悪い。
まだ作り笑いのがマシだ。表面上は笑顔だから。
いや、アレと比べてはさすがにメイドに失礼か……

「ライザー! 以前にも言ったはずよ! 私はあなたとは結婚なんてしないし、婚約も認めていないわ!」
「ああ、以前にもそう聞いたよ。だが、リアス、そういう訳にいかないのはわかっているだろう?」
「余計なお世話よ! 私が次期当主である以上、婿の相手ぐらい自分で決めるわ。お父様もお兄様も皆急ぎすぎるのよ! 大体当初の話では、私が人間の大学を出るまで自由にさせてくれるはずだったわ!」

やっぱり、自分の意思で決めた相手じゃかったか。その上、結婚の期限まで前倒しかよ。
そりゃ、リアス部長もキレるわ。

「その通りだ。しかし、キミの兄君は家を出られたお方だ。そうすると、リアスしかグレモリー家を継ぐ者がいないんだぞ? 婿を得なければキミの代でグレモリーは潰えるかもしれない。キミはお家を潰すつもりか?」 
「私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」
「おお、さすがリアス! じゃあ、さっそく俺と……」

コイツの脳みその中はどうなってんだ?
お前が相手じゃ嫌だって言ってんだから、迎える婿養子がお前なわけないだろ。
どんだけ頭の中、お花畑なんだよ。

「あなたとは結婚しないわ、ライザー。私は、私の良いと思った者と結婚する。古い家柄の悪魔にだって、それぐらいの権利があるわ」

リアス部長は、能天気なホストに向かってはっきりと拒絶の言葉を口にした。
さすがに、これは届いたのか、男の機嫌が悪くなった。

「……俺もな、リアス。フェニックス家の看板背負った悪魔なんだよ。この名前に泥を掛けられるわけにもいかないんだ。本当は、こんな狭くてボロい人間界の建物なんかに来たくなかった。というか、俺は人間界が大嫌いだ。この世界の炎と風は汚くて、炎と風を司る上級悪魔としては耐えられないんだ! それでもリアスがいたからわざわざ足を運んだんだぞ! それをわかっているのか!?」

そう言ったライザーの周囲に炎が駆け巡った。
いや、それって全部私情だよな?
自分の意志で来ておいて、『お前のために仕方なく来た』?
押し付けがましいにもほどがあるな。
 
「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでも、キミを冥界に連れ帰るぞ」

そこで、どうして眷属を燃やして連れ帰る話になるのかねぇ?
眷属一同は結婚に反対でも、それを表に出したわけでも、連れ帰るのを妨害しているわけでも、リアス部長が眷属を理由に帰ることを拒んでいる訳でもないのに……
自分が否定された八つ当たりだろ?
冥界に連れ帰れない理由を人に押し付けるなよ!
はぁ……アーシアと小猫ちゃんに被害が行きそうだし、そろそろ動くか。

『Divid!』
「黙れよ。三下」

神器を発動して炎の勢いと規模が半減、さらに後ろから男の首に剣を突きつけた。
お茶を出された時に、気配を消して男の後ろに潜んでいてよかった。
さすがに炎が出たときは焦ったが、半減して吸収した。
ちなみにアーシアは、アイコンタクトで小猫ちゃんに任せた。

「貴様何者だ!」
「ただのグレモリー眷属だよ。それよりもさっきから好き勝手言いやがって、リアス部長が嫌がってるんだ
いい加減諦めろ。男として見苦しいぞ?」
「黙れ、家の看板も背負わぬ下級悪魔の分際で」
「家だの看板だのうるさいな。所詮、家督も継げない三男坊が吼えるなよ」
「貴様、死にいたらしいな」

殺気が高まり、俺と男を囲むように炎が現れた。
まあ、半減して吸収したけど。

「正論を指摘されたら逆キレかみっともない。それでよく貴族なんて名乗れたもんだな」
「そうか。そんなに死に急ぐか下賤な転生悪魔風情が……いいだろう。骨も残さず焼き尽くしてやる」
「その前に息の根止めてやるよ」

一発触発の空気の中、メイドが冷静に介入した。

「兵藤さま、ライザーさま、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら、私も黙って見ているわけにはいかなくなります」

静かで迫力のある言葉をメイドが口にした。
緊迫した気配に負けたのか、男の方は炎を落ち着かせて鎮火した。
ここで、手を出したら俺が悪者になるし、渋々刀身を消して、柄を仕舞いながら木場たちの方に移動した。

「最強の『女王(クイーン)』と称されるあなたにそんなことを言われたら、俺もさすがに怖い」

最強の『女王(クイーン)』ねぇ。
確かに、抑えているにも関わらず、強い気配を感じる。
最強の名は伊達じゃないらしいな。

「こうなることは、ご両親もサーゼクスさまもフェニックス家の方々も重々承知でした。ですから私が遣わされたのです。こうなった場合の最終手段の許可も得ています」
「最終手段?」
「お嬢様がご自分の意志を押し通すのでしたら、ライザーさまと『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか?」

『レーティングゲーム』って、確か悪魔の駒を持つ悪魔同士の戦いだよな?

「なっ!?」

最終手段が意外な方法だったのか、驚いているリアス部長。

「へー、俺はすでに成熟しているし、公式のゲームも何度かやっている。今のところ勝ち星のほうが多い。それでもやるかリアス?」

挑発するようにライザーが言った。
まあ、挑発しようがしまいが、ここで断ったら自分の意思を貫く機会はないだろうし、リアス部長の返事は決まっているだろう。

「ええ、やるわ。ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる!」

こうして、部長とライザーの非公式のレーティングゲームの開催が決定した。



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